チュートリアル用のナビ妖精を、ゲームの想定外まで可愛がって照れさせるASMR

響華

1.チュートリアルの時間だよ!

 //SE メニューの選択音

 //SE 電子音


(顔の周りをくるくると回りながら)

「なうろーでぃんぐ……なうろーでぃんぐ……もう少し待っててね!」


 //SE キラキラに包まれる音


(正面、楽しそうな声)

「初めまして、プレイヤーさん! フルダイブMMO、フェアリーソングの世界へようこそ! あなたのチュートリアルを担当する、ナビ妖精のローナだよっ!」


「チュートリアルが終わるまでの短い間だけど、よろしくねっ」


「ここ、フェアリーソングは妖精を相棒に……って、大まかなことはもう知ってるかな?」


(自慢げな声)

「なんといっても特徴は私たち妖精! 性格や喋り方、得意なことや能力まで多種多様!」


(ちょっと照れくさそうに)

「……まあ私はチュートリアル妖精だから、能力は低いんだけど。ナビゲーションは得意なので!」


「ええと、それじゃあ早速チュートリアルに移っていいかな?」


(嬉しそうな声)

「それじゃあ、ええと……」


(右耳の近くに)

「肩の上に失礼するね! まずは手を振ってメニュー画面を開いて……」


 //SE メニューのタップ音


「ここの、上から三番目がステータス画面だよ!」


 //SE メニューのタップ音


「……あれ、出ない……」


(遠ざかりながら)

「ちょっと待ってね!」


(呟くような声)

「チュートリアル段階で、メニュー欄は全部解放されてるよね……? エラーではないと思うし……えっと、マニュアルマニュアル……」


(ちょっと大きな声)

「あっ!?」


(左の耳元へ)

「ごめんなさい! 上から2番目の間違いだった!」


「あはは……あっ、今こいつポンコツだなって思ったでしょ!」


「違いますー! ちょっと間違えただけですー!」


(少し恥ずかしそうに)

「……まあ、ちょこっとみんなより、ナビは苦手だけど……!」


(急に撫でられ、驚いた声)

「……ひゃんっ!? な、なんで今撫でたの!?」


「頭を撫でるのはいいけど、体に触るのは禁止だからね! 私たち妖精にも通報の権利はあるんだから!」


「……と、とにかく! 続きは完璧にやるから、早くメニュー画面を開いて!」


 //SE メニューのタップ音


「そうそう、ここからステータスが見れるよ!」


「まだ始めたてだから、能力に変わったところはないね。プレイヤーの初期値は皆同じだから、レベルが上がった時を楽しみにしててよ!」


「それで、えっと」


 //SE メニューのタップ音


(右耳の方に移りながら)

「こっちが、私のステータス! チュートリアル妖精でも、個体によってステータスが違うんだ〜」


(楽しそうに)

「相棒に設定してる妖精は、こうしていつでもステータスを見れるし、こうやって常にお話できるよ!」


「今は私だけだけど……チュートリアルを進めながら、他の妖精を仲間にする方法も教えるから、楽しみにしててね!」


「で、ステータスなんだけど……私は回復が得意な妖精だから、ここのステータスが高いよ! って言っても、下級妖精の平均値と同じくらいなんだけどね」


(にやにやしながら)

「ふふふ……プレイヤーさん、ここまで聞いて思ったよね?」


「ステータスの違いを確かめるために、下級妖精を早く仲間にしてみたい、って!」


(間が空く)


「……あれ、プレイヤーさん?」


(困惑した様子)

「首を縦に振ってくれないと、イベントが進まないんだけど……」


「迫力が足りなかったかな……ちょ、ちょっと準備するから待ってね!」


 //SE メニューのタップ音


「ええっと、こほんっ」


「ステータスの違いを確かめるために、下級妖精を早く仲間にしてみたい、って!」


 //SE ババーン


(ぼそっと)

「これでよし……」


「じゃあ早速……! って、プレイヤーさん?」


「首を横に振られると、イベントを進められなくって……」


(右往左往、顔の周りを飛びながら)

「も、もう1回説明する?」


「説明は要らない? そっかぁ……」


「ま、まあほら! ええと、なんというか……」


「システマチックに言えば、いいえを選ぶ限り進まないというか……」


「無限ループするというか……」


(正面で止まり)

「と、とにかく!」


「これ以上断られると困ってしまうので、仲間にしてみたいって言って欲しいな!」


(頷かれ、嬉しそうに)

「……良かった〜! 案内できないまま終わるかと思った!」


「断る理由なんてないと思ったけど……逆張りでゲームの仕様に挑むのは、出来ればやめて欲しいかな……」


「私としては、プレイヤーさんに早くこのフェアリーソングを楽しんで欲しいから」


「それじゃあ早速、始めるよ! ……ちょっと待ってね?」


(少し遠ざかり)

「えっと、ボタンはこれでいいよね……よしっ!」


 //SE ピコーンというシステム音


「チュートリアルクエスト、妖精を仲間にしよう、スタートだよ!」

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