第6話 ある男

「6ーA部隊です」

「……」

「今回の件について確認に参りました。通してください」


街、ヒュンケルにて。

ビユマと男が戦った翌日に2人の男と1人の女がやって来た。


「ど……どうぞ」


あの一件から、学んだ受付は3人を通す。

3人は11F。VIPルームへと移動し堂々と腰掛けた。


「……」


そうして男が恐縮した顔で部屋にやってくる。

実はリイ達を追いかけていたこの男こそ、この街の狩人を纏める隊長、ジョークなのだ。


「マ……マテルさん」

「……君は何をすればいいか分かっているよね?」


ジョークは立ち上がり頭を下げた。


「重要な任務でなかったのにも関わらず、街から出てしまい申し訳ございません」

「うん」


ジョークは知っている。

マテルも自身と同様、面倒くさがりなのでこうも謝ればすぐに了承してくれると。

だが、今回はそこまで甘くなかった。


「マテルさ〜ん。刑罰を与えましょうよ」

「マテルさんはゆるいです」


と共に来ていた2人が告げ口をする。


余計な事をと、ジョークは内心怒りつつも落ち込んだ顔を続ける。


「……とにかく、状況を整理しようか」

「は……はい」


届いた資料のマテルは目を通す。


「全く顔も知らない2人がやって来て受付を脅し、面談室に辿り着いた途端に自身に暴力を加えて来たんだね」

「はい」

「本当ですかね〜」


と金髪の少年は怪しむ。

早く終わってほしいという感情を抑えながらジョークは耐える。


「本当に全く知らなかったんだね?」

「は……はい」

「ふ〜ん。あぁそういえば一つ。気になった証言があってね」

「き……気になる証言ですか?」


ページをひとつめくる。


「どうやらルーキーを外に出して活動させていたらしいね?」


その瞬間、ジョークからは少しの冷や汗が垂れる。


「その様子を見ると本当の様だ。しかも君は知りつつそれを了承したと」

「……」

「これは憶測なんだが、その子が直談判で来たんじゃないかな?」

「え……とぉ」

「後はね正当な給料が払われいないとか……後は過去にもこういう事があって死者が出たとか」


少しジョークの体が震えた。


「その証言は何処から……」

「えぇ……何処からだろう?」


と笑うマテルに鳥肌がたった。

体が動かない。恐怖だ。


「じゃあ……真実を告げてくれる?」


言いたくも無いのに口が勝手に動く。

声が震えつつも最後まで言い切った。


「ま、追放かな」

「え……」

「別の人材をここに送り込もう」


という言葉でガクリと膝から落ちた。

顔は青く染まっている。


「ま、罪を改めな」


ジョークを残して3人は去っていった。


---


「数人の受付も追放するんですね」

「うん。元凶は彼らだし」

「……」

「もう、アイツの様な奴らは出したくなかったんだが」


1人。マテルの頭に男が浮かぶ。

住民を守るために吸血化という、真の吸血鬼になる技を使った男。

そして侯爵級の吸血鬼を討伐した男。


……そして結局は人間に戻った男。

だが、危ない技を利用したとして追放された男……


彼は町の英雄だった。

奴が殺していなれば大都市は崩壊し、そこから波紋が浮かんで国が終わったかもしれない。そんな最悪な未来を奴は打ち切ったのにも関わらず追放された。


「マテルさん……そこまで病まないで下さい」

「……まぁ絶対に奴は生きているだろうからな」


強い怒りと後悔。

男は強く拳を握り締めて帰還した。

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