解説 陣幕神楽

渋谷古書堂蔵『戦陣訓・異聞(せんじんくん・いぶん)』より


​権藤流合戦術 陣幕神楽(じんまくかぐら)


​降り注ぐ矢弾の雨から、身一つで生き残るための、異色の防御体術。


その由来は、戦国時代、敵の奇襲により本陣の防御柵である「陣幕」が倒された際、武田信玄配下の武将、新田三郎太夫是にったさぶろうだゆうこれなりの供回りである堂道佑九朗どうどうすけくろうが盾代わりに振り回し、矢や投石を防ぎきったという逸話に起因する。


​術者は、自らが羽織る上着(権藤の場合は、錬魂塾謹製の特殊な繊維で織られた学ラン)を、闘牛士のマタドールが操るケープ、あるいは、獅子舞の演者が舞う獅子頭のように、変幻自在に振り回す。


​それは、神に捧げる勇壮な舞「神楽」の如き、流麗な動きでありながら、その実、飛来する全ての矢を、叩き落とし、あるいは、布に絡め取って、その威力を殺すという、極めて合理的な防御法である。


敵の集中砲火を、たった一枚の布と、己の体捌きのみで無力化する様は、見る者に、神が舞い降りたかのような錯覚さえ覚えさせるという。

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