第13話 見逃した叫び

 部屋に荷物を放り投げ、重い足を引き摺るようにして食堂へとたどり着き、焼き魚がメインのB定食を注文する。

 栄養士から、「顔が疲れてるわよ」と言われながら料理を受け取ると、夕食時で賑わう食堂の中の、比較的空いている静かな一角に腰を下ろした。

 疲労困憊ひろうこんぱいで食欲はなかったが、「腹が減っては戦が出来ぬ」の七条家の家訓に則り、無理にでも詰め込むことにした。

 のろのろと箸を動かし始めると、目の前の席に人が滑りこんできた。

 寮長の薬袋だ。外出していたのだろうか、薄っすらと化粧しているようだ。

 ……疲れてるのに……鬱陶しく思いつつも、顔には出さず会釈する。

「七条さん、何かあったの?」

「え?」

 思いがけず労わるような声音に、思わず固まってしまった。

「いや……最近見かける度に、思いつめたような顔して歩いているし……」

 真剣な顔で語りかける薬袋を見て、どうやら本気で心配しているのだと感じ取る。

 ただの口うるさいお局と思っていたが、彼女の寮長としての責任感を目の当たりにして、みゆきは不思議な思いになった。

「あの……はい、ありがとうございます。まだ生活に慣れてなくて……」

 薬袋はにこやかに頷くと、

「分かるわ。私も地方から出てきてそうだったもの……まずはサークルでも部活でも何でもいいから入って気の合う同志を見つける事。一緒に外に出られるだけで違うわよ」

 みゆきは「分かりました」と礼を返した。

 困った事があったらいつでも言いなさい。と言い置いて薬袋は立ち上がった。

「あ、そうそう。友達作るのは良いけど、悪い友達は気をつけなさいよ。」

「悪い友達?」

「……なんか最近、夜遅くに殺されちゃったり、失踪したりしてる生徒がいるらしいし……理由は分からないけど、付き合う人は選びなさいよ」

 何気ない一言だが、まるで知佳を貶められているように感じ、みゆきは一瞬頭が凍るような感覚を覚えた。だが一片の真実も分からない状況では仕方が無いのかと思うと悲しくなった。

 お邪魔さま。と言って席を立つ薬袋に会釈しつつ、力なくご飯の続きに手を付ける。

 すると「あ、それと」と言って薬袋が引き返してきた。

「何をするのも七条さん次第だけど、あまり夜遅くならない方がいいわよ……」

 生返事をしながら、母親みたいな事を言うな、と呑気に思ったが、次に発せられた一言で冷や水を浴びせられた。

「……また今日も蟷螂事件の被害者が出たってらしいから……」


 薬袋から新たな蟷螂事件のあらましを聞いたみゆきは、打って変わって定食を吸い込むようにして食べると、自室に駆け戻り、インターネットニュースを探す。

 記事によると今度の被害者は二人、しかもバラバラの場所で事件が発生したようだ。

 1件目は宮城県仙台市で建設会社社長の男性が、2件目は愛知県で三十代主婦が宿泊施設で殺害された。

 両件とも過去の蟷螂事件と関連するとみて各県警が連携し、事件について精査しているらしい。

 最初の常澤 美弥子が殺害された時は、単なる通り魔だと思っていたが、その後に大阪で、そして今度は仙台、愛知……同一犯人ならば、通り魔とは思えないこの広範囲な殺人行脚あんぎゃはなんだろうか?

 女性だけを狙った訳でもない。年齢もまちまち。地域もバラバラ。無理やり共通項を見つけるとしたら全員が大都市圏くらいだが……

 模倣犯の線もあるだろうが、海上から聞いた話からしても、詳細な手口は報道されて居ない中、警察が蟷螂事件の一環と発表している以上、関連性については確証があるのだろう。

 その後もネットサーフィンを続けてみたが、みゆきに新たな示唆を与えるようなトピックは見つからなかった。

 パソコンを落としスマホでSNSを確認すると、母親や高校の同級生からの何気ない日常的なメッセージが来ていた。

 頭を切り替える為に、返信に没頭していると、メッセージ着信音が鳴る。

 知佳? 恐る恐る期待を込めて着信を見ると、ひよランドからのログインを促す通知が届いていた。

 美弥子に教えてもらった日の夜、寝る間際に登録だけしてみたのだった。その後すっかり忘れていたが……

 ふと、美弥子の言葉を思い出す。

 確かこのゲームはSNS機能を持っており、ゲーム内の各ユーザーと世界観を共有して、コミュニケーションを取る事が可能だったはずだ。

……美弥子のデータは残ってるのかな……?

 みゆきはログインしてみる。

 すると、登録して日が浅いのに、膨大な数のメッセージが受信箱に入っていた。

 こう言ったSNSを出会い系サイト代わりに使用するやからがいると言うのは聞いてはいたが、ざっと見ただけでも見も知らない男たちからの下品なお誘いメッセージがひしめいている。

 中には寒気がするような露骨な事を書いている男までいた。

 ログインした事を半ば後悔しながら、うんざりした思いで一覧を滑らせていたが、その指がつっと止まった。

……美弥子からメッセージが来てる!……

 全部で五通だ。

 それらを時間順に読んでいたみゆきは、徐々に顔が青ざめる。

……あたしは……! あたしはまた……見逃してた!!……

 みゆきはベッドに突っ伏すように倒れ込むと、頭を抱えて動かなくなった。


 翌朝8時。みゆきは帝邦大キャンパスに居た。

 朝練に勤しむ運動部の掛け声以外、学生の姿を感じさせるものはない。

 結局昨晩は一睡もできなかったみゆきは、血走った目で足早に文学部棟を目指す。

 今日こそは何としても百合に合わなくてはいけない。

 昨日は何となく良い考えを聞かせてもらおうかと言った軽い気持ちだったが、今日は違う。 もはや、みゆき一人ではどうしようもない問題が降りかかってきていた。

 たとえ百合が相談に乗ってくれなくても、海上へのつなぎだけでも良い。

 エレベーターに飛び乗り、7階到着と共に扉が開くと、競走馬の様に勢いよく飛び出した。

 廊下を全速力で走り抜け、一番奥にある甲斐沢研究室のドアを叩き、返事も待たずに飛び込んだ。

「失礼します! 先生! いますかっ?」

 叫びながら本の小路こみちうように突き進む。

 百合は、手にした分厚い本で顔を隠すようにして、突然の襲撃者に身を固くしていた。

「百合先生!」

「は、は、はいぃっ!」

 デスクに噛みつく勢いで身を乗り出したみゆきと、分厚い本で顔をガードする百合の間で奇妙なにらめっこが起こる。

 ほどなく、みゆきの血走った両眼からポロポロと涙が落ちた。

「ど、どうしました?」

 百合はみゆきが、いきなりやって来た上に、泣き出したのを見て目を白黒させている。

「せ……せんせぇえ……」

 流した涙が呼び水になったのか、みゆきは顔をくしゃくしゃにして嗚咽おえつし始めた。

「し、七条さん…… い、一体、なにがあったんです?」

「せんせぇ、あたし……あたし……」

「はい……」

「美弥子も……あたしのせいで死んじゃったんですぅ……」

 みゆきの絞り出した声に、百合は目を丸くした。そして素早く内線を取り上げると、事務室に今日の講義を全て臨時休講にすると告げる。左腕の時計で時間を確認すると、今度は外線発信で電話をかける。

「あ、あの 帝邦大学 文学部の甲斐沢と申します。あの、お忙しいところ恐縮ですが、捜査一課二係の海上刑事と繋いで頂けますでしょうか……」

 その他、二、三のやり取りの後、海上が出たようだ。

 今すぐ来て下さい。それだけ告げると電話を切った。

 百合は気遣うようにみゆきの背を撫でると、

「今日はかんの戻りで冷えますので……お茶を飲んでまず落ち着きましょう……」

 みゆきは座る場所の少ないソファに腰掛けると、渡されたお茶を啜る。

 馥郁ふくいくとした香りを乗せた温かな湯気と、濃い苦みがみゆきの心を落ち着かせる。

 落ち着いてくると、途端にさらした醜態に対する恥ずかしさがこみ上げて来た。

「先生……あの……すみません。いきなり押し掛けて、こんな……」

 手のひらで目をごしごしと擦りながら、きまり悪そうに呟く。

 「いえ……大丈夫ですよ……」

 と言ってぎこちなく笑った。

 恐らくあまり人に笑いかけるのが得意でないのだろう。それでもみゆきの心を和ませようとしてくれる百合の優しさが痛いほど伝わった。

「すみません……あの実は……」

 多少持ち直したみゆきは、昨日確認したメッセージについて話そうとした。

 しかし百合は手の平をみゆきに向けて、押しとどめる。

「あの……もうすぐ海上君が来るかと……そこで話した方が効率いいと思いますので……」

 今電話したばかりでは? そう思っていると、ドンッと扉が叩かれ海上が顔を出した。

 そういえば、西目白署は帝邦大の向かいにあった。

「珍しいな、百合先生から緊急呼び出しが掛かるなんてな……と、みゆきちゃん、どうした?」

 本の山を巧みに避けながら、海上はみゆきの顔を覗きこむ。

「その……常澤さんの事件に関して何か思い当たる事があるようでして……」

 常澤と聞いて海上の目が鋭く細められる。

「何か思い出したのか……みゆきちゃん」

 みゆきはカバンからスマホを取り出すと、ひよランドを立ち上げ、美弥子から来ていたメッセージを二人に見せた。


四月十七日  20時32分

 オーッス! 今日はお昼ご飯邪魔しちゃってごめんね~

 でも私が話してすぐにひよランド登録してくれたんだね! あざまる~!

 何となく色々検索したら、すぐに見つかったし

 これはもう「ひよ友」になるしかないっしょw

 んじゃ。マジはまるからやり過ぎに注意だし! 分かんない事あったらいつでもおけ!


四月十八日 午後4時12分

 おーっす! なんか忙しい系? 講義で見かけたけど、すたすた出ていっちゃったんで声掛けらんなかったし。

 ログインもしてないみたいだし。(昨日のメッセも未読だよ~泣)

 もしなんか困ってることがあるなら、言ってちょーだい!

 実はさ、私も聞いてもらいたい事があるんだ……

 んじゃ! また明日!


四月十八日 午後7時38分

 ごめん、まだ見てもらってないかんじ……

 マジでさ私の方が切羽詰まってきたかも……

 ここ何日か、なんか変なおっさん? につきまとわれてる気がするんだ……

 変なメッセも来るしさ~、マジありえんし

 つっても、何かされるってわけでも無くて、気づくと眼の端に誰かいるって感じ。

 今、バイト中なんだけどさ、店の外でうろついてるみたい……

 ちょっとヤバいかも……


四月十八日 午後9時22分

 一日何度もごめん

 見てくれたら電話ちょうだい。

 090-○○○○-●●●●

 おっさんはいないっぽいけど、怖いから寮に泊めてもらおうかと思って……


四月十八日 午後10時15分

 今バイト終わった。

 それとなくバ先のオーナーに不審者が居ないか聞いてみたけどいないって

 わざわざ外まで見に行ってくれてありがて~

 考え過ぎだったかな?

 東京はこえ~し(笑

 何個も送ってマジゴメン

 じゃ、帰りまーす!


 この帰宅途中に、何者かによって常澤 美弥子は殺害されてしまったことになる。

 海上は眼を見開いて画面を見つめている。

 恐らく今まで無かった犯人像に迫る情報なのだろう。興奮を押し殺しているのが分かる。

「……確実な事は分からないけど、少し前から狙われていた可能性があるねぇ。尾行つけて人気の無い所で襲ったんだろう……」

「あたしがこれに気づいていれば……」 

 みゆきが悄然しょうぜんとした面持おももちで呟く。

 すると百合が小首を傾げながら「それは違いますよ」と言った。

「海上君の言う通り……常澤さんは恐らく前から狙われていたと考えられます……例えその日はみゆきさんの部屋に逃げ込む事は出来ても、近い内に襲われていたと思います……」

 みゆきは呻いた。美弥子はどうあっても死ぬ運命だったと言うのか。自分と同い年なのに、理不尽すぎる……

 みゆきは無性に悔しくて、また目頭が熱くなる。

「みゆきちゃん。可哀想だけどね、百合の言う通りだよ……」

「海上さん……」

「もう知ってるかと思うけど、蟷螂事件の犯人は動きが読めない。この数日で4人も殺しちまった。動機は不明だけど、これを読む限りでもどうも単純な通り魔じゃなさそうだ」

 二人が言いたいのは、必要以上に気に病むなと言う事だろう。

 実際そう言われて心が軽くなる自分もいるが、自分のせいじゃなきゃ良いのかと自己嫌悪に沈む自分もいる。

 そう考えると色々辛くなって頭を抱えた。

 いたわるようにみゆきの背を撫でながら、百合は海上に目を向けた。

「犯人に強い動機があるとなると……被害者の方々の共通点が気になりますね……」

「それは警察も最初から洗ってるが、全く見えてないんだよね……」

「もう一つ気になるのは……常澤さんは尾行の前か同時くらいに、犯人から何らかのメッセージを受けていたようですね」

 そう言われてみゆきはもう一度画面に目を通す。

 確かにさらっとだが、そう思わせる内容があった。

「本当だ……」

「常澤さんを殺害するほどの強い動機があるならば、その他の被害者の方たちにも同じ理由が必要になる訳でして……」

 みゆきはニュースを思い出す。

「でも、年齢も地域もバラバラで、美弥子と共通項がある様に見えないです……なんか妙に複雑な感じがして、掴みきれないです……」

「そう! みゆきさんっ! そうなのですっ! まさにその消化不良感なのですっ!」

 百合が突然大声を出したので、みゆきは面食らった。

「その……こう言う時は、モヤモヤしている色々な問をいっそ単純化してみるのです」

「単純化ですか?」

「はい……私たちは事件を捉える時、どうしても中心点に常澤 美弥子さんを無意識に据えていました」

 海上とみゆきは黙って聞いている。

「要はですね……端的に言うと、今や広範囲に及ぶ被害者の全てに、そもそも共通項など無いのではないかと言う事です……」

 百合は、二人が固まっているのを、意に介さず続ける。

「……つまり犯人の目的は常澤さんのみであり、その他の方はフェイクと言う考え方です」

 この発言にはみゆきと海上も呆然として

「えぇ?……それって、常澤 美弥子殺しを煙に巻く為に、関係無い人間を殺しまくってるって事かい?」

「はい……そう言う可能性もあるということです」

「そんな……」

 とてもじゃないが信じたくない悪魔の所業だ。

 海上も苦虫を噛み潰したような顔になる。

「それはさぁ……幾らなんでもあり得ないんじゃ……」

「……無理があるのは承知です。ただ……」

「ただ?」

「はい……木の葉を隠すなら森の中の考え方で行くのでしたら、常澤さんともう一人、もしくは数名に共通項があり、残りの人はフェイクと言う考え方もできる訳でして……つまり全員に共通する何かが無くともですね、その内の何人かに共通するものが見いだせれば、犯人へ近付く事が出来るかもしれません……」

 海上は目頭を揉みながら、

「でもさぁ……あれじゃん? 常澤 美弥子自身がフェイクの可能性があるってことでは?」

 百合は首を振って否定する。

「それは無いです……そのメッセージが証拠です。どうやら犯人は、意志を持って常澤 美弥子さんを付け狙っていたように思われますので……」

「ダミーの為に、危険を冒して尾行はしないってことか……」

 海上はおでこに手を当てて溜息をつくと、ブツブツ言いながらソファに腰掛けた。

 みゆきはじっと画面を見つめる。そこに美弥子からの隠されたメッセージでもありやしないか、もうなにも見逃さないと言う思いでメッセージを目で追う。

「まぁ、でもみゆきちゃんのおかげで捜査は進展しそうだ……これまでに無い情報だし。犯人が通り魔じゃなさそうだってだけでめっけもんだよ」

 そう言うと、海上は背伸びして腰を上げる。

「ありがとね。お陰で本部にいい土産が出来たよ」

「あ、あの、ちょ、ちょっと一つ確認したいんですが……」

 立ち去ろうとする海上に、百合がもじもじしながら呼び止める。

「そもそもなんですが……この……メールソフト? は何ですか?」

「メールソフト?」

「あ……いえ、な、何かゲーム画面みたいでかわいいな、思った訳でして……」

「ああ。これはいま流行はやってる『ひよランド』でしょ? 俺には無縁だけど……」

 みゆきは百合の方に画面を見せて、うろ覚えの知識で説明する。

「……そういうわけで、このメッセージ機能は、相手に向けて個人的なメッセージを打つ機能ですね……」

 みゆきの説明に、百合は真剣な顔をして「なるほど……」と言った。

 ここでいきなりみゆきの頭に電撃が走った。

「……そうか!」

 突然の大声に、百合と海上は飛び上がる。

「美弥子は『ひよランド』を結構やりこんでいたみたいなんです」

 それがどうしたと言う顔をする海上に、みゆきは興奮しながら言った。

「つまり! 私以外の他のフレンドにもメッセージで相談しているんじゃないでしょうか?」

 海上の顔があっ! と叫ぶ。

「なるほど……みゆきちゃんだけじゃなく、ほかの友達とかに詳しく相談している可能性がある……ってことか! ……みゆきちゃん! 冴えてるじゃないか!」

「はい! しかも、もしかしたら、犯人がメッセージで美弥子に接触をした履歴も残っているかも知れません!」

 藪に迷い込んだ三人は、一筋の救いの糸が垂れて来たかのような明るさに包まれた。

 捜査本部に情報を持ち帰って調査すると言い置いて、海上は脱兎だっとの如く飛び出して行った。

 その背中を見送りながら、みゆきは大きく息をつく。百合はその様子を見つめながら

「もう……大丈夫のようですね?」

 と問いかけると、みゆきは大きく頷き、

「はい……お二人のお陰で何とか……これで……これで解決すると良いんですけど……」

 そうですね、と百合は言い、自席に腰掛ける。

「とは言え……蟷螂事件は全国規模になっていますので……犯人を絞り込むのは容易ではない気がします……」

「……」

「とにかく、あとは海上君に任せましょう……それはそうと、あちらの件ですが……」

「あちら?」

「はい……理神庵に行く件です」

 言われて知佳の事をすっかり忘れていた事に気が付く。美弥子のメッセージに気を取られてしまっていた。そんな自分の非人情な迂闊さを呪う。

「はい……。あの今日は午後からの講義は全て休講にしてしまったので、もしみゆきさんの都合が宜しければ……その……ご案内頂きたいと思っているのですが……」

 みゆきはスマホに登録した履修予定を確認する。

 幸運にも午後の授業は一般教養の授業ばかりで、出席を取られるようなものではなかった。その旨を伝えると、百合は申し訳なさそうに笑って仕度を始めた。

 ふと、みゆきの脳裏に、また両親の顔が浮かんだが、……お父さん、お母さん、ゴメンなさい……でも人助けなんです!……と、心の中で謝りながら、甲斐沢研究室を後にした。

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