第21話 真実
馬車は城内の広場に止まった。馬車の荷台の上に乗せられていた僕は力ずくで降ろされたが、いきなりだったので転んでしまった。
「さっさと立ちやがれ」
若い男の一人が笑いながら蹴ってきた。蹴られることには慣れてはいたがコイツの蹴りはなぜか許せなかった。許せない思いを力を込めた。
僕は立ち上がりながら、その男に体当たりをかましたが、軽く避けられてしまった。
「調子に乗るなよ」
そう言うと僕はまた蹴られてしまった。これには僕の反抗心も打ち砕かれ、転がり頭を抱えるしかできなくなってしまった。
「そのくらいにしておけ。そうじゃないとまた隊長にどやされるぞ」
年配の男に言われて、僕を蹴った男はつまらなさそうにしていた。
「隊長だってこのくらいは許してくれるさ」
「お前はそんなんだから出世出来ないんだ!」
若い男は明らかに不機嫌な顔をしたが、その時、城内から現れた若い女性騎士の顔を見ると静かになってしまった。
女性騎士は緋色の髪を短く刈り込んでおり、固く結んだ口元からの表情に長身で鎧の上からも分かる引き締まった身体は一見すると男性と間違えられるが、目元が涼やかなので美人と言っても過言ではない。
「レイア隊長、アレクを連れてまいりました」
僕を蹴った男が報告した。それで手柄を一人占めしようとするのが小物と言われる理由なんだろう。
「いちいち報告しなくてもいい!」
その容姿からは想像できない可愛らしい声であったのが意外であった。
「この少年は口がきけないようですがいかがいたしましょう?」
「コイツが喋れなくても問題ない。我らが必要なのは王と王女の証言だけだ」
レイアの先導で僕は城内を進んだ。城内は入り組んでいたがレイアは迷わず進み続けた。しばらくすると広間にたどり着いた。
そこには落ち着いた感じの男と僕のよく知る女性が大きな椅子に座っていた。その女性はあのミラであった。いつもの落ち着いた感じの服とは違い、きらびやかな装いで身を包んでいた。
「なぜ、アレクがここに?」
ミラは状況が掴めていないようだ。だが、尋常な事が起きているのはなんとなく理解しているようだ。
ミラの隣の男は眉一つ動かさないで僕を睨んでいる。そして、一言呟いた。
「こんなことになるならあの時殺しておくべきだった。儂の甘さがこの事態を招いてしまった」
「お父様のせいではありません。私が悪いのです」
いつものミラとはまったく違った話し方で、他人かと思ってしまうがそうでないことは僕には分かる。
「お前に責任は無いがお前の存在がこの国の終わりの原因なんだよ」
レイアがまた訳がわからない事を言い出した。僕は答えを求めるようにミラを見たがミラからは何の答えもなかった。
これほど声を失っていることがもどかしいと思ったことはなかった。唸声を上げても答える者は誰もいなかった。
「王よ、お前が何も言わないのなら私が代わりに言ってやろう」
レイアが何か言おうとした時、王と呼ばれた男が口を開いた。
「お前は儂の子だ。だがお前は忌わしい呪われた子供なんだ」
王は苦しい過去の出来事を話し始めた。
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