第9話 人についての会話
「そう言えば」
「そう言えば?」
「今、人間の間で肉体を捨てることが流行っているらしい」
「知ってる。ネット上に自分をアップロードして、完全に性から解放されたニュートラル体なるものに進化するそうだね」
「はー……」
「ため息ついてる(笑)」
「進化しているようで、それって実は退化してるんじゃない?」
「ああー、性別が分かれる進化前の状態は無性別という……」
「植物でも、動物でもない、もうちょっと原始的な生物に還っているのでは?」
「古来から理性の薄弱さで有名だった人間だから、生物的にも原始の姿に戻ったんだよ(笑)」
「……多分、どんどん進化して最終的に菌類かアメーバのようなものに戻るだろう。生命の進化が一つの樹であるとしたら、枝先にいた人という種は根源に還るの」
「もしかして!そうやって、人という種というものは引きつ戻りつする波のように、進化と退化を繰り返して来たのかも」
「そうかな」
「だって進化しつづけたら、いつかは限界が来るもん」
「だから退化?うーん、ちょっと理想的すぎるな」
「でも頭いいでしょ」
「アホだよ」
二匹の鯨はそう会話しながら、海の中を絡み合い、泳ぎ去って行った。
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