第5話 バスタブに宇宙

 思い立って、今日はほかほかのお湯をはった湯船に宇宙を入れてみることにした。

 脱衣所の棚から宇宙を一袋取ってきて、バスルームに入る。

 袋の口を切って、お湯の上で斜めに傾けた。

 サラサラと音を立てて、乾燥した宇宙の素が水面から湯の中に落ち込んで行く。

 お湯が真っ黒に静止する。しばらく待つと湯船が泡立ってきた。パチパチと弾ける音がして、ビッグバンが起こる。

 インフレーションがおこり指数関数的な急膨張が始まった。湯船の温度が上がる。

 私は素早くタオルをバスタブの縁に置くと、足を上げて湯船に身を沈めた。

 お湯はじょじょに冷めている。

 ゆっくりと、慎重に肩まで浸かる。水素やヘリウムなどの元素が、二の腕の辺りで合成されて核融合反応を起こして光り輝く。

 ガスから恒星が誕生すると、恒星の中心では高温高密度の環境で核融合反応が起こり、より重い原子核が形成されて、超新星爆発で宇宙にまき散らされた。

 酸素原子核がポコポコと小気味の良い音を立てて浮かび上がる。私は体を伸ばしてぐんと伸びをした。

 良い気晴らしになったと思う。









 ✧••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✧




 面白いと思ったら、☆評価・レビュー・ブクマよろしくお願いします!


 評価ボタンは最新話の下にあります。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る