玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり・ダッシュ

なるるん

第1話:玄関ダッシュ五秒の女子高に通う男子ひとり




 自宅玄関を開けて、目の前。


 さほど広くない道路を挟んで正面に見える、大きな学校。


 『私立東雲しののめ女子﹅﹅高等学校』


 近隣では、そこそこ有名な、お嬢様学校。


 通称『しの女』


 ただ、昨今の少子化の影響もあって、生徒も激減。


 女子だけでは、と、共学化を模索しはじめたらしく。


 昨年からは一名だけ、男子も在籍。



 ただ。



 完全な共学化ではないため、男子用の制服が用意されておらず。


 女子と同じ、制服。


 さらに校則で『下着は白か無地の淡い色のブラジャーとショーツ』なんてのもあって。


 男子といえど、校則に従って。


 中も外も、しっかりと女装した状態で。


 なんなら、ブラジャーやショーツの中に入れる『上げ底』も活用して。


 より、ふっくらと女の子な風味に仕上げて。


 そんな男子が一人通う『東雲女子﹅﹅高等学校』は。


 『女子』の名は取らず、そのまま『女子校』状態ながら。


 今年から、男子ではなく『トランスジェンダー女子』すなわち、身体的特徴は男性でも、精神的には女性って子も二名入学。



 そんな『しの女』へと。


 玄関の目の前。


 押しボタン式の信号機が、青に変わっていれば。


 スカートをひるがえしつつ、ダッシュ五秒で通学完了!


 なんてリッチな立地! やったね!


 って、そもそも通学時間それが一番大きな理由で、この学校を選んだところも、あり。



 去年……入学前に。


 通学時間それ女子服これを天秤にかけて。


 悩んだ結果。


 ただひとり女子高に通うことになった、男子。


 それって。



 あたしのこと、なんだけどね!



 最初は。



 完全に『おかしな女装をした男子』状態。


 その状態で『男子に慣れていない女子先輩や先生』が『男子に慣れるように』と、設けられた特別活動カリキュラム


 当時二年生の女子先輩三名と、担当の先生と一緒に。


 通称『八時間目』の活動を通じて、少しづつ。


 母親もノリノリで一緒に女子の下着やら洋服やらを買ってくれたり。


 女装専門ショップなんてコアなお店の店長さんとも仲良くなったり。


 中学時代のお友達を通じて知り合った、トランスジェンダーなの女の子と一緒に、少女向けファッションモデルのアルバイトしてみたり。



 『オレ』だった一人称が『ウチ』になり。


 いつの間にか『あたし』に変わり。


 一年経って『なんとなく女子っぽい男の子』状態へと、変貌した、あたし。



 園田そのだ真綾まあや



 この名前自体がもともと女子っぽいってのもあってか。


 今はもう、違和感も少なく。


 溶け込んだ女子校生活。


 二年生になって、新一年生の後輩も、できて。


 新入生のトランスジェンダー女子二名と、男子に慣れない女子二名。


 四人のメンバーを新たに加えて活動した春からの、一学期。



 あたしにとっては二年目の一学期も、なんとか終えて。



 夏休み。



 一年半、一緒に活動していた三年生の先輩たちも、受験勉強のために、と。


 この夏を最後に、八時間目の活動から『引退』される。


 だから、引退前の最後の活動を、って。


 夏休み早々に開催される、企画イベント


 去年のノリでいけば『夏合宿』ってことで、海辺の別荘に繰り出すかと思いきや。


 少々、事情ができて、別の企画イベントになることになっていて。


 今は、その企画イベントの会場へと、向かいつつあるところ。


 なのです。






――――――――――――――――――――――――

てことで、はじまりました、玄関ダッシュ続編です。

本日、初回三連発、1時間毎の後は、地味に飛び飛びになるかも? デス。


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