第12話 トカゲダンジョン制覇

 さあ、トカゲダンジョンでライブ配信。


「みんなのアイドル、ルミナスセインツ・チャンネル始まるよ!」

「汚らしいモンスターは、ゴッデスクラス浄化ですわ」

「セイントブレスで丸焼きしちゃうぞ」


⌚:プロテインゲーマー こいつらのツラの皮はもはや鉄板

🚀:ロケットオールドマン 今回も極悪なことをしそうだな

☃:どさん子どすこい 警察はなにやってんの

🚭:禁煙父さん この動画を見てないはずないのに

⚽:オレだよオーレイ! そりゃ時間掛かるよ! 白骨死体の検証も済んでない!

🙂:ぴーす桶丸 包囲網は確実に狭まっているはず

💇‍:美容室『若草』 こんにちは


 美容室『若草』はお婆さんの所だ。


「若草さん、こんにちは」


⌚:プロテインゲーマー 黒魔術で綺麗にしてもらった店じゃないか

☃:どさん子どすこい みなさん、営業妨害の発言を狙ってます 注意されたし

☕:Cブレイクショット 虐めっ子のSNS見たよ 顔を幻で変えてパンツを売りに行かせられたらしい

☠:Aトランク覚醒者 酷いな。復讐だとしてもやって良い事と悪い事がある。

☕:Cブレイクショット 示談書を書かされたらしい 一生、金を毟り取るつもりのようだ

⌚:プロテインゲーマー 黒魔術には手も足も出ない 早く誰か対策を見つけてくれ

✌:カツとじ もっとやらかせよ。虐めっ子を呼び出してユリユリのエロエロしろ。

💇‍:美容室『若草』 お店の宣伝良いですか?


「店の宣伝は気の済むまで、どうぞして下さい」


💇‍:美容室『若草』 美容室『若草』ではアイドルゴブリンさんの『ぐえぐえぎゅん』サービスを行ってます 是非いらして下さい

⌚:プロテインゲーマー 俺は絶対に行かん! くそっ! 悪口を言えないのがつらい

☃:どさん子どすこい 確かに黒魔術は怖い 助けてレーベお姉様


 コメントを見るのを辞めて討伐に集中する。

 れいが変な技を覚えたの。

 殺気みたいなのを飛ばすと、ザコモンスターが固まってしまう。

 ボスには効かないけど、威力抜群。

 おかげで、魂契約と収納が大忙し。

 ダンジョン攻略が早く済んで良いのはあるけどね。


 3時間ほどでラスボスの部屋。

 ラスボスはドラゴンほどの大きさのトカゲ。


 さすが、ラスボス。

 でもね。

 れいには敵わない。


「やっておしまいなさい」

「うん」


 れいがジャンプして、ラスボスの頭に拳を叩きつける。

 ラスボスの頭は床にめり込んだ。


 魂契約して、収納してお終い。


☕:Cブレイクショット あれって黒魔術で力を増幅してるのか

⌚:プロテインゲーマー マンションを倒壊させるパワーだからな

☃:どさん子どすこい 警察が逮捕できないから、余裕なのね

❌:ぺけぺけおっぺけ やりたい放題だな

☠:Aトランク覚醒者 これってAランクハンターでも無理ゲー?

🙂:ぴーす桶丸 くそっ、正義はいないのか?ヒーローは現れないのか?

✈:大空葵 迷惑系はほとんど無敵 海外に逃げた奴もいるからな

☃:どさん子どすこい レーベお姉様、極悪ルナティックの奴らを懲らしめて下さい


「今日は短いけど、これで終り。じゃね。応援ありがとう。チャンネル登録をお願いね」

「感謝ですわ」

「僕、次も頑張るよ。またねー! バイバイ!」


 配信を終了。

 ダンジョンコアを取った。

 ダンジョンから出るとフラッシュが一斉に焚かれる。


「きゃっ!」

「何ですの?」

「ええと、何か用?」


「マンションの白骨死体との関連が噂されていますが、どうなんですか?」


 警察が動かないのはハンター協会が押さえてるから。

 もっとも、マンションの件は何もハンター協会に報告してない。

 魔王崇拝者のマンションだから壊したでは済まないから。

 オーナーは死んでるけど、相続人のひとりぐらいいるはず。

 損害賠償は勘弁して。

 私達は悪くない。


「マンションが倒壊した時に私達は動画を撮ってました」

れいさんは動画に映ってないようですが。さっきの配信でモンスターが一撃で床にめり込んでましたよね。マンションも同じでは?」


れい、あの時はどこにいた?」

「埼玉県の秩父で観光してた」


「埼玉なら、飛行機は使えませんよね。ヘリなら使えば会社に記録が残ります。そういうことです。防犯カメラのどれかに映っているはずですから、調べてみたらどうですか?」

「関係ないとおっしゃるのですか」


「ええ、あの場にいた私達はね」


 あの美容室にいた私達にれいは含まれないけど、それは言わない約束。


 帰ると、テレビに映ったことで、大炎上。

 顔にモザイクが掛かっているのに、特定が早い。

 きっと、虐めっ子の仕業ね。

 示談書の内容は守っているけど、それに私達の悪口や情報提供は含まれてない。


 やりたくないけど、魂契約しないといけないようね。

 賢狼けんろうさんに、透明化魔法を掛けてもらう。

 そして、虐めっ子達を魂契約して収納。

 収納した先は白い空間。

 床も壁も天井も存在しない。


 1時間ほど放置。

 人気のない公園で、収納スキルから彼女らを取り出した。


「けけけけ」

「ひゃひゃひゃ」

「あぷあぷあぷ」


 狂ってるね。

 やり過ぎた。

 狂気って浄化できるかな?

 駄目なら駄目でべつに良いかな。

 彼女らはそれだけの罪を犯している。

 虐めの被害者が私だけではないみたいだから。


「【神級浄化】」


 彼女らの目に理性が戻った。


「メスオーク、何で私がここに」

「あの白いのはなんなの?」

「あんたの仕業ね」


「天罰よ。これに懲りたら真っ当に生きなさい。もっともそういう生活しかできないけど」


「何したの?」

「黒魔術を使ったの?」

「だから辞めようって」


「やられっぱなしで退けるかよ」

「そうそう、メスオークに負けたら、私達底辺って思われるし」

「私、もうやらないから」


「はいはい、今から大変だと思うけど頑張って」


「何が。あれっ、落ちているゴミを何で拾ってるの?」

「うわっ、犬の糞を拾ってる」

「ええっ、勝手にゴミを拾ってる」


「ゴミ箱なら捨てられるからね。頑張って」

「くそっ」

「優等生なんてやってられっか」

「虐め、やめるって言ったのにぃ」


 善行して生きなさい。

 近所の評判が良くなって、いろいろと良い影響が出るかも。

 でも、今の態度じゃ無理かな。

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