第5話 【リベンジ・1】


 翌日、俺は昨日の事が夢じゃないのか確認する為、ステータス画面を確認した。


名 前:東条とうじょう はじめ

性 別:男

年 齢:18

レベル:10

体 力:54

魔 力:30

筋 力:58

知 力:44

敏 捷:58

器 用:47

〝才能〟

【剣術:1】【身体強化:1】

〝特殊技能〟

【無限迷宮】

〝加護〟


 すると、ちゃんとステータス画面が現れて少し安心した。


「これで夢落ちでしたってのが一番最悪だったからな」


 それから昨晩残った肉を軽く野菜と一緒に炒め、少し遅めの朝食を食べた。

 今の時刻は10時、昨日晩飯を食べて直ぐに寝てしまってそれからグッスリと長時間寝ていたようだ。


「まあ、昨日は疲れてたからな……それにまだ24時間経ってないから、時間には余裕があるし」


 ふとステータス画面を見て確認すると、まだ数時間の余裕がある。

 死んでから24時間は意外と、あっという間では無いと言う事が分かった。


「取り合えず、ハイゴブリンの事と後は魔石の換金をもっと楽にする事の二つを調べないとだな」


 その後、俺はノートパソコンを開いてハイゴブリンについて検索をした。

 ゴブリンの上位種。

 ゴブリンを従えており、ゴブリンを指揮する能力を持っている。


「これは昨日戦って大体わかってたけど、そこまで詳しく載ってないな。他のサイト見るか」


 一番最初のサイトから他のサイトへと移動し、ハイゴブリンの情報を集めて行った。

 そしてある程度の情報を集め終わった俺は、次に魔石問題について考えた。


「こっちに関してはマジで難しいんだよな……」


 そもそも探索に慣れた覚醒者でさえ、魔石を大量に持ち込むなんて事は殆どない。

 それこそランクの高い覚醒者なら、魔物を蹂躙して手に入れるなんて事は出来るが俺はまだ覚醒して二日目。

 そんな奴が大量の魔石を持ち込んだら、怪しまれるに決まっている。


「今すぐ思いつく方法は二つ。闇市で処分するか知り合いに助けてもらうか」


 闇市とはその名の通り、表立って取引できない様な代物が売られていたりする。

 だがそこを使いすぎると目を付けられて、逆に死の危険性すらもある。


「だとしたら知り合いに助けてもらうかだけど、こういう事で手を貸してくれそうな人は一人しかいないんだよな……」


 だが彼女には色々と借りがありすぎる。

 いつ返せるか分からないのに、また借りを作るのは……。

 そう俺は悩んだが、他に良い解決策が見つからずスマホで彼女に連絡をした。

 それから一時間後、俺は自転車に乗って彼女が居るビルにやって来た。


「これはこれは一様、お久しぶりですね」


「平岩さん、今日もお疲れ様です」


 ビルの中に入ると、一人の渋めのおじさんに話しかけられた。

 彼——平岩ひらいわ 義久よしひささんは、俺が会いに来た彼女の護衛。

 優しそうな見た目だが実際は、Bランクの覚醒者だ。


「すみません。お嬢様は急遽入った用事を済ませていますので、少々お待ち下さい」


「いえ、大丈夫です。どちらかというと、俺の方が急に入った用事のようなものですから……」


「いえいえ、お嬢様にとって一様の用事こそが最優先ですよ」


 ニコニコと笑みを浮かべる平岩さんに、俺は苦笑いを浮かべた。

 それから案内された部屋で30分程待っていると、部屋を開けて一人の女性が入って来た。

 彼女の名は東雲しののめ 瑠衣るい、幼少期からの付き合いで俺とは元婚約者関係でもあった。

 幼い頃に覚醒し、覚醒者として迷宮に潜っていた。


「一がこうして私に会いに来るなんて珍しいわね。もしかして、覚醒でもしたのかしら?」


「……」


「……えっ、嘘。本当に覚醒したの?」


 瑠衣は冗談のつもりで言ったようだったが、俺の反応を見て凄く驚いていた。

 まあ、俺が非覚醒者で居たから婚約破棄になってしまったというのもあり、まさか俺がこんな時期に覚醒するとは思わなかったのだろう。


「それじゃあ、実家に戻る挨拶にでも来たの?」


「いや、実家に戻るつもりは無いよ。非覚醒者だから捨てられ、高校を卒業したら家族の縁も切ると言われてるんだ。覚醒したから戻ってこいって言われても戻るつもりは無い」


「まあ、一の性格からしてそれは無いと思ってたけど、じゃあ何で私の所に来たの?」


「実はちょっと相談があってだな……瑠衣以外に相談出来ない内容なんだ」


 俺がそう言うと、瑠衣は視線を上げ「出てて」と口にした。

 平岩さんはその言葉に頷き、そして天井裏や他の所にも気配を感じていた者達が部屋からいなくなった。


「ありがとう。他の護衛も下げてくれて」


「いいのよ。一が真剣な顔してるんだから、私もちゃんと向き合わないと家同士は破棄したけど、私は今でも一の婚約者でいるつもりだし」


 瑠衣は恥ずかし気にそう言い、俺は瑠衣の言葉に頬を少し赤くした。

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