第13話

2045年より愛を込めて 第013話 愛知


「初対面だけど、アンタの誕生日が解りそうな気する」

「事前に調べたがや? 言ってみるぎに」

俺は事前に保菌検査を受けたので陰性を引っ提げて

生活区分5MAX外出とか言う決まりごとの中で

「10月25日だろ?」

「ううう、うす気味悪いがや。なぜ、当たるぎに?」

「……ちょっと待て。ガヤ、方言」

……ピコン、名古屋ことばで、若者は余り使用しません。

「なあ、多少、癖で出るのは見逃すけど

 標準語で話してくれないか?」

「わ、わかったがよ」

「単刀直入に言うわ、心臓、苦しくねえ?」

「ううう、左心房のことも知ってる?

 ねえ、君、名前は? 有名人なの?」

「全然有名じゃねえよ。でもな、俺も心臓関係で

 手を焼いてるひとりなんだ」

「君も左心房がないの?」

「ああそうか、名乗るんだったな。

 田中亮磨。大政奉還の坂本龍馬とは漢字が違う」

「ううう、漢字、苦手……」

「あとでLINEに大事な情報を流してやるよ」

「生活区分5MAX外出は20分で終わり」

「明日観な、明日も来れるか解らないけど」


田中亮磨と坂本竜馬のファーストインプレッション。

名乗る時、龍馬と漢字が違うと言ったが

よりそれに近いのは坂本竜馬のほうだわな。

俺は主人公気質があるから

つい、自己を軸に物語を考えちまう。


坂本竜馬、同名同盟の運命共同体。

彼奴が消えると、俺様も消えそうな気がする。

神様のオーダーメイドで作られた

反対側が足りない心不全部位。

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