第43話 アピアランスケアなのか?
がん治療に伴う脱毛や皮膚の変化、手術創など外見の悩みに起因する苦痛を軽減するためのケアをアピアランスケアというらしいのですが、
「ママはどんなママでも可愛いよ」
「禿げても可愛い、可愛い」
「大丈夫、大丈夫」
「ゴラム(ロードオブザリングに出てくるハゲの妖怪)でも可愛い、可愛い」
「見慣れた、見慣れた」
家族によるアピアランスケアが全く心に響きません。
抗がん剤治療をいざ受けることになったら、生じるかもしれない副反応について頭を悩ますことになるとは思うのですが、まず、第一に頭に浮かぶのが、
「抗がん剤とくれば脱毛だよなあ」
ですよね!
闘病中の子供が出て来る医療ドラマなんかを見ていると、髪の毛が抜けちゃった設定でニット帽をかぶっている子供がほぼ百パーセントの確率で出てきますもの。
私の場合は漏れたら壊死するドキソルビシンというお薬がかなりの確率で脱毛を進めていくということで、
「まず確実に脱毛はします」
と、お医者様から説明を受けておりましたし、
「生きている間にお坊さん並みにマルハゲになる日が来るとは思いもしなかったけど、良い機会だから作務衣でも着てお坊さんに寄せていくか?それともイスラム教の信者さんがスカーフを頭に巻いているようにしてヒジャブ体験するか?」
抗がん剤治療をする前までは本気でそんなことを考えていたし、ヒジャブ用のスカーフも事前に用意していたんですが・・今現在、胃の不快感でメンタル下がりすぎてヒジャブをやる気は一切起きておりません。
私的にはズバーッと髪の毛が抜けてマルハゲ状態になるかと思ったのですが、今現在も微妙に髪の毛が残ってゴラム(ロードオブザリングに出て来るハゲの妖怪)状態なんです。家族はアピアランスケアをしてくれているようなのですが、
「おばさん相手にハゲでも可愛い?」
家族の気遣いに感謝、感謝だけれども、心に響かねえ〜。
ブッサイク!と言われるとか、逆に無視されるとか、そんなことではないので有り難いことと思わなければならないんだろうけども、
「うーん・・カツラでもかぶるか!」
新たな一歩を踏み出すために、今まで箱の中に入れっぱなしだった三千八百円のウィッグを使ってみることにしたんです。
手術で入院した時から医療用ウィッグの説明を看護師さんから受けていたのですが、カツラの値段はピンからキリまで。オーダーメイドだと30万円からだそうですし、カツラだという違和感が少ないものを選ぼうとすると20万超えだったりするので、住んでいる自治体の助成金が利用できないかどうかを調べてみた方が良いみたいです。
抗がん剤による脱毛の時期は、薬の種類などで個人差はあるんですが、治療を始めた一ヶ月後にはドバーッと抜けます。そうして抗がん剤治療終了後、1・2ヶ月後くらいから髪の毛が生え始めて、ベリーショートになるのに半年から一年かかると言われています。
私の場合は三週間ピッチで6サークル抗がん剤治療をするので、順調にいけば4ヶ月ちょっとで治療は終了。そこから半年から一年でベリーショートになるとして、髪の毛が生え揃うまでに10ヶ月から16ヶ月かかるってことですかね。
「一年ちょっと使うために20万から30万のカツラを購入するべきかどうなのか?」
対面のお仕事が多い方はやっぱり違和感の少ないウィッグの方が良いとは思うのですが・・(私の姉も乳癌を患った際の抗がん剤治療で脱毛し、30万円のウィッグを購入していた)
「問題は抗がん剤の副反応が出るのは個人差があり過ぎて、自分が今後どうなるかが分かったものじゃないってところだよなあ〜」
場合によっては吐き気が酷過ぎて仕事どころじゃないってことになるかもしれないですし、私の個人的な意見としてはまずは一回、抗がん剤治療を受けてみて、自分の副反応がどれくらいなのかを把握した上で、高いウィッグを購入するかどうかを決めた方が良いんじゃないのかなと思います。
そもそも薬によってあんまり脱毛しない場合もあると言いますし、まずは脱毛用に安めのウィッグを購入しておいて、いざ、お仕事を始めようかという時に、
「高いのを購入するか、安いままでいくか」
を、検討しても良いのでは(体調の変化も個人差があるので)ないかのかなあ。
ちなみにネットで抗がん剤、脱毛、医療ウィッグで調べると山ほどカツラが出て来ます。大概が医療用でも使えるしコスプレでも使えますというもので、若くて可愛らしい子がウィッグをつけている写真を見ていると、
「3800円でもカツラをかぶっているようには見えなーい!」
おばちゃんはお値段の安さとクオリティの高さに興奮しちゃうわけですよ。
レビューを見てみると抗がん剤治療で脱毛した人たちが利用してみたという書き込みも多いですし、
「職場にドキドキしながらつけて行ったんですが、特に指摘を受けることもなく無事に帰って来ることが出来ました!」
おお〜、好意的なレビューが多いじゃないですか〜。
そこで私は3800円で購入したウィッグ(カツラ)を装着して家族の前に出向くことにしたわけですが・・
「「わはははははははっ!はははははははははっ!」」
「あはははははは!ははははは!」
「ママ!コットンのキョンにしか見えないよ!」
「ハハハハハッ!ははははっ!腹が痛え!」
「化粧?化粧がいけないの?」
「「あはははははっ!」」
家族は大爆笑だったんですね。
おばちゃんがコスプレも可のボブショートのウィッグを装着したのなら、
「そうなんだよ、お笑い芸人コットンのキョンにしか見えないんだよ」
ここでコロコロを両手で持てば、今すぐ家に彼女がやって来るので浮気相手の痕跡を消してくれとお願いされるハウスクリーニングのおばさんネタに入ることが出来るのです。
「まあ、まあ、3800円のウィッグを購入している時点で想定の範囲内よ!」
ウィッグ単体をかぶれはコットンのキョンにしか見えなくても、そこにニット帽を追加でかぶれば・・
「おおおおお!地毛にしか見えない!見えない!」
「いいじゃん!いいじゃん!違和感ないよ!」
驚くほど自然な仕上がりになるんですねえ。
現在、外に買い物に行く時にはウィッグにニット帽をプラスして出かけるのですが、本当に、驚くほど違和感ゼロです。だからこそ思うんです。
「20万とか30万とか、ちょっと高額過ぎるので、まずは安いのを買ってお試しで使用してみた後に、どうするかを決めるのでも良いのでは?」
ニット帽をかぶっても大丈夫な職場だったなら、安いので大丈夫だと思います!
ただし、今は季節的にニット帽をかぶっていても大丈夫ですけど、夏になったらどうするのか・・夏用のニット帽をかぶって凌いでみるのか・・
「もしくはコットンのキョンで行くのか・・」
最近はコントで女装をする芸人さんが多いとは思うのですが、歳とってカツラをかぶるとそっちに寄っていくのはなんでなのでしょうね?
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