第40話  免疫力頼みなんですね

 私が子供の時は風邪をひくと二種類以上の薬を処方されていましたし、

「あそこの先生はよく効く薬を出してくれるから助かるんだよな〜!」

 と言い出すくらい、鼻水、咳、熱発で受診をしたら散剤、錠剤、水溶薬、何かしらの薬を処方してもらいまして、

「お薬を飲んだからきっと良くなるよ〜!」

 風邪の治療と薬はセットでしたよね。


 余談になるのですが、私はブラジルで子育てをしたことがありまして、南米ブラジルで子供が風邪を引いたのなら、

「熱が出たら解熱剤を飲んでおいてくださいね〜」

 処方されるのは解熱剤のみ。


「自分の力で治すことが重要なのよ!それに今は薬は必要ないからね!」

 風邪程度なら免疫力で治すのは当たり前。

「熱が出たら飲ませてね〜」

 ということで解熱剤だけが処方されるのですが、

「だったら小児科受診する必要なくない?」

 とはならないのがあちらの医療。


「肺炎になったら困るから、少しでもおかしいと思ったら受診してね!」

 一回だけ抗生剤を出してもらったことがあるんですけど、その時は胸のレントゲンまで撮ってですね(その時の撮影では肺炎ではなかったけれども)

「お薬処方しておくから飲ませるようにしてね〜!」

 と言われるんですね。


 お金を稼ごうと考えている病院を受診したら、たかが風邪なのに都度レントゲン撮影をしたり点滴を落としたりするんですけど、内服薬の処方はないんです。保険会社がやっている診療所なんかだとよっぽどじゃなければレントゲンもしないです。


「昨晩うちの子、熱が出ちゃったので受診したんですけど」

「熱が出た?薬は飲ませたの?」

「飲ませました!飲ませました!」

「だったら良いのよ〜!」

 熱が出て苦しくなったままでは子供が可哀想!という圧が凄いので38度を超えたら解熱剤を内服させます。とにもかくにも何が言いたいかというと、風邪程度を治すのなら、

「免疫の力を信じて!」

 ってことになります。


「免疫ねえ〜、自分の子供の時には言われたことがない言葉だわ〜」

 そんなこんなで日本に帰って来てコロナウィルスが流行した2022年、娘が熱発と喉の痛みを訴え、近所の内科を受診したのですが、

「完全にコロナに感染をしているね!それじゃあ解熱剤を処方しておくから熱が出た時に飲むようにしてください」

 と、言われることになったんですね!ブラジルと同じやないですか!


 コロナウィルスの治療薬はこれだ!というものがまだ出て来ていない頃だったので、

「あれ・・ここは日本のはずなのに・・」

 解熱剤を処方されてトボトボと帰ることになったのですが、テレビをつければ感染を防ぐにはどうしたら良いのかとか、免疫力をつけてウィルスをやっつけようとか、そんなことばっかり特集されていましたよね。


 免疫、免疫、風邪の菌だろうがコロナウィルスだろうが免疫の力でやっつけろ!ということだったのですが、さてさて、今現在、癌に罹患し抗がん剤治療を受けているのですが、

「免疫、免疫。ここでも免疫かよ〜」

 驚くほど免疫頼みな状況に陥ることになりました。


 たとえば、私は1回目の抗がん剤治療をした後に骨髄抑制からの抵抗力低下、熱がドンと上がりまして、

「抗がん剤治療中に熱が出たらまずは処方された屯用の薬を飲むとして、それ以外はどうしたら良いんだよ〜!」

 ということでネット検索をしましたら、

『抗がん剤治療中に熱が出ることは良くあることであり、必ず受診をするのはもちろんのこと、自分の免疫力と体力を使って熱発を乗り切る必要があります』

 という文面が出て来たんですね。

「ここに来てまた免疫かよー!」


 今の世の中、抗がん剤の種類は数え切れないほどありますし、その副作用は個人差があるのでこれがあれだ!と言い切れないところがあるのですが、

「なるべく副作用は少ない方が良い!副作用を少なくするにはどうすれば良いんだろう?」

 ということでネット検索をしましたら、

『健康的な生活習慣を持つ人や元々免疫力が高い人、アレルギー体質ではない人、過去に重篤な副作用を経験したことがない人が挙げられます』

 また出た!免疫力!


 抗がん剤の副作用は遺伝的な要因(遺伝子を検査した上で抗がん剤を選定するなんてことも推奨されているらしいですし)肝機能や腎機能の状態も副作用に大きく影響するとも言われているのですが、

「また免疫力かよ〜!」

 ブラジルで免疫力、免疫力言われているから、どうしたら良いのかは分かっていますよ〜。


 とにもかくにも、免疫力を高めるためには早寝早起き、良質な睡眠とバランスの取れた食事。適度な運動。これですよ。

「あと果物!果物をたくさん食べなさい!」

 はい!散々言われていました〜。

 

 日本で生活をしているとお薬を飲んで治しましょうという考えが体に染み付いちゃうんですが、

「健康的な生活は健康的な精神から!健康的な精神は健康的な生活から!」

 薬として飲めるのが解熱剤のみ(熱発時に使用)なので、自分の体を使って治していくしかないので、

「スープをたくさん飲みなさい」

「果物、果物」

 ブラジルで散々言われて来たことを思い出し、今日もお値段かなりお安めの八百屋まで自転車を飛ばしていくわけです。

「あと、お茶をたらふく飲みなさい」

 オーケー。

 ブラジルの国花であるイペという花があるんですけど、樹皮を使って作られたイペ茶(癌に効果があると言われている)は手元にないけれど、体の中に残る抗がん剤をどんどん排出するために安いお茶をどんどん飲んでいこうかなと思っております。

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