第2話 8月31日 午後5時

俺は組んでいた足を下ろし、時計を眺めた。


グラスの氷がカラン、と音を立てた。

夏の終わりを認めたくない蝉たちが、やかましく外でパーティーを繰り広げている。

全く、いい気なもんだぜ。


俺に残された時間は少ない。

だが課された仕事はこなさなきゃならねぇ。

どこかで見たような修羅場を何度も超えてきて、今の俺がある。

なあに、こんなもの、修羅場のうちにも入らねぇ。


──さあ。勝負はこれからだ。

俺は鉛筆をにぎり、「夏休みドリル/さんすう」の1ページ目をめくった。

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