第50話 新しい生命の誕生3(明未の視点)

2029/10/10(水)AM0:15


 ママがわたしと蘭お姉ちゃんにこう切り出す。。


「ほ~ら見てごらん桂亜。この2人が、貴女のお姉ちゃんだよ~♪」

「髪若干ブロンド掛かってて、顔もママに似てるっすね~」

「わたし以前『お前はお姉ちゃんなんだから、智枝ちゃんの為にもっと頑張れ』って色んな人から散々言われてたけど、この子の為なら一生懸命頑張りたい!、って本気で思えるよ」

「ボクもっす!。そう言えばあいつら逮捕後、精神鑑定受けさせられたそうっす、国太と安藤も含めて」

「わたし昔、国太から『智枝はまともだけどお前頭おかしいから、いつか精神鑑定受けさせるからな、費用はお前のお年玉から天引きする』って言われた事があって、智枝もそれに同調して来ながら笑って来たんだよ…。」

「そいつらの方が精神鑑定を受けさせられるなんて、皮肉なモンやなあ…。」

「出来れば奴等に我が闇魔法、コンフューズの魔法を掛けてメイミスやオルキスに謝らせてやりたいわ!」


 ざくろお姉ちゃんが怒りの中二病を発動させる中、思わず感極まって。


「今のこの状況に本当に感謝してるんだよ。わたし、皆が居なかったら、特にパパとママがわたしを迎え入れてくれなかったら、今頃どうなってたか…。」

「ボクもっす、考えただけでも恐ろしいっす…。」

「ねえママ。もしオーディションの場にわたしが居なかったら智枝に協力してた?」

「する訳無いじゃん、あんな性悪一家になんか。むしろ速攻で関わるの辞めてたよ」

「俺は最初、明未が居ても智枝に協力するかどうか悩んだけどな…。」

「そう言え姉貴最初『山野 桂さんが出会い厨だったらぶっ飛ばす!』とか言ってたよな?」

「まさかその人と結婚して子供を産むなんて思いもよらなかったよ~♪」

「ほんっとそうですわ、あびるお姉様…。」

「そう言えば今日、BerryenのCDデビューの日だよね?。そんなおめでたい日にこの子が産まれてダブルで嬉しいよ。桂亜の為にも、これから頑張んなきゃ!」


 ママのその言葉に皆同意しながら、パパがこう切り出す。


「さあ、あんまり長居したら病院に迷惑が掛かるし、そろそろおいとまするか、もう日付も変わっちゃったし…。」


2025/10/16(火)


 BerryenのCDデビューから6日後、冬目さんから『学校が終わったら会社に寄って欲しい』という連絡が来て、わたし達3人は社長室に行くと、社長がこう切り出す。


「お前達、報告が2つある。先ず1つ目は集計結果についてだ、桜庭、頼む」

「解りました、では発表致します。先ずデジタトゥの最新アルバムの初動売上枚数は302万枚です、勿論初登場1位です。続いてシングルの初動売上枚数は、デジタトゥは300.3万枚です」

「初動300万枚以上って…。俺マジで怖くなって来たぞ?」

「てかそんなに売れるなんて、あまりに凄過ぎてわたし、言葉を失ったよ…。」

「ボクもっす…。」

「続いてBerryenのデビュー曲ですが、初動売上枚数は、301万枚で初登場1位となりました」

「残念だったな、1位取れなくて…。」


 残念そうな冬目さんに対して、わたしがこう返す。


「でもわたし達、これだけ売れれば言う事無いです!」

「ボクもっす!。むしろBerryenが一発屋にならないか心配っす!」

「だな。後あいつらが自分らしく活動出来るようになって欲しいな…。」

「お前達、次の新曲は来年元旦に出すぞ。それと来年の国産スタジアムでのライブの、どのタイミングでBerryenに歌わせるかを、今から考えないとな…。」

「皆さん、Berryenよりも私達の心配をした方が良ろしいのでは…。社長、2つ目の報告を…。」

「そうだった。2つ目は、今度の土曜日、関東ドームでプロ野球の試合が行われるそうだが、そこでデジタトゥに試合開始前に『君が代』を2人で一緒に独唱して欲しい、という依頼を受けた」


 突然のオファーに驚く中、桜庭さんが更に続ける。


「ちなみに、Berryenのざくろさんも参加し、同じく君が代を独唱されるそうです」


 こうして君が代独唱が決定し、急遽社内のスタジオを借りて練習する事になった。ちなみに、わたしは今回キーを『A#(エーシャープ)』で歌う事になった。後、わたし達はまだ歌唱テクニックとかあまり無い為、その分丁寧に一音一音心を込めて歌う、という方針で行く事になった。


2029/10/20(土)PM7:00 


 試合当日、わたし達はざくろお姉ちゃんの控室でに挨拶しに行った。


「くくく。今回我が先行で、お前達は後攻のようだ」

「えっ!。わたし達、ざくろお姉ちゃんの後に歌うの?」

「思いっ切り公開処刑じゃないっすか!」

「だが遠慮はせんぞ。我の歌唱魔力を全て解放させて貰う、お前達も我の美声に酔い痴れるが良い。ちなみに我もキーはA#で歌わせて貰うぞ」


 こうしてナイター中継が始まり、場内アナウンスでざくろお姉ちゃんを紹介されて、ざくろお姉ちゃんは持てる歌唱テクニックを全て使って歌声を披露した。そしていよいよわたし達が、場内アナウンスで登場を促され、そして拙いながらも丁寧に歌い終えた。


 後で聞いた話だけど、ざくろお姉ちゃんが歌ってる最中に、ごく一部の観客が失神する人も居たみたい。パパが言うには、ざくろお姉ちゃんの声には『1/fゆらぎ』という成分が含まれてるらしく、それが含まれてる歌声で有名な歌手は●多田●カルさんだそうで、それを聴くととても心地良くなり、その人があまりに好き過ぎる場合は、失神する人も極稀に出るらしいとの事だ。


 余談だけど、わたしも蘭お姉ちゃんもそんな成分は持ってないのに何故か?、わたし達が歌い終える直前でママが失神したみたい…。ちなみに5thシングルの売り上げは最終的に下記のようになった。ていうかBerryen、デビュー曲でいきなり歴代TOPになっちゃったよ…。


 458.8万枚 この恋は終わらない、と想ってた…。(Berryen)

 457.7万枚 ●よげ!●いやきくん(●門●人)

 456.6万枚 わたし達、裏切らないよ!(Digital Tattoo)

 325.6万枚 ●の●ち(宮●郎と●んから●リオ)


{上記の記載は作中のオリジナルの設定で、実在する売り上げ記録とは一切関係ありません。}

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