第39話 デジタトゥ、初の東京武道館ライブ!(明未の視点)
2029/4/16(月)
常司さん達が逮捕された後、パパとママの手当ても無事終わり、わたし達はママの実家に戻り、ゆっくり休んで翌日の午後に東京へ帰り、会社に寄って今回の件を話すと、社長が。
「お前達、大丈夫だったか?」
「はい。てか、申し訳ありませんでした!」
「いえ、悪いのはあーしです!。『秘密のスポットに行こう』なんて言わなければ…。」
「過ぎた事を言っても仕方ない。それより明日の朝一に今回の件を一斉報道すれば、お前達が又注目されてCDが更に売れるだろう」
と社長が言った後、わたしは冬目さんに長田一家について尋ねてみた。
「冬目さん、彼等は結局どうなるんですか?」
「ボクも気になるっす!」
「女性陣はすぐ出られると思うけど、常司さんの方は傷害罪、器物損壊罪、拘束幇助、児童ポルノ法違反、恐喝罪、これだけやらかせば多分10年位出られないと思う…。」
と冬目さんに説明されて、すぐさま社長が。
「そう言えば明未、以前学芸会で『東京武道館に絶対立ちます』とか言ってたそうだが、随分とビッグマウスだな?」
「違うんです!、あれは智枝に無理矢理言わされて」
「じゃあ辞めるか?」
「どういう事ですか?」
わたしの問いに社長が。
「実は1stアルバムリリース後、『ライブをやって欲しい』という電話やメールが我が社に殺到してる。だから急遽、ライブを行なう事にした。開催場所は勿論、東京武道館だ!」
「マジっすか!?」
「凄いじゃん2人共、流石あーしの自慢の娘達!」
「まさか俺がそこでライブ出来るとは、サポートメンバーだけど…。」
皆が驚いてる中、社長が。
「ちなみに日程は5月5日土曜日だ。本当はもっとデカい箱でやりたかったんだが、今空いてる最も大きい箱と日時がここしか空いて無かった。ちなみにチケット代は1万円だ」
「1万円って、新人アーティストのチケット代としてはちょっと高い気が…。しかもデジタトゥはまだ、14曲しか無いんですよ?」
「何言ってるのパパ、●猿が昔、●浜●リーナでライブやった時も14曲だったんだよ?」
「よく知ってるなあびる。それに『やって欲しい』というリクエストが殺到してる以上、企業としてファンのニーズに応えるのは当然だろう?」
こうして、わたし達の武道館ライブが急遽、開催される事が決まり、社長室を後にした。
「まさか智枝に言わされた事が実現するなんて…。」
「それよりこの事、Berryenの皆に伝えるっすか?」
「やめとこう蘭。今あいつら多分、社会人になり始めて一番辛い時期だろうから…。」
「誘おうよパパ、それで来れないならしょうがないし…。」
「というかわたし達の勇姿、蒼絵お姉ちゃん達に是非見て貰いたいよ!」
「ボクもっす!」
こうしてママが、蒼絵お姉ちゃんに今回の事を伝えると、土日祝日を確実に休める瑠実お姉ちゃん以外は来れるか解らない、と言われた。翌日、チケット販売が開始され、わたし達4人は会社の控室で待機してる中、わたしは思わず。
「初ライブがいきなり武道館なんて、本当に完売するのかな~?」
「ホントそうっすよね~。幾らCDの売り上げが好調とはいえ、1万人っすよ?」
こんな感じでわたしと蘭お姉ちゃんが弱気になってると、冬目さんが入って来てすぐさま。
「凄いぞ皆、チケットが発売開始1分で完売だ!」
「やったよ蘭お姉ちゃん!、完売なんて嬉しいよ~!」
「ボクもっす~!。まさか1分で完売だなんて~!」
「まさか本当に、1万円のチケット1万枚が完売するなんて…。」
「解んないよパパ、転売ヤーが買い占めたかも知れないよ~♪」
「それは大丈夫だ。転売対策はしっかり行なってる!」
こうしてわたし達のチケットは無事完売し、安心してリハーサルに勤しむ日々を、本番前日迄続ける事が出来た。
2029/5/5(土)AM10:00
本番当日。朝一で瑠実お姉ちゃんが来てくれて、両手を合わせながらこう切り出す。
「スマン皆、他の3人は無理やった。ウチは3~6迄休みやから何とか来れたけど…。」
「仕方ない、ゴールデンウィークはスーパーにとって3大稼ぎ時の1つだからなあ…。」
「後の2つは何なのパパ?」
「お盆と年末年始だよめいみん。てかゴールデンウィークはイベントが多く行われる時期だから警備会社も忙しくなる、って蒼っちも言ってたな~…。」
「後、ゴールデンウィーク位は介護から解放されたいとかで、お年寄りが多く預けられるそうっすね」
「せやから、Berryenを代表してウチが見に来たさかい!」
こうしてママと冬目さんと瑠実お姉ちゃんが舞台袖から見守る中、本番を迎え緊張しつつ、所々間違えながらも何とか14曲をやり遂げ、大盛況の中ライブを終えた。わたしと蘭お姉ちゃんがパパやママ、瑠実お姉ちゃん、そしてサポートメンバーやスタッフさん達とハイタッチして打ち上げを行ない、瑠実お姉ちゃんはわたし達の誰かの部屋に泊まる事になったんだけど…。
「誰でもええんならウチ、蘭姉の部屋がええわ。これを機に蘭姉と腹割って話してみたいし」
「ボクも瑠実お姉さんと色々話してみたいっす!。後たこ焼き作って欲しいっす!」
「ほなら蘭姉の部屋で決まりやな、たこ焼きは明日作ったげるさかい。今日は移動やら何やらで疲れたわ…。」
こうして瑠実お姉ちゃんが蘭お姉ちゃんの部屋に泊まる事になり、その日を終えた。翌日の午前中、社長から呼び出され、わたし達は会社に行く事になったので、瑠実お姉ちゃんはそのまま明日の仕事の為に宮城に帰る事になった…。
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