第27話 2人はデジタルタトゥー?2(桂の視点)

2028/11/4(火)PMPM1:30


 昼食後、早速明未と蘭を産婦人科に連れて行った。2人共処女膜こそ失ったものの、外傷は特に無かったようだ、それだけでも良かった…。ただ、性病に感染してるかどうかは、各病気毎に潜伏期間があるそうで、最も長いエイズはなんと、行為の日から3カ月後に検査しないと正確な結果が出ないそうだ…。念の為に口の中とあそこを消毒して頂き、病院を後にした…。


 そして夕方、今度は楽器屋へ明未と蘭のギターを買いに行った。俺達が色々ギターを探してると、『ムス●ング』という一般的なギターより小さめで価格も約3万円で、身長136cmの明未でも何とか弾けそうなギターを見つけて、2人に聞いてみた。


「2人共何色が良い?」

「わたし、ピンクが良い!」

「ボク、水色が良いっす!」


 こんな感じでギターを早速鳴らさせて貰った。自分達が出したギターの歪みの音に感動して即ギターと、一応教本も買って夕飯を食べてお風呂から上がった後に早速練習を始めると明未が。


「実はわたし、前々からギターやってみたいと想ってたんだよ。智枝が11歳の誕生日にエレキギター買って貰ってたんだけど、飽きてすぐ弾かなくなったから貸して、って言ったら『駄目だ!』って言われて『良いでしょ?、もう1か月以上も弾いてないんだし』って言ったら国太に告げ口されてぶたれた…。」

「ボクもっす!。学園祭でガールズバンドやってる女子を見てカッコイイ!、って思ったから両親にダメ元でギター頼んだら元父さんからシカトされて、元母さんからはぶたれたっす!」

「これを蒼っちが聞いたら『その怒りをロックにぶつけてやれ!』とか言いそうだね~♪」

「ハハハ、蒼絵らしいな。アンプを通すのはスタジオ内だな、寮の中では近所迷惑になるから…。」


 こうして2人が初めてのギターに四苦八苦しながら、その日は終わった…。


2028/11/5(日)AM9:00


 翌日俺達は社内のスタジオに来ていた。明未と蘭が、CMのナレーションの台詞のアフレコを、駆け出しの声優さんと共に行なう為だ。


「初めまして。青鬼プロ所属でデビュー1年目の『白木穂村しらきほむら』と申します。今回『悪霊A』を演じさせて頂きます、宜しくお願いします」

「同じく青鬼プロ所属でデビュー1年目の『後山熱己あとやまあつこ』と申します。今回『悪霊B』を演じさせて頂きます、宜しくお願いします」

「は、初めまして。フォビドゥンレコード所属の鶴牧 明未と申します。今回ナレーションと『鶴牧 明未』を演じさせて頂きます。まだデビューしてませんが宜しくお願い致します!」

「同じくフォビドゥンレコード所属の鶴牧 蘭と申します。今回ナレーションと『鶴牧 蘭』を演じさせて頂くっす。ボクもまだデビューしてないっすけど、宜しくお願いするっす!」


 こんな感じで挨拶を交わし合い、白木さんが更に続ける。


「実は今回の仕事、私達ギャラ0なんだけど、マネージャーから『今後の活動に絶対プラスになるから受けて来い』って言われて来たんだよ」

「どう今後に活かされるか迄は説明されなかったけど…。お互い頑張ろう、収益0円同士!」

「はい。わたし達も収益0円ですが、一生懸命頑張ります!」

「ボクもっす!」


 こうして、アフレコが始まった。


悪霊A「ぐへへへへ、お前達には生贄になって貰うぞ~!」

明未「わたし達に、ここで●ねって言うの?」

悪霊B「そうだ。お前達の事、絶対離さないぞ~!」

蘭「皆の為にも、ボクは●にません!」

悪霊A.B「うわあああ!」

蘭「この病院の患者さんは、誰も●なせない」

明未「誰もが、健やかに寿命を全う出来ますように」

明未と蘭「日本青十字陵」


 数秒間の沈黙後、監督さんが「ハイ、OKで~す!」と言い、アフレコを終えた。


「はあ~、緊張したよ~!」

「ボクもっす!。てかやっぱお姉さん方上手いっすねえ~」

「まあ声優学校で散々学んで来たからね~、高い授業料払って」

「ホントそうだよね~。ここに居る皆が、好きな事1本で生活出来るようになれると良いね」


 こうして人生初のアフレコも、色々戸惑いながらも何とか無事終えて、その日を終えた。


 翌日、早速市役所に行き、婚姻届と名前変更の手続きをしに行った。色々書類を書かされたものの、フォビさんの見えない力のお陰か?、手続きは滞りなく終わり、晴れて俺とママは夫婦となり、皆それぞれ『鶴牧 桂』『鶴牧 明未』『鶴牧 蘭』へと名前が変わった。


「やっと手続きが終わったっす。これでやっと『鶴牧 蘭』って名乗れるっす!」と蘭が清々しながら言うと、明未も「わたしもこれで堂々と『鶴牧 明未』って名乗れるよ!」


 こうしてお昼ご飯をファミレスで食べた後、フリースクール『ベリーの木』で編入手続きを終えて、明日から通う事になった。


「思ったよりアットホームなトコだったっすね?」

「何か良い意味で学校っぽく無かったよ。次はスマホ買いに行くんでしょパパ?」

「ああ。このご時世、無いと色々不便だからな…。」

「有り難うパパ!。あの一家からわたしだけ、ずっと持たされなかったから嬉しいよ!」

「ボクもっす!」


 こうして俺達は、スマホショップで2人に1番安いスマホを買い与えた、まだ音楽で稼げていないからなあ…。


「ありがとうパパ、大事に使うね!」

「ボクもっす!」

「マジで大事に使ってくれよ、契約金含めて高かったんだから。まして昨日ギターも買ったから尚更…。」

「それじゃあーしは一旦地元に帰るけど、もしいじめられたら言いなよ。あーしがそいつらぶっ飛ばしてやるから!」

「それはやめて!、ママが本気出したら相手●んじゃうよ~!」


 と明未が言うと皆大爆笑し、ママは一旦地元に帰って行った。俺達もフォビさん(以降、会社)に寄って、昨日変更した名前で契約書にサインして寮へ帰り、その日を終えた…。


2028/11/7(火)AM8:00


 今日はフリースクール『ベリーの木(以降、学校)』への初登校の日、「2人とも緊張してないか?」と聞くと蘭が。


「全然大丈夫っす!、むしろ今から楽しみっす!。だってフリースクールには武内や鈴木達のような生徒は基本、居ないみたいだし」

「普通の学校と違って、いじめやったらキチンと罰せられて、それでもやめないなら退学させられるって聞いたから安心だよ。普通の学校だったら厳重注意で終わりだよ」

「そして、更にいじめが酷くなるっす…。」


 こんな感じで話している内に学校に到着し、俺は先生にご挨拶して寮に帰り、作曲作業に取り掛かった。夕方、2人が学校から帰って来て、夕飯を皆で作って食べながら「学校どうだった?」と聞くと明未が。


「凄く楽しかったよ。皆良い人達ばっかりだったし」

「ボクもっす!、まるで今迄が悪夢だったかのようっす!」

「折角だからママにも電話で話してあげたらどうだ?。あと蒼絵にもギター始めた事も話してやれ」

「じゃあわたし、ママに電話する!」

「ボクは蒼絵お姉さんに電話するっす!」


 こうして2人はママと蒼絵に、ここ数日の出来事を楽しそうに語っていた。2人共笑顔になって本当に良かった…。


2028/11/11(土)AM9:00


 朝一にママが地元から来てくれて、俺達はスタジオにデビューシングル用の2曲を携えてレコーディングを行なう事にした。メイン曲のタイトルは『誰も死なせない』で、ほぼ明未が作詞した。ちなみにカップリング曲のタイトルは『痛いよ、臭いよ、気持ち悪いよ!』で、蘭がほぼ作詞した。理由は『明未が記者会見当日に言う台詞を流行らせたい』との事だが…。


 色んな意味で戸惑いながらも、何とか無事終える事が出来た…。

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