『リリカ・オンライン ~俺が創った女神(AI)と男になった親友(ヒロイン)とのVRMMO攻略記~』
青井空
プロローグ
俺は、自律思考型AI『リリカ』を開発した。
ワイヤレスイヤホンをつけて目を閉じれば、そこはもう一つの
今夜9時、俺は一人の友達をそこに誘っていた。
相手は、俺が最近ちょっと気になってるクラスメイトの
ゲームでは『ガンドルフ』っていう、ゴツい名前の男僧侶になるらしい。
ちなみに俺、
……とまあ、俺もそれくらいしか知らない。
なぜならこれ、俺が作ったはずのAIリリカからの、理不尽な挑戦状だからだ!
「このゲームをクリアできたら、あなたをマスターと認めてあげます」
だとさ。上等だ、コノヤロウ!
お前をギャフンと言わせるために、リリカが創った
「――って、いきなりコレかよ……」
見渡す限り、灰色の岩肌が続く荒野。吹き抜ける風がやけにリアルで肌寒い。
遥か彼方に見えるのは城壁……か?
ていうか、武器なし!? 開幕からハードモードすぎんだろ!
仕方なく歩き出すと、腰のホルダーにスティック状のデバイスがあるのに気づいた。
ポチッと押すと、シュイン、と半透明のウィンドウが目の前に現れる。
《ステータス》
名前:ラインハルト
職業:勇者
LEVEL:1
HP:13
攻撃力:20
守備力:5
素早さ:40
魔力:0
▼ユニークスキル
《不撓不屈》絶体絶命のピンチで能力が上昇。
▼生産スキル
《鍛冶》モンスター素材から武具を作成可能。
「はぁ!? なんで俺が鍛冶職人なんだよ!」
思わず素でツッコむ。
「普通、こういうのはNPCの仕事だろ! 街の隅っこにいる無口な爺さんとか、もふもふの獣人少女とかが担当するお約束だろうが!」
これじゃ武器も作れずに瞬殺される……まさに死にゲー。
ゾクッ、と背筋に悪寒が走る。
まさか、と思って振り返ると――案の定、いた。
超巨大なドラゴンが。
同時に、視界の端に新たなウィンドウがポップアップした。
《WARNING!!》
アルシュベルド(古龍種)
推奨レベル:59
概要:鋼鉄の鱗を持つ竜。翼膜から金属粉を撒き散らし、「鉄嵐」と呼ばれる電磁ストームを発生させる。
攻略ヒント:弱点は氷。水に濡れると大幅に弱体化。
「いや、倒せるかぁぁぁ!」
こちとらレベル1だぞ!
ていうか、岩陰からスマホでこっち撮ってるNPC! お前は何なんだよ! 俺はこれから死ぬんだぞ!
だが、ゲームオーバーはプライドが許さない。
「鉄嵐」は即死確定。弱点は『氷』か『水』。でも、そんなもん、どこにも……
ん?
いた。足元に、白いスライムが。
こいつなら、氷の武器が作れる! アルシュベルドがこっちに気づくまでが勝負だ。
武器はない。つまり、倒す方法は――
「おりゃあっ!」
べちゃっ!
原始的に、踏み潰す!
すかさずスキル《鍛冶》を発動。頭に思い描くのは、鋭利で冷たい氷の刃!
光の粒子が、俺の手の中で短剣の形を成していく。
……って、短剣かよ! 小さっ!
まあ、作れただけマシか。
落ち着け、俺。ステータスをもう一度確認しろ。
素早さが40もある。これも、ある意味チートだ。
アイツの攻撃を避けられる可能性はゼロじゃない。
倒せば、莫大な経験値が手に入るはずだ。
そうだ、ピンチこそチャンス。もっと周りを――
……ん? 今、何かが光った。
岩の裏に、銀色に輝くスライム! ……メタルスライムだ!
経験値のボーナスモンスター! でも、動きがクソ速いんだよな、こいつは!
焦るな。動きのパターンを読め。右、左、後ろ、右……単純だ。
ここだ!
予測地点に滑り込み、氷の短剣を叩き込む!
「っしゃあ! 一撃!」
やった! すぐに《鍛冶》だ!
今度は、もっとマシな剣をイメージしろ!
キタァァァ! 銀色に輝く剣が、この手に!
テンションMAX! アドレナリン大放出だ!
試しに振ってみる。軽い、速い、ヤバい! ……俺の語彙力がヤバい。
はっ……と我に返る。
武器に夢中で、防具のことを完全に忘れていた。
あたりを見回すが、もう素材になりそうなモンスターはいない。
絶望する俺をあざ笑うかのように、古龍アルシュベルドの巨大な瞳が、ゆっくりとこちらを捉えた。
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VRMMO《アルク・レギオン》
ラインハルト
https://kakuyomu.jp/users/aoisorakirei/news/16818792439486612393
アルシュベルド
https://kakuyomu.jp/users/aoisorakirei/news/16818792439094322952
現実世界
高橋遙人
https://kakuyomu.jp/users/aoisorakirei/news/16818792438257694111
沢村 愛美
https://kakuyomu.jp/users/aoisorakirei/news/16818792436278600468
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