第23話:「温泉と混浴と、乙女のバトル」

(異世界からの帰還――魔神との死闘を経て、ようやく平穏な日常が戻った)


 ミュン「ふぃ~……やっと帰ってこられたミュン……」


 カナタ「ほんとにねぇ~。でもさすがに疲れちゃったかも……心も体もクタクタだよ……」


 ミュン「ってことで、骨休めに温泉旅行行くミュン!宿も今、予約したミュン!しかも早割ミュン!」


 カナタ「えっ、ミュンが!?気が利く~!珍しー!ありがと~!」


 ミュン「もっと褒めていいミュン!いやむしろ褒めて!」


(そして当日──玄関にて)


 ミュン「……うぇぇ!?なんでお前らまでついてくるミュン!?」


 美香「は?行くに決まってるでしょ。カナタと旅行なんて、女子の戦場でしょ?」


 アンジェ「フフ……カナタ様とぬくもりを分かち合う絶好の機会ですわ!!」


 カナタ「なんで私、温泉で命狙われてるみたいな空気になってんの!?」


 西園寺「……」(個人で来て、たまたま現地で鉢合わせ)


 ミュン「もうこれ絶対、波乱しかないミュン……!」


(温泉地に到着!のどかな山々と湯けむりが出迎える)


 カナタ「わぁ~!空気がきれいだね~!緑がいっぱいで気持ちいい!」


 ミュン「これはリラックスできるやつミュン~」


(さっそく温泉旅館へチェックイン)


 女将「ようこそお越しくださいました~!露天風呂、貸切も可能ですよ~!」




 アンジェ「カナタ様っ!ではさっそくご一緒にっ!」


 美香「待てその前に!まずは私が!カナタ、今日は存分に甘やかすから覚悟しなさい!」


 カナタ「ひ、ひぇぇっ!?なんでそんな目が本気なのぉぉ~!?」


 ミュン「平和なはずの温泉が、乙女の修羅場ミュン……!」


(女子風呂にて)


 アンジェ「カナタ様のうなじ!うなじが尊すぎますわっ!」


 美香「は?カナタを凝視する権利は私が先に取った!カナタ、ほらタオル巻いて!いろいろ危険だから!」


 カナタ「ひゃあぁぁ!?ちょっ…や、やめっ……そんな近寄らないでっ!!」


(カナタ、湯けむりの中で限界突破寸前)


 カナタ「こ、ここが……戦場……っ!」


 ミュン(洗面器の中)「なぜか戦場に召喚されたミュン……助けて風呂桶……」



 その後…



(そして男子風呂──静寂の中、一人の男が湯に沈む)


 西園寺(湯に半身浸かり、目を閉じている)


 ミュン(そろりと桶の陰から)「……なぁ、西園寺。アンタ、本当は何者ミュン?」


 西園寺「さぁな……俺自身も、最近よくわからなくなってきたんだよな……」


 ミュン(じと目)「言葉の端々が中二すぎるミュン……」


 西園寺「……ただ、一つだけわかってることがある」


 ミュン「な、何ミュン……?」


 西園寺「カナタのためなら、また拳を振るう。それだけは変わらねぇ」


(静かに立ち上がる西園寺。湯気の中、どこか神々しい)


 ミュン(湯に浮かびながら)「……こいつ、本気でカテゴリー詐欺ミュン……」

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