Episode 010 千佳のお家、開かれた秘密。


 ――少し涼しめの風。何処からか風鈴の音が聞こえていた。



「いいね、この町並み。千佳ちかは毎日この風景を見てるんだね」


 という感じで、歩くことも、流れる風も、やや田舎のような風景も、アリスには新鮮なようで。リボンを添えた靡く金髪。身長は、ボクと同じ位。因みに、ボクは小柄な方。


 そして帰宅……


 とはいっても、アリスの御城のようなお家とは次元の違うもの。


 でも、アリスは目を輝かせ、


「いいね、いいよ、ここで千佳は暮らしてるんだね。千佳の匂いが溢れてて」


 と、言ったの。


 確かにトイレで水をかけられ……アリスが貸してくれたバスタオルで身体を拭いて、体操着に着替えていても、


「えっと、そんなに臭う?」


 と言いつつ、すぐに浴室に駆け込み裸に。そしてゴシゴシ洗う。そして思うの。上がって着替えるにしても、擦り切れたパンツに綻びたワンピース。今日着ていたものが、とても状態が良かったものだけに、明日はまた見た目が……と、思っていたら、


「千佳の匂い。ウチのトモダチの匂いだよ」


 その言葉と共に、浴室の硝子戸が開いた。


 ササッと隠す身体。何とアリスが入ってきたの。


「エヘヘ、ウチの浴槽とは違うね。ね、お湯入れて一緒に浸かろ」


 白い肌。アリスも裸だった。


 そして色々と、お話したの。アリスが住んでいたお国のこと。まるで御伽話のように親しみやすかった。お湯のお陰もあるけど、とっても温かかったのが印象的だった。


「いつの日か、行ってみたいね、アリスの国」


 と、ボクは声にしていた。

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