第5話

ピピピ、ピピピ。


うーん、もう朝かよ。明日試験なのにステータス見てたら寝落ちしてたよ。眠いけど起きないと間に合わん。


ピコン。


ん、ナミタからRUINが来てる。 


『今日試験だな!今まで通りやれば受かるから大丈夫。朝ごはんだけしっかり取ってこいよ〜』


はは、ナミタも仕切るのが上手いな。この試験が終わったらパーティーリーダーになるのはナミタだな。


「母さん、ご飯何〜?」





「水島君、おはよ~。」

「シノさん、おはよう。そのローブなに?紺色めっちゃ似合うね」

「お世辞はいいよ。お父さんが試験だろうからって買ってくれたんだよね。」

「いいなー。僕も受かったら何か買ってもらおうか」


シノのローブ姿には少しドキッときた。いつもダンもぐのことばっか喋ってたから気づかなかったけど可愛くない?シノのボストン型メガネと黒髪ロングとすごい似合う。 

シノってこんな可愛かったっけ?


「ノア!高田!先に来てたのか。RUINで連絡した俺がドベは少し恥ずいわ」

「全然大丈夫。試験までまだ15分あるよ。」





「これから、G級試験を始める。個人試験と団体試験に分かれてるので両方受けること。落ちる者はほとんどいないが緊張感を持って受けるように。」



「どうするナミタ、先に個人にしない?」

「そうしようか、じゃあまたここで集合で。ノア、高田。ファイト!」


DANphoneを開いて試験内容を確認しようっと。

何々…個人試験は角なしホーンラビットの個人討伐。まぁほぼ受からせるための試験だよね。

のんびり行こう。





「これより個人試験を始める。モンスターを倒す過程をみたいので倒せなくても受かるので焦らないで受けてください。では、はじめっ!」


ダガーナイフを持って半身で構える。こうするとモンスターの攻撃も避けやすく大型武器じゃないから攻撃もしやすいってどっかの本で読んだ気がした。


ウサギが跳躍を始めて『突進』をしてきたので横に躱す、スキルの後は若干ディレイが入るのでその隙を狙って短剣術の『致命』を叩きつけた。

無事致命が取れたようで角なしホーンラビットはウサギ肉を残して消えていった。

よし、回避もしたし、スキルも使って倒したからこれは受かっただろ。


「やめ!お疲れ様でした。合否はDANphoneに後日連絡いたします。」

「ありがとうございました。」


広場に向かうとシノとナミタが楽しそうに喋っている。試験の内容は悪くなさそうだな。


「シノさん、ナミタ!終わってたのか。早いな」

「さっき終わったばっかだよ。ノアは試験どうだった?」

「悪くなかったよ。過程も見せたし」

「水島君、田中君。団体試験はゴブリン一体の討伐だって!」

「え、ゴブリンってF級じゃん。出るわけなくない?」

「武器なしでゴブリン一体だけらしい」


あぁなるほど、ウサギにしろスライムにしろただ防衛のために人間に攻撃するモンスターじゃなくて明確に殺意を持ってるモンスターと戦わせるのが目的か。それにしても急すぎる気がするけど。


「どっちにしろ受けることには変わらないんだし。ナミタが攻撃を受けて、高田は水魔法で牽制してくれ。」

「「わかった!」」





うわぁ、ゴブリン生で始めて見たけど本当に気持ち悪い。まず汚い緑色にシワが体中に張り巡らされてるのがまず無理、それに130くらいっていうのも絶妙に気味が悪い。それになんかヨダレも垂らしてるし、歯ぎしりも凄い…シノとか大丈夫なのかな?


「……」


あ、だめだこれ。シノ目閉じ始めてる。


「シノさん、シノさん!目開けて。試験始まる」

「キモすぎる…私少し離れてもいい?」


そ、そこまでなのか。でもシノは後衛職だし問題ないな。


「試験を始めるから静かにしろ。30秒後に扉を開けるからそこから試験開始だ。方法は問わない。倒したら合格だ。では、はじめっ!」


「ナミタ!前に出てくれ。シノは水魔法の用意、俺は背後に回る。」

「「りょーかい」」


30秒が経ち、ゴブリンがヨダレを垂らしながら出てきた。ホントにキモい…

ナミタに受けてもらって適当に突いて倒すか。


「ナミタ〜、盾で防御頼――、うお!危ねえ」


危ない、ゴブリンがこっちに体当たりしてくる。これは『突進』かな?油断してた。今までウサギにしろスライムにしろ目の前の僕らに攻撃するばかりだったけどゴブリンは知能も持つのか…


「シノさん、ナミタ!こいつ考えて攻撃してるぞ!」

「そうっぽいな!ノアしばらく引きつけてくれ。高田、水魔法で妨害頼む!」


くそ、完璧に僕に狙いを定めてやがる。ナミタはAGIがほとんどないから僕とゴブリンの間に入れない。やるしかないか。

ゴブリンが再び『突進』を使ってくるのでスライディングで下をくぐり抜けて―腱を斬る!

ズガっ、刃引きをしてるので切断とまではいかなかったけど半分切れかかってるので動きが遅くなった。


「水島君、どいて!『ウェットグラウンド』」


おお、ゴブリン周辺の地面がぬかるんでる!ウェットグラウンドといえば『水魔法 1』でも使えるMPの消費量に比例して範囲が広くなる魔法か。足がやられてるゴブリンには効果抜群だぜ!


「うぉおおお―ふん!」


うお、ナミタがSTRに任せて槍を投げた!ゴブリンの腹にぶっ刺さったぜ。哀れなゴブリン、ステータスの差でボコボコにされるなんて


「やめ、試験終了だ。3人ともお疲れ。合否は後日連絡する予定だが…先程言った通り合格だ。おめでとう。」

「「「よっしゃーー!」」」





「よし、皆集まったな。試験お疲れ様でした。この代は特に優秀だったと思う。そこでだ特別に希望者だけだが追加試験を与えたいと思う。これに受かれば即F級、この試験に受かったものは例外なくC級以上になっている。かくいう私もその一人だ。」


即F級?追加試験?何を言ってるんだこいつは。


「せんせー、早く内容教えてくださいよ。」


武田がものすごくニヤニヤしている。めっちゃ嫌な予感がするよ…


「そうだな、試験内容は――三田ダン5層の階層ボス、オークナイトの討伐だ。」















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