x137のマジックチューブ!:最高剣道少女の異世界配信

🕰️イニシ原

一章 美奈、初めてのダンジョン配信編

第零話 x137は配信者になるそうです!

「え?……あれ?」


 美奈、死んじゃったのですか?


 息もしていませんし、ピクリとも動きません。

 朝から道場で、いつもの素振りをしていただけなのに……それが原因なの?


 美奈、お水だって飲んでいたはずなのに……どうして?


 お父さん、お母さん……そして大好きなお兄様。

 突然いなくなってごめんなさい。美奈が死んだって知ったら、きっと悲しみますよね。


 お父さん、『古い温度計なんて使うんじゃなかった』って……美奈の言葉を聞かなかったこと、悔やむはずです


 ああ……そんなの、いやです。


 胸がぎゅっと締めつけられて、思わずため息がこぼれる。美奈は家族の顔を思い浮かべながら、ふと周囲を見回した。――ここ、どこ?


 そのとき。背後に、女神様としか思えない女性が立っていて、静かに微笑んでいた。


「あ!どうも初めまして――美奈……織神美奈と申します。中学2年生、14歳です!」


(正座をしながら竹刀を横に置き、背筋を伸ばして深々とお辞儀した美奈が、静かに顔を上げた。)


「……清らかに鍛え抜かれた魂よ。これはあなたに授けましょう」


(女性の頭上に影が揺らめき、そこから黒い獣が姿を現した。猫のように丸まってはいるが、その体には無数の目が瞬き、不気味な光を放っている。額にはねじれた角、口元からは鋭い牙が覗いていた。)


「ひっ……な、なんですか、それ?! 猫……? いえ、猫じゃない……ですよね?」


「この子は、新しく生まれた特別な配信生物なのよ。

 見た目は小さくても、その性能は想像を超える。あなたの声、表情、紡ぎ出す物語を、この子が光へと変え、世界中へ届けるの。人々の心を揺さぶり、歴史に名を刻む――伝説の配信者に、あなたはなるのです。美奈、あなたがね」


「ふえー、そうなんですね。あの……美奈、やっぱり死んでいるのですよね?」


「はい。ですから、私のもとに来たのです」


「あ、ああ……すみません。ちゃんと確認しておきたくて、つい……」


(女神は優しく美奈の肩をぽん、と叩いた。)


「そんなことを気にしなくていいのよ。死を超えてなお配信できる――それは、この世界で何よりの強みになるのだから」


「ああ……そうなんですね」


(美奈は自分が死んだことをようやく納得し、「これが異世界転生ってことなのね」と心の中でつぶやいた。その瞬間、周囲の景色が粒子となってほどけ、眩い光へと変わっていく。体がふわりと浮かび上がり、耳元では鼓動のような音が響いた。目を開けていることさえ難しくなり――)


「美奈ちゃん、頑張ってね」


(その声だけが、光の彼方でいつまでも残響のように響いていた。)


 ――ゴロゴロ……。


(女神の声に重なるように、地の底から響くような低い音が鳴った。その瞬間、美奈の頭に激しい痛みが走る。視界がぐにゃりと歪み、世界そのものが反転していくようだった。耳の奥でキーンと金属を削るような音が響き、心臓の鼓動が早鐘のように跳ね上がる。)


「あっ……!」


(強烈な眩暈に襲われ、美奈の身体は光の中を落ちていく。抗う間もなく、意識は深い闇へと沈み込んでいった。)




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 第零話 あとがき


 織神美奈です。


 よく友達に「感情がないよね?」って言われる美奈ですが、女神様と出会ったときは、本当にすごく悲しかったのです。


 でもですね……ちょっとだけ疑っていたのです。


 女神様の事を――


 だから正座してたあの時――竹刀で「めぇぇーん」って女神様から”面”を取ろうとしていました。えへへ。


 でもでも、よく見れば女神様の頭上には猫じいじがいたのです。だからそんな事は忘れてしまいました。体に目がたくさん付いて変だとは思いましたが、始めて見る猫ちゃんで可愛いのです。


 この時、いきなり意識が無くなってしまったので、どうする事も出来ませんでしたが、でもやっぱり名前も教えて下さらなかったあの方は、本当に女神様だったのでしょうか?


 ――ここまで読んでくれてありがとうございます!

 美奈、次からどんなことになるのか分かりませんけど、頑張りますね。

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