第一章

 話は、中学校の入学式の日にさかのぼる。

 ぼく、落合 あおいは中学1年。

 同じクラスで、教室の隣の席に座っていたのが、近藤あかりだった。

「散歩とメルヘンが好きです」

 近藤さんはそう自己紹介していた。ちょっと長いボブにパッチリした目。

「落合くん、よろしくね。」

 全員の自己紹介が終わった後、ニコニコと話しかけてきた。

「……うん、よろしく」

「落合くんの自己紹介、面白かったね。不思議なことに興味があるって」

「……うん、ちょっとね」

「私ね、こう見えてね、散歩しながらね、小人さんいないかなーって探したりすることあるのね。それでねー……」

 両目をくりくりさせながら、どんどん話しかけてくる。

 表情がくるくる変わる。悪いけどまぶしすぎて、話があまり入ってこない。

 そうか、知らないんだね。小学生の時のぼくを。

 知ってしまったら、この子も自然に離れていってしまうのかな……。

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