【停止中】地球にダンジョンが出来まして

時守ナガト

史上初のSSランク

第1話『SSランクになりまして』

 わたし、十六夜いざよい夜夜にやは新人冒険者である。

 先ほど魔力測定を行って自身のランクを測ってもらった。


 その結果が今手元のスマホに表示されている。




──────────────────────────────

【登録名】ヨルヨル

【ランク】SS

【ジョブ】合成士

【所属パーティ】なし

【所属クラン】なし

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「うわぁ……ホントにSSランクだ」


 Sランク冒険者は日本に16人しかいない。

 世界でも1000人に満たない。


 SSランクはそのひとつ上のランクだ。

 未だかつて、そのランクになった者はいなかった。

 つまり……。


「わたし、すごい?」


『はい、とてもすごいです!』

「うわっ!?」


 わたしは急に話しかけられてびっくりしてしまった。

 目の前には緑色に輝く光の玉が浮いている。


 でもこれは講習で教わった。


「あなたがナビゲーター?」

『はい、個体名はありませんので、お好きにお呼びください』


「わたしが付けていいの? じゃあナヴィで!」

『了解しました。以降、わたしはナヴィと呼称します』


 そう言ってナヴィは、わたしの思考を読み取ったのか、身長15cmくらいの緑色の小さな妖精に姿を変えた。


◆◆◆


 Bランク以上……高ランク新人冒険者が集められた部屋にわたしもいた。


「はい、では皆さんナビゲーターを不可視モードから可視モードへ変えて下さい」


 ギルド職員のお姉さんが言う通りにする。


『可視モードに変更しました』


 ナヴィが他の人にも見えるようになったらしい。

 他の人を見てみると、オコジョや猫などのペットみたいなナビゲーターを連れている。


 なるほど……ナビゲーター的な役割って何も小さな妖精ピクシーじゃなくてもいいんだ。


 そうして参加者を見回していると、私と同じだけど色違いの黒い妖精を連れている女の子がいた。


 あ、目が合った。


 女の子は、にっこり笑って手を振ってくれた。

 良い子だ……友達になれるかな?


「それではBランクの方からチュートリアルダンジョンに行ってもらいます」


 来た! ダンジョン!!


 この広島会場でBランクの新人は34人……5人パーティ2組と6人パーティ4組に別れてチュートリアルダンジョンに挑む事になったみたいだ。


 パーティリーダーがナビゲーターからダンジョンキーを受け取り、空中に挿し込みゲートを開いて入って行く。


 世界各地にあるダンジョンもそうだが、内部では実際に死亡する危険はなく人々はスポーツ感覚でダンジョンに挑める。


 だが、ステータスによって軽減されるとはいえ痛みや苦しみは普通に感じるのでダンジョンが苦手で無理だという人もそれなりにいる。


「次、Aランク以上の方……十六夜さん、パーティリーダーをお願い出来ますか?」

「あ、はい」


 Aランクは7人であとはSSランクのわたし、あと1人は……さっきの子だ。


「いざよいちゃん? よろしくね、ウチは霧崎、霧崎京子」

「あ、うん。よろしく。わたしは夜夜にや


「もう一方のパーティは、霧崎さんお願いします」

「まかされた」


 ギルド職員のお姉さんの言葉に霧崎さんが応える。

 そう……、霧崎さんは日本で17人目のSランクなのだ。

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