最後の継承者(仮称)

蒼華

第1話

「××!!」

「おい、○○!!」

「兄さん!!」


ちょっとまって。そっちに行くからせかさないで。

というか何をする気なんだい??


「―――――!!」

「――――――。」

「――――――。」


ちょっと待って。それは無謀ってやつじゃない?

え??いつものことだって??

いや、そりゃそうだけどさ。


ちょっと待って。早い!!速い!!

おいて行かないでほしいなぁ。

え??鍛錬が足りない??

それはそうかもしれないけどさぁ。


にしても霧がかかりすぎ・・・・・あぁなるほど。これは夢か。


ん?なんだか急に視界が・・・・白くなって・・・・・



――――――


「起きろぉぉぉぉおおおおおお!!!!!」

「うわぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!」


僕は同居人の少女の叫び声に近い大声によって、現実と夢の境目、微睡まどろみから強制的に覚醒させられた。

その拍子にベットから転げ落ち、床とごっつんこ。


「痛い!!」

「もう、寝すぎ!!」

「そんなことないよ。いつも通りだろう?」


痛みのせいで合わない焦点。

徐々にピントが合って、目の前の少女・・・・というには成長が最近著しい女の子の姿がありありと見える。


深紅カーディナルレッドの髪、頭のてっぺんに見える二対の曲がった角、特徴的な長い尻尾、龍を彷彿とさせる眼。それもそのはず、彼女は龍人だ。


ほんの数か月前から、彼女はますますの成長を見せる。

とある事情・・・・・がなければ同室で寝泊まりするはなかっただろう。

就寝分離など含めた最大限の配慮はしている。


彼女は僕の顔をじっと見つめ、目の焦点が定まっていることを確認。

スタスタと部屋の出入り口へと向かう。


「早く、朝ごはん食べにいこう!!」

「・・・?やけに張り切ってるね」

「!?まさか今日の予定を忘れた!?」

「ん??・・・・・!!君の誕生日!!」

「・・・・・」


ジト目がきついよ。


「ごめんごめん。寝起きだから許して?」

「・・・・一つ貸し」

「今日のうちに帰すよ」

「・・・・ならいい」


尻尾をブンブンと振るいながら彼女は部屋の外へと出ていく。


そうか・・・・今日で4年目か。

・・・・だから、あの時の夢を見たのかもしれないなぁ・・・・・


僕は、窓から差し込む太陽の光とすこしばかりの郷愁によって目を細める。


さて、さっさと行きますか。彼女の機嫌を取らないといけない。

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