第49話 オカルト係の会議

 オカルト係の席では、なぜか美浜部長も加わって会議が開かれる。野間係長がこれまでなかったような気合の入れ方で話をする。

 「昨晩、女性が襲われました。私たちが三人もおとりを出していたにもかかわらずです。何か意見はありますか。」

ひじりが恐れを知らずに答える。

 「私たちに魅力がなかったと思います。」「ひじりさんは、私が被害女性より劣っていたと言いたいのですね。」

 「そんなことはありません。吸血鬼の好みの問題だと思います。」「良い意見です。吸血鬼に女を見る目がなかったのですね。」

 「服装を被害女性と似せたらよいと思います。」「私に女子高生のコスプレをしろと言うのですか。」

半田部長たちは吹き出しそうになるが何とかこらえる。野間係長がセーラー服を着たらきわものだ。

 「いいえ、昨晩の被害女性の服装です。」「タイトスカートにブレザーですね。昨夜は私も着ていましたよ。」

 「ということは、野間係長も襲われる恐れが大きかったのですね。」「分かりました。おとりを使った作戦は続けることにします。富貴巡査とひじりさんはタイトスカートとブレザー姿になってもらいます。」

こうして今夜もおとりを使った捜査が行われることになる。

 富貴巡査はタイトスカートになって歩き辛そうだ。成岩部長が無線で富貴巡査に尋ねる。

 「歩き辛そうだが、どうした。」「私、ズボンばかりはいていたのでスカートはなれません。スースーして落ち着きません。」

富貴巡査は人通りのない暗い道をゆっくり歩いていく。突然、黒い人影が現れる。富貴巡査は気を引き締めて歩いていく。

 人影に近づくと20歳代前半の若い男で、透き通った青い目の美男子だった。富貴巡査は頬を赤らめながらも無線を送る。

 「吸血鬼です。現れました。」「みんな、生け捕りにするわよ。富貴巡査は空き家へ連れ込まれるまで我慢して。」

野間係長と奥田部長、ひじりは富貴巡査のいる現場に向かって急いではしる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る