第16話 八森が池騒動2

 野間係長は呼び出されてM警察署に出勤する。野間係長は挨拶もそこそこに言う。

 「どうして私が呼び出されるの。」「それが、少年が得体のしれないものに引きずり込まれたということなのです。」

 「嘘じゃないの。得体のしれないものなんているわけないでしょ。」

警察官は、「あんたがそれを言うのか、オカルト係だろう」と思うが口には出さない。

 野間係長は、少年たちから事情を聴くことにする。部屋に入ると少年たちに言う。

 「あったことを話してくれる。」「おばさん、何度話せばいいんだよ。」

 「お、おばさん・・・・・」

野間係長の目が吊り上がる。彼らは決して言ってはならないことを言ってしまったのだ。

 数十分後、野間係長は部屋から出てくる。少年たちはおびえていた。さらに女性恐怖症になっていた。

 野間係長は、同じく呼び出されてきた富貴巡査に言う。

 「車を出して、八森が池へ行くわよ。」「はい。」

野間係長たちは八森が池に到着すると富貴巡査は怖がって車から降りようととしない。

 「富貴巡査、このくらいで怖がっていてどうするの。」「でも、池から出ているもの怨霊の手ですよ。」

 「それがどうしたの。死ぬわけじゃないでしょ。」「殺されますよー、あれ、今日、人を殺していますよ。」

 「そんなことまで見えるのね。」「見えないのですか?」「怨霊の手は見えるけどね。」

 「私、車で待っていていいですか。」「仕方ないわね。」

野間係長は1人で池に近づく。そして美浜部長に声をかける。

 「死神部長、池から離れたほうがいいわよ。」「私は美浜です。確かに仏様の扱いは非常に多いですが死神は心外です。」

 「とにかく離れていて。」

そして、警察と消防の捜索の指揮官に言う。

 「捜索は中止して。二次被害が出るわよ。」「何を言っている。急がないと少年が危ないぞ。」「もう手遅れよ。」

その時、消防のボートが転覆する。そして、乗っていた隊員が池の中に引き込まれる。警察と消防は捜索を断念する。

 野間係長は、池のふちをに行くとふんふんと何者かの話を聞いているようだった。

 そして、ぼそぼそと話す。すると池に引き込まれた消防隊員が浮かび上がってくる。

 消防は急いで救出して蘇生を始める。さらに少年も浮かび上がってくる。そこへ奥田部長が来る。

 「私が来たからには安心ですぞ。サイコキネシスをお見せしましょう。」「いいところに来たわ。」

 「おおっ、出番ですな。」「この池の水を全て持ち上げて。」

 「なんですとー」「できないの。役に立たないわね。」

 「やって見せましょう。」「がんばってね。」

奥田部長は全力を出して池の水を全て持ち上げる。顔は真っ赤になり、浮き出した血管は破裂しそうだ。

 池の水の下、つまり池の底には人骨が多数転がっている。死神部長の目が光る。

 「これは、殺しだな。」

M警察署は本部からの応援を要請して捜査することになる。「八森が池大量殺人事件」の捜査本部が立ち上がる。

 気合の入った刑事部長が檄を飛ばす。捜査員も士気が高い。そこへ野間係長が報告書を刑事課長に提出する。

 「被害者と犯人についてすべて調べましたので報告します。」「まだ、捜査を始めるところだがどういうことかね。」

 「被害者が成仏する前に聴取しました。被害者が多かったので時間がかかりました。犯人のことも殺害方法もすべて書いてあります。」

野間係長の言葉に刑事課長のテンションは急激に下がる。捜査員の顔も暗い。

 死んだ被害者の証言など検察が証拠として取り上げることはないだろう。これから野間係長の報告書に従って被害者を特定して証拠を積み上げて、すでに判明している犯人を逮捕しなければならない。

 刑事課長と捜査員はこれからの苦労を考えると頭が痛い。

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