コープス・リバイバー
豆茶*
第1話
ピコン、と軽い電子音が鳴る。
佐々木悠真は制服のポケットからスマートフォンを取り出す。
『まだ帰ってないの? どこにいるの?』
それは幼なじみの桐生朱里からのメッセージだった。
悠真はそれはこっちのセリフだ、と心の中で呟く。だけど、その呟きが彼女に届くことはおそらくないのだろう。
そう考えると、全てがバカらしく思えてくる。
悠真は近くの公園のベンチに座って空を眺める。
都会の空は薄汚く、星の瞬きは田舎と比べると半分以下だ。生まれてからずっと都会で暮らしてきた優馬にとっては、この空こそ日常だった。
だからこそ、幼いときに家族で旅行に行った先でみた星空を忘れることができない。
隙間一つない、星の輝きで埋め尽くされた、満点の星空――。
手を伸ばせば一つくらい掴めるんじゃないかと思えるほどに、美しい光景だった。
昔のことを思い出しながら、悠真はもう一度メッセージアプリを起動する。
そこに表示されているのは、朱里の名前と受信時間。その時間はずっと昔を指していた。
先ほど届いたはずのメッセージは、今からずっと前に送られたものだった。
どうして今更、昔のメッセージが届いたのかというと、単純な話だ。
ある時から、このスマートフォンは充電切れを起こして、電源が落ちていたのだ。
そして、ようやく充電されたのが今日で、電源を入れたのがついさっきということだ。
だから、朱里からのメッセージは今、届いた。
手元の画面を見て、そっと文字をなぞる。
『まだ帰ってないの? どこにいるの?』
それは、数ヶ月前の嵐の夜に、送られたはずのメッセージだった。
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