第2話
あの後いくつか仕事を終わらせると、ご主人様の朝食ができていて、届けに行くことになりました。
コンコン
「失礼いたします。朝食をお持ちしました。」
「メリアか。入っていいよ。」
ちょうど着替えが終わったところだったようです。
本来着替えはメリアたちメイドや執事にやってもらうものですが、ご主人様は自分でやってしまいます。
メリアが朝食をテーブルに置くと、ご主人様は「ありがとう」と、言ってくれました。これも、ご主人様の王族らしくないところです。
メイドがいる人たちにとっては、やってもらうのが当たり前で、感謝の言葉を言う方はほとんどいないそうです。まあ、言ってもらえるのは嬉しいですから、ご主人様を尊敬する理由が一つ増えるだけですがね。
そんなことを考えながら部屋を後にしようと踵を返すと、ご主人様が声をかけてくださいました。
「そうだメリア。一つ頼みごとをしてもいいかな?」
「…もちろんでございます。ご主人様の仰せのままに。」
突然のことで一瞬間が空いてしまいましたが、ご主人様は気にしていないようで、そのまま話を続けました。
「実は、今度公爵家のご令嬢が主催するパーティーがあってね。その時にメイド数人程度連れて行かないといけなくて。そのメンバーに入ってほしいんだけど、お願いできるかな?」
パーティーのメイドですか。ご主人様のためなら断るという選択肢はありませんが、どんな事をするのでしょう?粗相をしてしまうと、ご主人様に迷惑がかかってしまうので練習しておきたいのですが…。
そんなメリアの考えを見透かしたかのように、ご主人様が話しはじめました。
「基本的には普段のメイドとしての仕事と同じだから、心配しなくてもいいよ。」
「承知いたしました。謹んでお受けいたします。」
「ありがとう。残りのメンバーもメリアが決めておいてくれるかな?」
「承知いたしました。」
その後、ご主人様が朝食を食べ終えたようだったので、食器を持って部屋を出ました。
それにしてもパーティーですか。初めて行くので少し楽しみですね。…じゃなくて、私は仕事で行くのですから、浮かれてはいけませんよ、メリア。
にしてもパーティーの日までやることだらけですね。他のメンバーを選んで、メイド仕事の基礎を確認して………。
「エルは絶対に連れて行ってはいけないですね。」
うん、申し訳ないけど今回はお留守番です。公の場に出るには、落ち着きがなさすぎますから。
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