昆陽 その3
劉秀の本隊は、日が落ちてから
劉秀、目に傅俊らの姿が映ったので、声を掛けて曰く「今日は飽きるほど疲れた。諸卿も疲れたか」
傅俊は、「
劉秀は傅俊の向く真東に向く。河を渡った三十里ほど向こうには、ここからでは見えないが襄城がある。数日前にそこまで進軍し、また戻ってきた訳である。それを思って、劉秀、ぐっと
その夜、劉秀は傅俊を
問うて曰く「卿、襄城の縁者や知人に、このようなことが出来る者はおらぬか」
傅俊答えて「どのようなことで御座りましょうか」
劉秀曰く「糧食を持ち出すか、売り払うかして、新軍の兵糧となるを
傅俊が答えずにいると、劉秀は続ける「確かに、新軍が兵糧に困っているかは分からない。貧していれば、陽翟、潁陽、父城からも徴用するだろう、さすればこの
傅俊答えて曰く「我にどれほどのことが出来るか分かりませぬが、やってみましょう」
劉秀そこで、共に挙兵し
払うのは無論劉秀らであるが、間に立つは商人に顔の利く同志である李通である。後は襄城とのやりとりが成立するかどうかである。夜が明けると、傅俊らは襄城へ、伝令二騎は南の定陵、郾県へ、そして劉秀らは南西の昆陽へ向かう。
足早に進んだ劉秀らは、その日の内に昆陽に入ると、守将である
城内の主だった者で
そのうち、
伝者曰く「兵は百万。将は大司空王邑と司徒王尋、兵糧に珍宝を携え、兵家、勇士を選りすぐり、猛獣を従えん。全ては宛にて皇帝を称する者を討つが目的なりと。新軍は陽翟から糧食を徴発し、潁陽を飛ばして襄城に向わん」
兵一万なら一軍として十分な規模である。しかし今、昆陽に集結した軍勢はその一万に満たない。兵書には攻者三倍と云う。昆陽を籠城させるなら三万あれば十分である。十万なら大軍と言えよう。百万、想像を超える兵数である。斥候が数字を口にした瞬間、息を呑む音が和し、次にはことりともしない沈黙が
新軍の総大将王邑は皇帝王莽の叔父
他の将軍はと劉秀が尋ねると、斥候は諸州の
百万の軍勢に
伝者答えて曰く「珍宝は、味方であれ敵であれ、漢兵の将の首を取ってきた者に授ける
百万という数を聞いた時既に、諸将の思考は硬直していた。百万、百万、百万の軍勢。戦うか、戦えず、降るか、降るわけにも行くまい、籠城すべき、何時まで耐えられる、ならば逃げるか、
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