6月22日「1週間の振り返りですよ」

「……はぁ、終わったねぇ。なんか一週間、すごいことばっかりだった気がする。」


奈々子がベッドの上で伸びをする。電話の向こうで雨音も同じようにため息をついた。


「ほんとだよ。選挙とか親衛隊とか……。私、絶対に無理って思ってたけど、湊くんが隣にいてくれたから頑張れた。」


「ふふ。言うと思った。……ねぇ、もう自覚してるでしょ?」


「え、な、なにが?」


「好きってこと。」


沈黙。

電話の向こうで布団をぎゅっと握る音がした。


「……うん。もう隠せないかも。」


奈々子はクスクス笑った。


「なら、あとは伝えるだけじゃん。」


「それができたら苦労しないんだってば!」


雨音の声が少し裏返る。ほんとわかりやすいな、雨音は。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「いや〜、生徒会役員の一ノ瀬湊様!お疲れ様でございます〜!」


「からかうなって。まだ実感ねーよ。」


二人はオンラインゲームをしながら反省会をしていた。


「でもさ、湊。演説のとき、ちゃんと噛まずに言えてたし、親衛隊の奴らの件も決着ついたし……お前、かっこよかったぞ。」


「……お前に言われてもなぁ。」


「なんだよ照れてんのか〜。お、もしかして雨音ちゃんのために頑張っちゃった?そうなんだろ?そうなんだろ〜?」


「うるせぇよ!てか、お前だってカメラの件で厳重注意されたじゃねーか。」


「まあまあ、それはご愛敬ってことで。……で、誕生日プレゼント、考えた?」


「っ……!なんでお前がそれ知ってんだよ!」


前々から誕生日の計画を実はこっそりとし続けていたのだが、こいつに知られたとは。


「奈々子情報〜!」


「ほんと余計なことばっかするな……」


そう文句を言いながらも、口元は緩んでいた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


俊介との通話を切った直後。

スマホが再び震えた。画面には「雨音」の文字。


「……もしもし?」


『あ、湊くん?ごめんね、夜遅くに。』


「いや、大丈夫だけど……どうした?」


『なんかね、声が聞きたくなっちゃって。昨日も今日も、今週ずっと気張ってたから、気が抜けたら寂しくなっちゃった。』


「……なんだよそれ。」


『ふふっ。……でも本当にありがとう。生徒会の役員になってくれて。』


「いや、雨音がいたから俺も頑張れた。」


少しの沈黙。

鼓動の音まで聞こえてしまいそうな間。


『……じゃあ、おやすみ。湊くん。』


「お、おう。おやすみ。」


電話が切れたあともしばらく布団の中でごろごろ転がって、眠れそうになかった。

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