沼る
@TENSHIOURA
第1話 玄関とベランダ
あたしは、私。
誰にも話しても分かってもらえないジレンマがやって来る。それは、いつも突然で普通という人生の波を超えてくる荒波。
あたしは、昔からそうだ!誰にも相談出来ない性格に育ってしまって、抱え込み我慢を繰り返す。いや、育ってしまってではなく、親がそうさせて来たのだ。長女は辛いものである。
親の愛情というものを知らないあたし。
友達の家庭とは違う家庭環境で我慢をさせられた事に今、気づいた。そうあたしはアホなのだ!子供なら親に甘えたら良かったのだ。でも小学低学年から、醤油をこぼしただけで玄関の外に、裸足でほおりだされていた。恥ずかしいあたしは、裸足のまま公園で遊んだ。もちろん親にバレて、次からはパンツ一丁で玄関の外にほおり出されることになってしまった。
昭和の真っ只中、これが普通なのだと思い込んでいた。昔ながらの昭和の5階建ての団地。
パンツ一丁では流石に公園に遊びに行けない。パンツ一丁のあたしに上の住民が階段から上がってきて、あたしは、「こんにちは」と言う。「またほおりだされたの?」と住民が返事。
流石に、親も住民の目もあって玄関外ではなくベランダにほおり出されるようになった。
弟や妹は家の中にいる…ほおり出されたのを見たことはない。四季なんて関係なく、真冬でもベランダへ…寒くて開けてと叫びながらベランダのガラスを叩く。そして割れた。その年はダンボールとガムテープで塞がれたガラスで正月を越した。大人になった今のあたしは何故、あたしだけがほおり出されていたのか?母親はなぜ止めてくれなかったのか?分からないまま。あの時、聞けばよかった。今の時代ならば、保護をしてもらえてたかもしれない。誰かが手を差し伸べてくれたかもしれない。そう今で言う毒親だったんだと今、気づいた。
この気持ちがモヤモヤと表現するのが正しいのか分からないけど、誰かに話さないと心が折れそうなので書いていくことに決めた。これできっとスッキリするに違いない。
さて、続けよう。
ネットのない時代で、長女は弟や妹の失敗の責任を取らされ、ほおり出されることに慣れてしまった。当たり前だと刷り込まれていたんだと思う。だから、誰かのせいでとか捻くれることなくいた。1番最初に生まれた運命なんだと…
朝には普通に学校へ行き、またほおりだされた!と友達に言っていたくらい。友達は多かったのが唯一の救いだったのかもしれない。
下校時に、人形をいっぱいつけたカートを押してるホームレスのおばちゃんといつも会って話かけていた。おばちゃんは、沢山ある人形のうちの1つをくれた!
喜んで家に帰って、おばちゃんに貰ったと言うと捨てられた。なんで捨てるの?おばちゃんがくれたんだよ?と反抗したが無意味だった。
あたしは、どうも変わり者らしい。
薄汚れた人形だったが、洗えばいいと思っていた。おばちゃん、ごめん。と心で呟いた。
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