第7話
椿「じゃ、俺煇といつものところで待ってるから適当に。」
は「ありがとう。」
1日目が終わってみんなが帰り始めた中、椿はそう声をかけてくれて教室を出た。
教室を見ると、帰った人と、まだ喋って残っている人。
ふと、窓際にいる咲ちゃんと目が合った。
話してみたいと思って近寄ると、少し不思議そうにしていた。
は「咲ちゃん、こんなことを急に聞くのはどうかと思うんだけど聞いてもいいですか。」
咲「え、うん。何々?」
突然そんなことを言ったのにニコニコと聞いてくれるこの子は、とても可愛い。
声を小さくして耳元で聞く。
は「咲ちゃんはさ、椿のことが好きなの?」
咲「え?!うふふ、...うん。あはは、何急に?!恥ずかしいよ〜!」
恥ずかしがっている咲ちゃんはいつにも増して可愛かった。
は「か、可愛い。」
思わず口に出てしまい照れていた。
咲「えー。どうしたの?急に。あれ?はるなと椿は友達でよかったんだよね??」
は「うん、椿はね。」
咲「椿は??え、他に好きな人がいるの?!」
ついうっかり口を滑らせていたことに自分で驚いてハッとした。
気を効かして小声で聞いてくれた。
は「...そ、そうなの。かな?好きってよく分からないんだけど、仲良い人が今日一緒に回ろうって誘ってくれて。」
咲「キャー!良かったじゃん!!!えー、照れてて可愛い!あはは」
は「かっ?!!......恥ずかしすぎる。いや、でも、恥ずかしいからって断っちゃって。」
咲「あ、そうだよね?いつものみんなで回ってたね。」
は「うん。恥ずかしいならみんなでって言ってくれたから。咲ちゃんは今日椿に見に来てって言ったんでしょ?すごいな〜。」
咲「あ、聞いた?ふふ、そうなの。すっごい緊張した〜!」
は「そうだよね、緊張するよね。椿もまんざらでも無さそうだったよ。」
咲「あははは、恥ずかしい!」
は「あははは」
可愛い。
私もこんなに可愛くいたいものだ。
....ん?こんなこと初めて思ったぞ?
咲「でも、誘ってくれたのに断っちゃって良かったの?」
は「ねーーーーーー。咲ちゃん達見てたらさ、勇気出してくれたなら、嫌じゃないんだから応えれば良かったって思ったよ〜。」
咲「そうなの?嫌じゃないなら本当そうだよ。」
は「ね。...咲ちゃんは椿と回らなくていいの?」
咲「実はね、明日ちょっと回ろうって話したんだ。仕事とライブあるのと、家族が来るみたいだから本当にちょこっとなんだけど。」
は「え?!そうなの?良かったねー!」
咲「ふふふ、嬉しい。あ、でもはるな一緒に回る人いる??良かったのかな?」
は「.....明日煇の事誘えって念押しされてるような気がしてきた。」
咲「あ。あはははは!そうなのかな?」
は「いや、もちろん咲ちゃんと回りたいからお前らは勝手にしてくれって意味ね?」
咲「あははは」
は「なるほどな〜。私も、咲ちゃんみたいに恥ずかしくても勇気を出したいです。力をください。」
咲「あははは、そりゃ〜緊張するよー!でも大丈夫、頑張って。」
手を握ってくれて力をくれた。
咲「はるな、こんなに恋する乙女だったなんて知らなかったな〜。」
は「えぇ?!そんな風に見えてるの?絶対人に言わないでほしい...。」
咲「えー、勿体無い。でも分かった。煇くん、私はよく知らないけど優しそうな人だよね。きっと大丈夫だよ。頑張って。」
は「ありがとう。...あ。」
咲「ん?」
は「...私煇と帰るんだけど、多分椿と一緒にいるよ。一緒に行く?」
咲「え、いいの?」
は「うん。駅まで一緒に行ったら?」
咲「行ってくれるかな?...てか、2人で一緒に帰ってるの?!」
は「うん。...いや、昨日気がついたんだけどさ、変だったよね?ここしばらくずっと2人で帰ってた。」
咲「いや、変っていうか.....。はるな鈍感すぎじゃない?あははは」
は「いやいやいやいや。いやー、ね。その通りなんですよね、これが。」
咲「あはははは」
少し話をして、人が少なくなって来てから2人で最後に教室を出た。
煇達はいつもの場所にいた。
今日はギターも弾かずに話し込んでいたようだ、こちらに気がついて手を振って来たので振り返す。
...緊張してきた。
は「ごめん、待たせて。」
煇「はいよ〜。」
椿「待ちくたびれたな〜。てか、なんか2人でいるの珍しくない?朝の逆だけど。」
咲「あは、話し込んじゃったね。」
は「あはは」
2人で恋バナをしていたなんてとても言えない。
咲「椿さ、駅まで一緒に行かない?」
咲ちゃんがまたしても椿を誘っていて、見習わないと!と思って横で見守る。
椿「駅?なんかあんの?」
咲「いや、一緒に帰れないかなって。あれ?!椿って駅行かないっけ?!」
椿「俺駅通らないね。あはは、でもいいよ。2人に邪魔だって言われるから一緒に行く。」
煇「言わないよ、邪魔なんて。」
は「邪魔邪魔〜!」
煇「?!」
椿「あはははは!お前悪口言いたいだけだろ!」
ふと煇を見たら照れていて我に返った。
椿「チャリとってくるから歩いてて。」
咲「うん!ありがとう。はるな、煇くん、また明日!」
「「また明日〜!」」
そう言ってそれぞれ自転車を取りに行った。
煇「なんか、椿もちょっと嬉しそうだったよね?」
は「ね!咲ちゃん可愛いもん。」
煇と並んでチャリを漕ぎ、前を歩く椿と咲ちゃんにもう一度声をかけて、抜かして一緒に帰った。
で、あっという間に昨日話していた別れるところまで着いてしまいそうだった。
言わないと。
帰る前は少し緊張したけど、帰りながら普通に話していたので落ち着いて来た。
は「ねーねー、あのさ〜、さっき言おうと思ったんだけど!」
煇「あー、回った後の時?」
は「そう。」
また、別れる前のところで止まって自転車を降りた。煇も止まって降りた。
もう勢いだと自分に言い聞かせる。
煇「何言いかけてたの?」
は「明日は、2人で回る?」
煇「...え?!」
サラッと言えたけど煇がすごく驚いていた。
は「勇気出して誘ってくれたのに断った事、後悔してたんだよね。今日ずっと煇のこと考えてたし。」
煇「?!!」
私がそう言うと、煇はすごく驚いて目を見開いて顔がどんどん赤くなった。
煇「ま、待ってよ、え?何なの?それ言うのは恥ずかしくないわけ?!」
そう言われて確かに恥ずかしいことを言っていたかもと思い返す。
目が合っていたのにそっぽを向かれた。
ずっと煇のこと考えてた。....て、やばくない?
は「.....恥ずかしいかも。あはははは!」
顔が熱くなって来て恥ずかしいことを言っていたと思い切り笑ってしまった。
口元を手で隠す。
そうだろうよ、と呟きながら煇がこちらを見た。
煇「...俺は回りたいけど。て言うか、一緒にいたいけど、はるなが嫌なら無理させたくないからいいよ、気にしないで。」
は「嫌じゃない。恥ずかしい。」
煇「恥ずかしいから嫌なんじゃじゃないの?」
は「...その通りですね。」
煇「なんなのさー。あはは!」
そうなのだ。
嫌じゃ無いと言いつつ恥ずかしいから嫌をとって今の結果なのだ。
...一緒にいたい、か。
確かに、一緒に回ると言うよりかは、一緒にいたいのかもしれない。
は「そう思ってたけど、...そうだな、確かに私も一緒にいたいのはそうかも。回りたいと言うか。」
煇「...本当?」
は「うん。いつも楽しいし。」
そう言うと、だんだん嬉しそうに笑っていて何だか可愛かった。
煇「...じゃあ、一緒に回る?」
は「うん。」
煇「やった!めっっっちゃ嬉しい、あはは!あ、でももし明日になってから回るの嫌になったら言って?」
私のことを考えてくれるところ、本当に優しい。
は「うん、分かった。」
言えた。
良かった。
ホッとしていると、何を言っていいか分からずに黙り込んでしまった。
煇「...。」
は「...。」
だんまりしてしまい、お互いを見て、なんだか笑った。
明日、ちょっと楽しみかも。
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