付き合うって何ですか。

あかぴー

第1話


カンカン照りの眩しい太陽が昇るよく晴れたある日、高校2年の夏休み明けの今日、席替えをした。


自分のくじの番号と黒板に書かれた番号を見比べる。

私、川越はるなは1番後ろの角の席になった。


は「よっしゃ!」


「何?どこになったの?」


は「1番後ろの端っこ!」


「うわ、いいところじゃーん。」


クラスメイトとそんな会話をしてウキウキで席を移動した。

前の席は背の低い大人しめの女の子、挨拶をして少し話した。


「ねー、表彰されてたよね?すごいね、おめでとう。」


隣の席の男が声をかけてくれた。

目立つ訳ではないが堀が深くて整った顔立ち、クルクル頭のイケメンだ。

私の友達がかっこいいと言っていたが、失礼ながらほとんど話したことがなくてド忘れして名前が思い出せない...。こんなのは日常茶飯事です。


全校集会で夏休みにあった部活の成績を表彰されていたのを見ていてくれていたらしい。

私は水泳を幼い頃からやっていて全国大会に出た。そして全国でビリだった。

でもその前の県大会と関東大会では賞状をもらっていたので表彰してもらえたのだ。


は「ありがとう!」


いい成績ではなかったけど声をかけてくれて嬉しかったのでお礼を言った。


横の男は少し前にいるうるさい男、拓也に1番後ろの席を羨ましがられていて自慢していた。


全然話したことがない人しか周りにおらず、先生の話をつい黙って聞いてしまった。

いや、普通か。


キーンコーンカーンコーン


「じゃ、今日はとりあえずこれで終わり。」


先生がそう言って、午前中に学校が終わった。

日直が号令をかけて挨拶をする。


「「「さようなら〜。」」」


「お、椿!後ろの席になったの?やったじゃん。」


すぐ後ろのドアから声をしたので振り向く。

背が低めの目が丸くてニコニコしている優しそうな男。


は「あ、そうだ、椿...か。」


隣の席の人の名前を思い出してつぶやいくとこちらを向いた。

確かにみんなが椿と呼んでいたと思ったけど声に出してしまった。


椿「ん?何?...君はクラスメイトの人の名前覚えてないの?」


は「あはは、ごめんごめん。覚えるの苦手で。」


椿「失礼なやつだな。名前なんて言うの?」


は「あ、私?川越はるな...あんたも覚えてないんじゃん!あはは」


椿「あははは、はるなね、よろしく。じゃあね。」


本当に覚えていなかったのかなんなのか分からないけど、自分だけが失礼なことをせずに済んで良かった。


は「じゃあね。」


椿はカバンとギターを持って、来てくれた友人の元へ行った。

友人の方がペコリとしてくれたので私も会釈をした。




----------




席替えをして2週間が経った。


隣の席の椿は、目立たないと思っていたけど、ノリが良くて面白い、そして頭がいい人だった。

授業中に2人でくだらない話を話していたら、私だけが先生の質問に答えられずに怒られ、椿はニヤニヤ笑っていた。ちょっと腹が立つ。


だけど助けを乞えば意外と助けてくれるので怒られたのは一度きりで済んでいた。


は「あー、お腹空いたな〜。早く購買行きたい。」


下敷きで自分を仰ぎながら呟く。


椿「いっつも購買まで走って行ってるよね。何で走ってんの?」


は「え?!購買使ったことないの?!激戦だよ?」


私は部活の朝練があるといつもお弁当だけでは足りないので購買でパンを買っている。

各学年の精鋭たちがチャイムと共にダッシュして大人気のきな粉揚げパンを買いに行くのだ。

私も負けてられないのでダッシュでいつも行っている。


そう話すと興味を示したようです。


椿「えー、俺もそれ食べてみたい。買って来てよ。」


は「いやいやいや、タダで買ってくるなんてできないね。逆に私の分買って来てくれるんなら奢ってあげるよ。」


椿「マジ?食べたいな〜。.....絶対食べたいけど走りたくないから5分くらい前に抜け出しちゃおうかな。」


は「あははは、やばすぎ。」


冗談だと思って笑っていたけど、お金ちょうだいと言われてお札しかなかったので1000円渡しておいたら

本当にこっそり5分前に抜け出すからめちゃめちゃ笑った。


「あれ?本山(椿)は?」


は「トイレ我慢できないって血相変えて走って行きました〜!」


「どんだけだよ。せめて言えよ。まあいいか。」


あははははは


先生にバレていたので笑いものにしておいた。絶対怒られると思っていたのに、まさか怒られないとは...

成績がいい人は対応が違うんだなと感じた瞬間だった。


で、昼休みになってニコニコで戻ってきた椿の手には揚げパンが...5個もある。


椿「あざーっす!」


は「待って、お金全部使ったの?!ありえない!!」


椿「奢ってくれるって言うから。あははは」


は「揚げパン一個でしょーが!!」


椿「あはははは!あ、煇。」


煇「どうしたの?」


他のクラスからいつもやってくる優しそうな人、煇(ひかる)が椿の机にたくさんあるパンを見て驚いていた。

...優しそうな人というか優しい性格で、ものすごい見た目通りの性格だった。


椿「はるなが奢ってくれた。あ、はい、一個あげる。」


は「あげるじゃないよ!私のお金だよ!もー、最悪〜。」


煇「えー、椿、人の金でそれは...。」


は「ひどいよね??!煇もっと言ってやって!」


拓「え、何お前?!トイレ行ってたんじゃなくて購買行ってたのかよ?!ずりー!」


椿「あははは、ごめんごめん、払うって。だって1000円きっかり持って行ったから。はい。あ、拓也も揚げパンいる?」


そう言って財布から小銭をかき集めて850円が返って来た。本気にしてしまった。

普通に私の分も買って来てくれただけになった。


私はいつも席で食べているので何となくクラスメイトの椿と仲のいい拓也、他のクラスからやってくる煇と喋りながらご飯を食べている。


拓「椿、今日ご飯ないの?」


椿「いや、あるんだけど揚げパンいつも争奪戦になるくらい人気だって聞いたから。」


煇「いやむしろ今まで知らなかったのかよ。」


は「ねー。絶対食べたいって言って授業終わる前に抜け出してんの。あははは!やばすぎ!」


煇「あはははは!」


拓「あははは、トイレに駆け込んだのかと思ったわ。」


椿「ちげーよ。...美味っ。確かに美味しい!」


拓「美味いよな〜!椿が買って来てくれるなんて今日ラッキーだわ〜。」


煇「ね!ありがとう!...はるなはいつもパンだよね。」


は「んー、と言うかお弁当じゃ足りないから買い足してる。」


煇「よく食べるね。」


は「食いしん坊とか言うな!」


煇「いや、言ってないよ!」


は「あはは」


優しい煇の焦る姿を見て笑う。


「はるな〜!」


は「ん、あ、土屋!」


同じ水泳部の土屋もたまに参加しにくる。

椿をかっこいいと言っていたので隣の席になったと言ったらたまに来るようになった。


前の席の子は他のところで食べているのでそこに土屋が座った。


土「椿は今日パンなんだね、珍しい!」


椿「はるなにパシられた。」


は「...結果的にそうなってしまった。」


椿「授業終わってないのに行けって言われて。」


は「それは言ってない。何なら先生に椿がいないことバレてトイレに駆け込んだって助けてあげたわ。」


椿「それ俺、助かってんの?クラスメイトのイメージ的にギリアウトじゃね?」


煇「あはははは」


拓「クラスの人はみんな、よっぽど我慢したんだなって思ったよ絶対。」


椿「最悪じゃねーか。揚げパン返せ。」


は「あははは、嫌だよーだ!べろべろベー!」


椿「腹立つな〜。」


煇「あはは、仲良いんだか悪いんだか。」


椿「あ、ほら、はい。土屋も食べるならあげる。」


土「え、ありがとう!何?みんなの分買って来てくれたの?」


椿「うん。」


土屋が優しいと小声で呟いていた。

土屋は椿が好きなのだろうか?


何でもない話をして昼休みを過ごし、午後は文化祭の出し物決め。

委員会の人が前で仕切って話を進めてくれる。


は「椿はそう言えば軽音だよね?文化祭もやるの?」


よく楽器を持って来ているので聞いてみた。


椿「やるやる。ライブね。俺2つバンド入ってるから2回ライブやる。」


は「へぇ〜!観に行こうかな。」


椿「おぉ!煇も一緒に組んでるからそっち来てよ。」


は「分かった!」


クラスの出し物は教室でタピオカになった。

クラスのギャルたちは可愛い格好をしたいとテーマをハワイにしていた。


私も椿も何でもいいと思っていたので拓也にも声をかけて装飾準備係となった。


そして授業が終わり、部活に向かう前、いつも通り煇が椿を迎えに来た。


煇「椿、行こうぜ〜。あ、はるな部活頑張って〜!」


は「ありがとう。」


椿「あ、煇。はるなが文化祭のライブ見に来てくれるってよ?」


煇「えっ、本当?」


は「うん、私部活の出し物なくて暇だし。」


煇「やった!めっちゃ練習するわ!」


は「頑張れ〜。」


そう言って自分のリュックを背負って土屋と合流し、部活に向かった。


これが私の日常。



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