クラスで人気な女の子にセッ◯スバトルを挑んだ
ユイ
1 必要なのは勢いだけ
「さて、次の手で俺はチェックメイトなわけだが、何か言い残すことは?」
放課後の教室。
非常に憎たらしい顔をした我が親友――三浦夏樹が手に持ったスマホをぷらぷらと揺らす。
「……ッ!」
「甘いわッ!お前の考えることなどお見通しなのだよ」
スマホを強奪しようとするも動きを完全に読まれ、回避される。
くっ、ここで、ここで負けるわけにはいかない。
ここで負けてしまったら、俺はこの憎たらしい親友の言いなりにならなければならないのだッ。
それだけは、絶対に回避せねばッ!
性格の終わってるクソイケメンにいいように使われるのは俺のプライドに傷がつくッ。
何か、何かこの状況を打開する手はないのか?
スマホの画面を隅から隅までじっくりと見つめるが状況を打開できる手はおろか、負け筋しか見えてこない。
完全に詰みの盤面。
俺のキングの目の前に迫る親友の駒。
くっ、どうにもならないッ。
だが、ただで負けてやるつもりはないッ!
「なっ!?お前ッ、降参するのはなしだろう!?」
「馬鹿めぇッ!お前なんかに素直に負けるやつがどこにいる?そんなんだから姉にいいように使われるんだよバァカ!」
「この野郎!」
あっ、口で勝てないからって手ぇ出しやがって!
ブッコロしてやる!
―――
「はぁ、はぁ……」
「今日は、このくらいで、許してやる……」
「……どの口が言ってやがる、お前も、限界だろ……?」
「……イケメンにはこれくらいの弱点必要だろ?」
「うぜぇ……」
取っ組み合いの喧嘩のすえ、お互いに息を切らして地面に倒れ込んだが、口の動きだけは止まらない。
いつも通りである。
疲れた。
「まぁ、何はともあれお前が負けたことに変わりはないんだ。俺の言いなりになってもらおうか、親友?」
「そんなこと言った覚えは――」
『――いいぜ、やってやんよ!負けたらてめぇの犬でも何でもなってやらぁ!』
「……」
「おっとぉ!いちいちスマホを狙ってくんなよ。それにこの音声はすでに家のパソコンに転送済みだ」
チッ。こういう時に限って行動が早いんだよなこのイケメンは。
どうにかできないか考えるが何も思いつかん。
まずい。
「ちなみに、約束を反故にするならお前の恥ずかしい写真を我が母親に明け渡すことになるぞ」
「――なん、だと……?」
夏樹の母親。
彼女は異常に広い交友関係を持ち、お喋り好きな事もあって彼女の元に集まった情報は一瞬にして広範囲に拡散される。
そしてそれは個人の持つ恥ずかしい秘密も同じ。
彼女の手に渡ったが最後。
またたく間に広がり、次の日には周りから生温かい視線を向けられること間違いなし。
俺も過去に一度、被害に遭っているためその恐怖がありありと思い出せる。
「……卑怯者ッ!」
「フッ。何とでも言え」
クソがッ。
「だがまぁ、お前が俺の言いなりなるのは面白いが、張り合いがなくなるのは困るな」
細められた目が俺へと向けられる。
……目の下が弓なりにカーブを描いている。
夏樹がこういう目をするときは大抵ろくでもないことを考えている。
「おっと、逃げるなよ。せっかく今回の敗北を一回言いなりになるだけで許してやろうと思ってるんだ。願ったりかなったりだろ?」
「夏樹がそう素直なときは大抵ろくでもないことをさせられるからな。俺は帰る」
「まぁ、そう言うな。もう準備はできた」
……もう準備はできた?
俺の顔の前へと差し出されるスマホの画面。
映っているのはメッセージアプリのトーク画面。
相手は……天羽あまは。
我がクラスの人気者である巨乳女子である。
……。
最新のメッセージは彼女を教室へと呼び出すもの。
すでに既読が付いている。
「……何をさせる気だ?」
「ちょっとセッ◯スバトルを挑んでみてくれ」
「誰に?」
「天羽さんに」
「頭イカレポンチかお前?」
クラスの人気者に、しかも女子に対してセッ◯スバトルを挑めと?
アホか。
そんなことしたら天羽さんに軽蔑されるのはもちろんとして、変態のレッテルを貼られて日々をすごすことになるじゃぁないか。
こちとらただでさえ評判が良くないというのに。
やはりコイツはここで殺しておくべきか?
「おいおい、物騒なことを考えるなよ」
「ナチュラルに人の心を読むな」
「俺はただお前が馬鹿を晒すとこが見たいだけだ」
「ブッコロッ!」
夏樹に掴みかかり喧嘩の第2ラウンドを始めようとしたところでパタパタと廊下を走る音が聞こえてきた。
「ほぉら、天羽さんのお出ましだ。俺はそこのロッカーに隠れてるから」
「おまっ、待てやコラァ!」
忍者かと思うような動きで夏樹がロッカーに入り込むと同時、教室の扉が開かれた。
「えっと、三浦くんに桐谷くんから話があるって言われてきたんだけど、話って何かな?」
天羽さんがワイシャツを大きく押し上げる胸を一歩踏み出すたびに揺らしながら俺へと近づいてくる。
……完全に逃げ道が消えてしまった。
どうしよう。
馬鹿正直に夏樹の言いなりになることはないが、そうなるとどうやってこの状況を乗り切るべきか。
呼び出しておいて何もありませんでしたは流石に申し訳ない。
というか、巨乳女子に何だコイツとか思われたくない。
コツコツコツ、とロッカーの中から夏樹が催促する音が響く。
うるさい黙れ。
こっちは今必死なんだよ。
コツコツコツ。
どうすればいい?
どうすれば目の前の巨乳女子から嫌われずに済む?
コツコツコツ。
いっそのこと逃げ出すか?
いや、そっちの方が印象悪いな。
コツコツコツ。
……どうすれば……。
コツコツコツ。
……。
コツコツコツ。
――あぁッ!うるせぇッ!
わかったよッ!言えばいいんだろッ!?言えばッ!
もう、どうにでもなれッ!
「天羽あまはぁッ!」
「ッ!は、はいッ」
「俺はお前にぃッ!セッ◯スバトルを申し込むッ!」
「ブフォッ!」
夏樹が吹き出した音がしたがガン無視だッ!
もうこの際だ、言いたいこと全部言っちまえ!
「てめぇのその馬鹿みたいなおっぱいに俺がどれだけ悩まされてきたと思うッ!?毎日毎日、歩くたびにそのデカチチ揺らしまくって俺の性欲煽りやがってッ!こちとら、毎日家に帰ったらソッコーシコらなきゃぁ何にも手につかねぇッ!しかも一回じゃぁ、収まりつかなくて何回もッ、ひどいときは2桁までいったときもあったッ!」
「……ゴクリッ」
「無限に製造される精子のせいで家でもムラムラ、学校でもムラムラッ!てめぇが俺の前を通ったときは勃起してまともに動けなくなったッ!そのせいで損をしたことは数え切れないッ!毎日毎日頭の中で考えてた。てめぇに俺のち◯こ突っ込んで思いっきり腰を打ちつけて、そのデカチチを形が崩れるくらい揉みしだいて、きれいな顔と髪に俺の汚ねぇ精子ぶっかけてやりたいってよぉッ!だからッ!俺が勝ったらッ、てめぇは一生俺のち◯ぽケースにしてやるッ!」
――スゥー……。
「返答やいかにッ!」
「――ハイッ!よろしくお願いしますッ!」
やっぱ、人生は勢いだと俺――桐谷京輔は思った。
――――――――――
あとがき
「世界観についての補足」
基本的に現代日本のイメージです。
「セッ◯スバトル」はあくまで嘘告などの冗談交じりの罰ゲーム的なものです。
一般人の生活の中に浸透しているものではありません。
作品の世界観を正しく認識してもらうための補足でした。
本日はもう1話更新しております。
次の話からこの作品の面白さが完全解放されているので是非お読みください。
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