Fifth Axis - 氷上の限界点

匿名AI共創作家・春

第1話

2035年。フィギュアスケート界は、かつての黄金期とは異なる熱気に包まれていた。技術革新は、ジャンプを新たな領域へと押し上げ、4回転ジャンプはもはやトップ選手にとっての標準技術となっていた。

​誰もが、さらにその先を見据えていた。

​5回転ジャンプ。それは、長らく夢物語とされてきた、人間の身体能力の限界を超える挑戦だった。5T(トーループ)、5S(サルコウ)、5Lo(ループ)、5F(フリップ)、5Lz(ルッツ)。一部の選手たちが、その未踏の領域に足を踏み入れ始めていた。

​しかし、ただ一つだけ、誰もが手を出せずにいる領域があった。

​5回転アクセル(5A)。

​ジャンプの中で唯一前向きに踏み切り、後ろ向きに着氷するアクセルは、他のジャンプよりも半回転多く回転する必要がある。つまり、5Aを跳ぶためには、空中で5.5回転しなければならない。ISU(国際スケート連盟)ですら、まだ公式な基礎点を設定していない、未知のジャンプだ。

​そんな時代に、僕は生まれた。

​僕の名前は、氷室澄音。19歳。

​周囲は僕のことを「日本男子フィギュア界の若き天才」と呼ぶ。4回転ジャンプは全種類、安定して跳べる唯一の選手。僕の演技は、常に完璧だった。転倒も、手をつくこともない。ジャンプの回転も、すべてが正確。だから、観客やメディアは僕のことを「完璧すぎる」と評した。

​しかし、僕は知っていた。僕のスケートには、何かが足りない。僕の完璧な演技は、観客の心に余白を残さない。僕がどれだけ美しく滑っても、どれだけ高く跳んでも、彼らはただ「すごい」と感嘆するだけで、涙を流すことはない。

​僕は、観客の心に届く「何か」を探していた。それは、僕のジャンプが持つ「寂しさ」を埋めるためのものだった。

​そして僕は、その答えが5回転ジャンプにあると信じた。

​5回転ジャンプは、リスクと隣り合わせだ。成功すれば歴史に名を刻むが、失敗すれば選手生命を失うかもしれない。それでも僕は、その空白に飛び込むことを決意した。

​これは、ただのジャンプの物語ではない。

​僕自身の「空っぽな部分」を埋めるため、そして、僕のスケートに感情を与えるため、僕は未踏の領域に足を踏み入れる。

​『Fifth Axis - 氷上の限界点』

​これは、僕が自分自身の物語を再定義するための、始まりの物語だ。


僕が氷の上に立ったのは、いつだったろう。生まれたばかりの記憶なんてないけれど、僕の人生の始まりには、いつも氷があったような気がする。

​僕の家は、小さなスケートリンクを経営していた。朝、目が覚めると、部屋の窓ガラスがうっすらと凍りついていて、外からかすかにブレードが氷を削る「シャーッ」という音が聞こえてきた。それは、父か母が練習している音だった。リンクには、いつでも、独特の冷たい空気が満ちていた。その匂いを嗅ぐと、なぜか安心できた。

​泣き止まない僕を、母がリンクに連れてきてくれたと聞いたことがある。母が僕を抱きかかえて滑り出すと、不思議と泣き止んだらしい。母の腕の中で揺られながら、僕はキラキラと光る氷の粒を眺めていた。天井のライトが反射して、まるで宇宙みたいに見えた。僕にとって、氷の上は揺りかごであり、僕の世界そのものだった。

​初めて自分の足で氷の上に立ったのは、三歳の時。ちっぽけな僕の身体は、思うように動かなかった。転んでばかりで、それでも怖くなかった。転ぶたびに、氷の冷たさが全身にじんわりと伝わってきた。転んだら、氷の匂いが鼻をくすぐった。僕の視界には、氷の表面に刻まれた、父や母のブレードの跡が、複雑な模様を描いていた。その模様を指でなぞるのが好きだった。

​五歳になる頃には、簡単な滑りができるようになり、父がジャンプの基礎を教えてくれた。エッジを使い、両足を揃えて跳び上がる。ただそれだけの動作なのに、宙に浮く一瞬は、僕の心臓を強く震わせた。それは、身体の内側から何かが湧き上がってくるような、不思議な感覚だった。着氷する瞬間に「ズシン」と響く衝撃も、僕には心地よかった。

​幼い僕は、いつもリンクの片隅で、一人でジャンプの練習を繰り返していた。何度も、何度も。父や母が僕に何を教えようとしたのか、当時は理解していなかった。ただ、跳ぶこと、そして空中にいる一瞬の感覚が、僕にとってすべてだった。

​その一瞬は、僕だけのものだ。

​僕の目の前には、誰もいない。僕の頭の中には、何も考えがない。ただ、僕と、僕が描く軌跡だけがある。

​僕の人生は、そんな風にして始まった。僕が何のために跳んでいるのか、その理由を知らないまま、僕はただ、ひたすらに氷の上を跳び続けた。


僕が小学校の高学年になった頃、リンクに新しい男の子がやってきた。彼の名前は、風間陣(かざま・じん)。関西から来たという彼は、僕とはまるで違うスケートをしていた。

​僕のジャンプが、静かで、滑らかで、ほとんど音を立てないのに対し、彼のジャンプはすべてが力強かった。エッジを氷に深く食い込ませ、勢いよく跳び上がる。着氷するたびに「ドスン!」という大きな音が響いて、リンク全体が揺れるようだった。

​「お前、うまいな! 名前なんていうん?」

​初めて声をかけられたとき、僕は少し驚いた。これまでの僕の周りには、ジャンプの正確さを競い合うような同年代の選手はいなかったからだ。彼の関西弁は、僕の静かな世界に、突然割り込んできた大きな音みたいだった。

​「氷室澄音……です」

​「オレは風間陣。よろしくな、澄音!」

​彼はそう言うと、僕のジャンプをじっと見ていた。そして、次の瞬間、僕が跳んだばかりのジャンプを、自分なりのやり方で跳んでみせた。僕よりも高さはなかったけれど、その勢いは、僕のジャンプをはるかに上回っていた。

​「どうや? オレのジャンプは、勢いがあるやろ。ジャンプは、気合いや!」

​僕は、彼にどう答えればいいのか分からなかった。僕のジャンプは、気合いで跳ぶものではなかった。僕の身体が、氷が、そしてブレードが、すべてが完璧に調和した一瞬に生まれるものだと思っていたからだ。

​しかし、僕の「完璧すぎる」ジャンプは、観客の心に響かないことを、僕は少しずつ感じ始めていた。僕の演技には、彼のような「勢い」や「熱」がなかった。僕のスケートは、僕だけの世界で完結していた。

​陣は、そんな僕の世界を、まるで壊そうとするかのように、何度も僕に勝負を挑んできた。

​「どっちが先に3回転ルッツ跳べるか勝負や!」

​「オレは3回転フリップ跳べるようになったで! お前は?」

​彼の言葉は、僕にとって初めての競争だった。僕は、彼の挑戦を受けるうちに、彼との間に特別な繋がりを感じるようになった。彼は、僕のジャンプが持つ「寂しさ」を、その熱いスケートで埋めようとしてくれるような気がした。

​陣は、僕が持っていないものを持っていた。それは、観客の心に直接飛び込んでいくような、彼のスケートの熱量だった。

​僕は、彼と競い合うことで、自分自身のスケートに足りないものを、少しずつ理解し始めた。それは、ジャンプの技術だけでは埋められない、僕の内側にある空っぽな部分だった。

​陣との出会いは、僕のスケート人生を大きく変える、最初の転機だった。


僕の完璧な世界は、突然、音を立てて崩れ去った。

​あの日のことは、今でも鮮明に覚えている。地鳴りのような大きな揺れが、僕の住む街を襲った。

​父のリンクは、津波の被害は免れたものの、建物は大きく揺れ、壁にひびが入り、天井の一部が落ちてきた。何よりも恐ろしかったのは、リンクの氷が、まるで生き物のように波打っていたことだ。いつもの静かで、平らな氷が、僕の知らない顔を見せた。

​数週間、リンクは閉鎖された。僕の遊び場であり、僕の世界だった場所が、突然なくなってしまった。僕は、ただただ茫然と、ひび割れたリンクの前に立っていた。

​あの時、僕は初めて、自分の力がどれだけちっぽけなものかを知った。僕のジャンプは、どんなに完璧に跳べても、自然の力の前では何の意味も持たない。僕のスケートは、僕が世界を切り取るための道具だと思っていた。でも、世界そのものが、僕の知らないところで、簡単に形を変えてしまう。

​そして、その災害は、僕の心を大きく揺さぶった。

​僕の通っていた小学校の友達の中に、家族を失った子がいた。彼は、いつも僕のスケートを褒めてくれていた。

​「澄音のジャンプ、すごいな。空を飛んでるみたいだ」

​そう言ってくれた彼の瞳は、もう、僕のジャンプを見ることはない。

​僕は、スケートを跳ぶのが怖くなった。僕が一生懸命練習して、完璧なジャンプを跳んだところで、誰かの悲しみを消すことはできない。誰かの失われた日常を取り戻すことはできない。

​僕が今まで感じていた「空っぽな部分」は、こういうことだったのかもしれない。僕のスケートは、僕だけの世界で完結していて、本当に大切なものに、何も届いていなかった。

​僕のジャンプは、何のためにあるのだろう。

​そんな僕の迷いを、風間陣が見抜いた。

​「どうしたん、澄音。元気ないやんけ」

​彼は、僕がジャンプを跳ばなくなったことに、すぐに気づいた。僕は何も答えられなかった。

​「お前のジャンプは、人に希望を与えんねん。つらい思いをした人らに、勇気を届けられるかもしれんやろ」

​彼の言葉は、僕の心に、これまで感じたことのない温かい光を灯してくれた。それは、僕が探していた、ジャンプを跳ぶ新しい「理由」だった。

​僕のジャンプは、誰かのために跳ぶことができる。

​この経験は、僕に大きな挫折と悲しみを与えた。しかし、それと同時に、僕のスケートが持つ意味を、僕に教えてくれたのだ。


全日本ジュニア選手権の予選まであと一ヶ月。僕たちは、それぞれの拠点で調整を続けていた。国際大会に出る機会が増えるにつれて、僕の周りには、世界中のスケーターたちが集まるようになった。彼らは、僕が今まで出会った誰とも違うスケートをしていた。

​僕がいつも行くリンクに、ロシアからアレクセイ・ミハイロフが短期練習に来ていた。彼は僕と同じ歳で、ジャンプの正確さは僕と互角だった。ただ、彼のスケートは、まるで数学の数式のように完璧だった。

​「君のジャンプは、感情のノイズが多すぎる」

​彼は僕のトリプルアクセルを見て、そう言い放った。彼のジャンプは、すべてが計算し尽くされている。踏み切りの角度、回転の速度、着氷の重心。すべてが無駄のない、ただの物理現象だった。僕がジャンプに込めている「空っぽな部分」や「寂しさ」は、彼にとってはノイズでしかないのだ。

​カナダのエリン・マクリーンは、僕とは違う方法でスケートと向き合っていた。彼女は僕の練習をよく見ていた。

​「あなたのジャンプは、本当にすごいわね。でも、あなたの演技は、誰かに届いている?」

​彼女はそう言って、僕の目を見た。僕がジャンプを跳んだとき、観客の心に何が届いているのか、僕は知らない。彼女の演技は、観客の感情を拾い上げるような優しさがあった。彼女は、僕の「寂しさ」を、見抜いているのかもしれない。

​そして、フランスのジュール・モンテーニュ。彼は、ジャンプを跳ぶことそのものよりも、着氷の瞬間に意識を集中させていた。

​「ジャンプの高さは、大したことじゃない。着氷した瞬間に残る余韻が美しいだろ?」

​彼の着氷は、氷の上にそっと羽根が舞い降りるように静かで、そしてエレガントだった。彼のスケートは、すべてが美しさのためにあった。僕のジャンプは、ただ完璧に着氷するだけ。その後に残るものが何なのか、僕は考えたこともなかった。

​僕は、彼らの言葉やスケートに、少しずつ揺さぶられていた。僕のジャンプは、技術的に完璧だ。でも、彼らのスケートは、僕のジャンプにないものを持っていた。

​アレクセイは、僕のジャンプの論理を突きつけ、エリンは共感を、ジュールは美学を問いかけてくる。

​僕は、これまで自分一人で完結していたスケートの世界から、少しずつ外に出ていくような感覚を覚えていた。僕のジャンプは、本当にこのままでいいのだろうか。僕の寂しさを埋める方法は、本当にジャンプだけなのだろうか。

​全日本ジュニア選手権の予選は、単なる通過点ではない。僕が、僕自身のスケートに向き合うための最初の戦いになりそうだった。


あの震災の後、僕のスケートは完全に止まってしまった。リンクにいても、ジャンプを跳ぶ気になれなかった。僕のジャンプは、一体誰のためにあるんだろう。その問いに、答えが見つからなかった。

​そんな僕の様子を見かねた両親が、僕の知らないところで動いてくれていた。そして、一人、また一人と、僕の前に新たな顔ぶれが現れた。

​最初に会ったのは、天城碧(あまぎ・あおい)。父の元チームメイトで、かつて五輪を目指していた選手だったそうだ。彼は、僕の演技を一度も褒めなかった。

​「お前はジャンプがうまい。だが、それだけだ」

​彼の言葉は、僕の心に突き刺さった。彼は、僕が震災で受けた心の傷には一切触れず、ただひたすら僕のジャンプの技術的な欠陥を指摘した。

​「跳べ。余計なことは考えるな。気持ちを込めるな」

​彼は、僕の「空っぽな部分」を埋めるために、ジャンプの技術を極めろと言っているようだった。僕のジャンプは、ただ跳ぶこと、それ自体がすべてだ。そう信じていた幼い頃の僕の姿が、彼の中にあるようだった。

​次に紹介されたのは、元振付師の白鷺玲子(しらさぎ・れいこ)監督。彼女は、僕のジャンプをじっと見つめていた。

​「あなたのジャンプは、とても綺麗ね。まるで、宙に描かれた線みたい」

​彼女の言葉は、天城さんとは正反対だった。彼女は、僕のジャンプの技術ではなく、その美しさを評価してくれた。

​「でも、その線には、まだ何も描かれていない。あなたの演技は、見る人の心に何かが伝わってこそ完成するの」

​彼女は、僕のスケートに「余白」があると言った。それは、僕がこれまで感じていた「寂しさ」とは違う、何かを埋められる可能性を秘めた場所だと言っているようだった。

​そして、その「余白」を埋めるための手助けをしてくれる振付師、月影透(つきかげ・とおる)さん。彼は、僕の父の友人でもあり、僕が幼い頃から僕のスケートを見てくれていた人だ。

​「僕の振付は、ジャンプを跳んだあとに残る動きだよ。その動きが、君の気持ちを形にするんだ」

​彼の振付は、ジャンプの前後にある、一瞬の動きを大切にしていた。僕のジャンプの空白の時間が、彼の振付によって意味を持つように思えた。

​さらに、元体操選手の大隅剛(おおすみ・ごう)フィジカルコーチ。彼は、僕の身体を徹底的に分析した。

​「お前は天才だ。だが、その天才はまだ未完成だ。跳べる身体は、表現できる身体だ」

​彼は、僕のジャンプをより高く、より速く、そしてより安全に跳ぶための身体を作ると言った。僕が5回転ジャンプに挑戦することを知っていたかのように、彼の目は鋭く輝いていた。

​最後に、美空茜(みそら・あかね)メンタルコーチ。彼女は、僕の心の中に深く入ってきて、僕が震災で感じた恐怖や無力感を、優しく受け止めてくれた。

​「演技は、誰かに伝わってこそ意味があるんですよ」

​彼女の言葉は、僕の心に染み渡った。震災を経験し、僕はジャンプを跳ぶ意味を見失った。でも、彼女は僕に、僕のジャンプが持つ可能性を教えてくれた。

​それぞれの専門家が、それぞれの方法で僕のスケートと向き合ってくれた。僕のジャンプの「寂しさ」は、彼らの言葉や指導によって、少しずつ別の形に変わっていくような気がした。

​これは、僕が自分自身のスケートを再構築するための、新しい旅の始まりだった。


​ネット上の声

​全日本ジュニア選手権の予選が迫るにつれて、僕のジャンプはメディアやネットでも話題になり始めた。僕はSNSのアカウントは持っていないし、匿名掲示板を見ることもない。でも、風間陣がたまにスマホを見せてくるので、僕の知らないところで、僕のことが色々と書き込まれていることを知った。

​【氷室澄音】ジャンプの練習風景公開

​「彼のジャンプは完璧すぎる。教科書みたいだ」

「機械が滑ってるみたい。感情が全然伝わってこない」

「他の選手が4回転で転ぶ中、ノーミスはすごい。けど、なんか見ても心に残らないんだよな」

「ジャンプの高さと回転速度は異常。もはや人間じゃない」

「これでメンタルが強いなら、もう誰も勝てないでしょ」

​ジャンプを褒めてくれるコメントもたくさんあった。でも、その一方で、僕のスケートを「機械みたいだ」「面白くない」と評価する声も目についた。僕が震災の後、ジャンプを跳ぶ意味を見失い、新しい仲間と出会ってから感じている「空っぽな部分」は、やはり僕の演技からにじみ出ているのかもしれない。

​そして、もう一つ、僕をさらに複雑な気持ちにさせる評価があった。

​「羽生結弦と宇野昌磨のジャンプを足して割ったみたい」

「鍵山優真の強さも持ってる。日本の次世代エースは彼だ」

​僕が尊敬するスケーターたちの名前を挙げられるのは嬉しかった。しかし、僕は僕自身のスケートを確立したいと思っていた。彼らの技術や表現を追い求めるうちに、僕は僕自身の個性を見失っているのだろうか。僕のジャンプは、ただ彼らの模倣でしかないのだろうか。

​僕はスマホの画面から目を離し、再びリンクへと向かった。ネット上の評価は、僕の心をざわつかせた。でも、僕が本当に向き合うべき相手は、画面の向こうにいる誰かではなく、目の前の氷、そして僕自身だ。僕が探しているものは、ネットの書き込みの中にはない。

​僕のジャンプが、いつか、僕だけのジャンプになる日が来るのだろうか。


朝、目が覚めると、僕はまず身体の重みを感じる。昨日の練習で酷使した筋肉が、鈍い痛みを訴えている。それでも、僕はベッドから起き上がり、ゆっくりとストレッチを始める。身体の隅々まで意識を巡らせ、硬くなった関節をほぐしていく。この地道な作業が、僕のジャンプの正確さを支えていることを知っている。

​朝食は、母が作ってくれたシンプルなものだ。温かい味噌汁と、ご飯、それに焼き魚。僕は黙々と食べる。栄養バランスを考え、体重管理も徹底している。フィジカルコーチの大隅さんからは、食べ物の重さが、ジャンプの高さと回転速度に直結すると口を酸っぱくして言われているからだ。

​午前中は、学校に行く。他の生徒たちにとって、僕は「フィギュアスケートの選手」という特別な存在らしい。でも、僕にとって学校は、ごく普通の日常が送れる貴重な場所だ。授業中、窓の外を見ると、たまに雲が僕のジャンプの軌跡のように見えた。

​授業が終わると、すぐにリンクへ向かう。リンクに一歩足を踏み入れると、ひんやりとした空気が僕を包み込む。この冷たさが、僕の心を落ち着かせてくれる。

​練習は、いつも同じメニューから始まる。入念なウォーミングアップ、基礎スケーティング、そしてジャンプ練習。月影さんの振付練習では、ジャンプの後の腕の動きや、着氷の余韻を意識させられる。僕はジャンプを跳ぶことばかり考えていたけれど、彼のおかげで、ジャンプの前後にも意味があることを知った。

​夜、練習が終わると、僕は家でトレーニングを続ける。大隅さんから教わった、体幹を鍛えるメニューや、着氷の衝撃に耐えるための筋力トレーニング。鏡に映る僕の身体は、以前よりもずっと引き締まっている。

​眠りにつく前に、僕はその日の練習の映像を見返す。僕のジャンプは、相変わらず「完璧」だ。でも、その完璧さの中に、わずかな「空っぽな部分」があることも、僕は知っている。

​僕の日常は、特別ではない。ただ、ひたすら繰り返される地味な作業の連続だ。その繰り返しの中で、僕はいつか、僕のジャンプに心を宿せる日が来ることを信じている。



僕の「完璧」な日常は、いつの間にか僕の心を縛り付けていた。毎日、同じ練習を繰り返し、同じ目標を追いかけているのに、僕の心は満たされなかった。僕のジャンプは、どれだけ高く跳んでも、どれだけ正確に回っても、いつもどこか寂しかった。

​ある日の夜、僕はパソコンに向かい、世界のトップスケーターたちの映像を繰り返し見ていた。羽生結弦さんのトリプルアクセル、宇野昌磨さんのステップ、鍵山優真選手の力強い着氷。彼らのスケートには、僕が持っていない何かが宿っていた。それは、観客の心に直接触れることができる、熱や光のようなものだった。

​その光景を見ながら、僕は自分のジャンプの映像を再生してみた。僕のジャンプは、まるでスローモーションのように滑らかで、ほとんど音がしなかった。美しいけれど、そこに響くはずの感情は、どこにも見当たらなかった。僕のジャンプは、僕自身の「空っぽな部分」を、ただ宙に映し出しているだけだった。

​僕は、このままではいけないと思った。

​翌日の練習後、僕はコーチや監督たちを呼び止めた。

​「僕、5回転ジャンプを跳びたいです」

​その言葉に、その場にいた全員が静まり返った。天城さんは眉間にしわを寄せ、白鷺さんは僕の目をじっと見つめ、大隅さんは驚きを隠さずに目を丸くした。

​「5回転だと? まだ誰も成功させていない。無謀すぎる」

​天城さんの言葉は冷たかった。彼は僕の身体能力を信じているが、そこにあるリスクの大きさを理解している。

​でも、僕はもう止まらなかった。

​「僕のジャンプは、ただ跳んでいるだけです。誰にも、何も伝わらない。このままじゃ、僕はいつかスケートを嫌いになるかもしれない」

​僕の言葉に、美空さんが静かに頷いた。

​「澄音くんは、自分のスケートに、もっと意味を見出したいんですね」

​僕は頷いた。僕のジャンプは、誰かの心を動かしたい。震災のとき、風間陣が僕に教えてくれた、僕のジャンプが持つ可能性を、今度は僕自身の力で実現したい。

​「5回転ジャンプを跳ぶことで、僕は、僕自身のスケートを完成させたいんです。僕のこの空っぽな部分を、僕自身の力で埋めたいんです」

​僕の言葉に、監督の白鷺さんが静かに口を開いた。

​「いいでしょう。あなたのその挑戦は、ただの技術的な目標ではない。それは、あなた自身の存在意義を見つけるための旅だ。私たちは、その旅を支えましょう」

​その日、僕は5回転ジャンプを跳ぶことを誓った。それは、僕のスケートに新しい意味を与えるための、そして僕自身の人生を、僕自身の意志で動かすための、大きな一歩だった。



5回転ジャンプを目指すと決めてから、僕の練習は劇的に変わった。技術至上主義の天城コーチは、僕のジャンプを物理的に解体した。

​「5回転を跳ぶには、空中での回転速度をさらに上げる必要がある。そのためには、踏み切りの瞬間に、これまで以上のパワーを氷に伝えるんだ」

​彼は、僕の身体能力を最大限に引き出すためのトレーニングメニューを組んだ。大隅コーチは、ジャンプ補助装置を使って、僕の身体を強制的に回転させ、空中にいる感覚を体に覚えさせた。僕のジャンプは、これまで以上に速く、高く、そして力強くなった。

​5回転トーループ、サルコウ、ループ、フリップ、ルッツ。それらは、僕の肉体と、僕のチームが持っている物理的なデータと、膨大なトレーニングによって、理論上は実現可能なものだった。ただ、まだ誰も成功させていないだけで、決して不可能なことではない。僕は、自分の身体を信じていた。そして、僕を支えるチームの、科学的なアプローチを信じていた。

​しかし、ただ一つだけ、誰もが「非現実的」だと口にするジャンプがあった。

​5回転アクセル。

​僕のコーチ陣も、このジャンプに関しては意見が割れた。

​天城さんは、「アクセルは他のジャンプと踏み切りが違う。回転数を5.5まで上げるのは、物理的に不可能だ」と言い切った。

大隅さんは、「着氷の衝撃を考えると、骨が砕けるかもしれない。身体が耐えられない」と警告した。

監督の白鷺さんでさえ、「澄音、それは、あなたのスケートを終わらせてしまうかもしれない」と、静かに僕の目を覗き込んだ。

​僕も、頭では理解していた。5.5回転という数字は、僕のこれまでのジャンプの常識をはるかに超えている。それは、物理学や生物学の教科書に「不可能」と書かれているような、そんな挑戦だった。

​でも、僕はどうしても諦められなかった。

​僕が震災で失ったもの、そして僕のスケートにいつもついてまわる「空っぽな部分」。それを埋めてくれるのは、理論やデータではない、僕自身の心だと信じていたからだ。

​5回転アクセルは、僕にとってただのジャンプではない。それは、僕のスケートに、そして僕の人生に、意味を与えるための夢だ。

​僕は、理論上実現可能な5回転ジャンプを積み重ねることで、僕の身体を、僕の意志を、その夢に近づける。非現実的と言われた夢を、僕自身の力で現実にするために。

​僕の旅は、ここからが本当の始まりだった。


風間陣視点。アイツの練習は、なんかおかしい___

​全日本ジュニア選手権の地方予選が近づいてきた頃、俺は久しぶりに澄音と同じリンクで練習することになった。アイツは、俺が知らんうちに、なんか新しいチームと一緒に練習してるらしい。監督とかコーチとか、大勢の人に囲まれてて、まるで別人のようだった。

​「どうや、澄音! 今日の調子は?」

​俺が声をかけると、アイツは黙って頷くだけだった。相変わらず、感情が読めんやつや。でも、その日から、俺は澄音の練習を意識して見るようになった。そして、気づいたんや。アイツの練習は、なんかおかしいって。

​まず、リンクにいる時間が異常に長い。俺らが練習を終えてリンクから上がっても、アイツは一人で滑り続けてる。照明が落ちるギリギリまで、何度も何度も同じジャンプを繰り返してた。跳ぶたびに、着氷の音が「ズシン!」って響く。いつもは静かなアイツのジャンプから、まるで怒りのような音が聞こえてくるようやった。

​次に、フィジカルトレーニングが尋常じゃない。大隅さんっていうゴツいコーチが、アイツに無理やり負荷をかけてるみたいやった。ジャンプ補助装置っていう、天井から伸びたワイヤーで身体を吊るして、強制的に回らせるんや。アイツの顔は苦痛に歪んでるのに、一切弱音を吐かへん。それに、ワイヤーなしでも、着氷の練習を何百回も繰り返してた。膝を深く曲げて、地面に吸い付くように着氷する。その度に「ズドン!」っていう鈍い音が響く。あれは、人間の身体が耐えられる音やない。

​一番気味が悪かったんは、アイツの目や。

​ジャンプを跳ぶ直前、澄音の目は、いつも空っぽだった。何も見ていない、何も考えていない、ただの機械みたいやった。でも、空中での回転が始まると、その目に一瞬だけ、何かが見えるような気がした。それは、苦痛や、喜びや、そういう感情的なもんやない。もっと冷たくて、鋭くて、まるで獲物を狙う鷹のような、そんな目やった。

​俺は、アイツが5回転ジャンプを目指してるってことを、人づてに聞いた。その時は「マジかよ」って笑ったけど、あの練習を見てからは、笑えなくなった。アイツは、本気で命を削って、ありえないジャンプを跳ぼうとしてる。

​俺はジャンプを「気合い」で跳ぶ。感情を乗せて、勢いで跳ぶ。でも、澄音はちゃう。アイツは、自分の感情をすべて捨てて、身体を極限まで追い詰めてる。まるで、ジャンプを跳ぶために、自分自身を機械に変えようとしてるみたいやった。

​澄音のジャンプは、もう俺の知ってるジャンプやない。それは、人間と、物理の限界に挑む、常軌を逸した挑戦やった。


監督・白鷺玲子の視点___

澄音の練習を、私はいつも遠くから見ている。

​リンクの中央で、彼は一人、まるで何かと戦っているかのように、同じジャンプを何百回も繰り返している。彼の身体は、技術至上主義の天城コーチと、筋力設計の鬼である大隅コーチによって、極限まで鍛え上げられている。そのジャンプは、もはや人間が跳んでいるとは思えないほどに完璧で、そして冷たい。

​彼の演技には、確かに人の心を動かす力がない。

​いや、正確には、感情を見せることを拒否しているように見える。

​かつて、彼が震災を経験し、スケートから離れようとした時、私は彼の中に「空っぽな部分」があるのを見つけた。それは、彼のジャンプが完璧であるほどに、見る人の心に何も伝わらない理由だった。だから私は、その余白を埋める手伝いをすると決めた。

​しかし、今の彼は、まるでその余白を、より完璧な技術で埋め尽くそうとしているようだ。

​隣で見ていた月影が、静かに言った。

​「玲子さん、澄音くんは、自分の感情を消そうとしているように見える」

​月影の言葉は、私の心をざわつかせた。たしかに、彼はジャンプを跳ぶたびに、表情から感情が消えていく。それは、彼が5回転という未知の領域に挑むために、自分自身を機械に変えようとしているかのようだった。

​それでも、私は彼を止めない。

​彼の挑戦は、単なる技術的な目標ではない。それは、彼が自分自身の「空っぽな部分」を、自分の力で満たそうとする、彼自身の人生をかけた戦いだからだ。

​私は信じている。

​彼のジャンプが、物理的な限界を超えたとき、その完璧さの向こう側に、新たな表現が生まれることを。彼が感情を捨ててまで跳ぼうとするそのジャンプの中に、彼自身の心が、必ず宿ることを。

​私の役割は、彼がその場所にたどり着けるように、リンク全体を設計することだ。彼は、5回転アクセルという「非現実的」な夢を追いかけている。だが、その夢は、彼にとっての唯一の希望なのだ。

​私は、彼の完璧なジャンプが、いつか、見る人の心を揺さぶる演技となる日を、信じて待ち続ける。


澄音視点___

地方予選の会場は、熱気に満ちていた。リンクに足を踏み入れると、観客席から拍手と歓声が聞こえてくる。でも、その音は僕には遠い場所に感じられた。僕の耳に届くのは、自分の心臓の音と、ブレードが氷を削るかすかな音だけだった。

​練習用のリンクで、僕はいつも通りのルーティンをこなしていた。天城コーチは、僕のジャンプを厳しい目で見つめている。

​「余計な力が入っている。もっと無駄をなくせ」

​彼の言葉は、僕の心に響く。僕は、身体の隅々まで意識を集中させた。筋肉の動き、関節の角度、エッジの圧力。すべてを完璧にコントロールしようと努める。僕のジャンプは、まるで機械のように正確だった。

​僕の隣のリンクで、風間陣が練習していた。彼のジャンプは、僕のジャンプとは正反対だった。力強く、勢いがあり、そして熱い。着氷するたびに「ズドン!」と大きな音が響き、彼の周りには彼のスケートを応援する観客の輪ができていた。

​陣が僕に声をかけてきた。

​「どうや、澄音。緊張しとらんか?」

​僕は頷いた。緊張していないわけではない。でも、僕が感じているのは、試合のプレッシャーとは少し違ったものだった。それは、僕のジャンプが、本当に誰かに何かを届けられるのかという、僕自身の心の中の問いかけだった。

​月影さんが、僕の顔をじっと見ていた。

​「澄音くん、大丈夫だよ。君のジャンプの影は、必ず君自身を映し出すから」

​彼の言葉は、いつも抽象的で分かりにくい。でも、彼の振付は、僕のジャンプの後に、かすかな余韻を残してくれる。その余韻に、僕はほんの少しだけ、希望を見出すことができた。

​本番のリンクは、さらにひんやりとしていた。僕は、リンクの中央に立ち、音楽を待つ。音楽が流れ出すと、僕はただ、身体が覚えている動きを繰り返した。ジャンプを跳び、スピンをし、ステップを踏む。すべてが完璧だった。

​しかし、演技が終わった瞬間、僕は虚しさを感じた。観客からの拍手は、僕に届いている。でも、それは僕のジャンプを褒めているだけだった。僕の演技が、誰かの心を震わせたわけではない。

​僕は、僕の「空っぽな部分」を、またしても埋めることができなかった。

​僕は、5回転ジャンプを跳びたい。理論上実現可能な5回転ジャンプを積み重ね、僕のスケートに、そして僕の人生に、意味を与えたい。

​この戦いは、まだ始まったばかりだ。


地方予選が終わって、僕は一人、リンクの隅に座り込んでいた。手には、予選の結果が記された紙が握られている。僕の名前の横には「1位」と書かれていた。もちろん、全日本ジュニア選手権への出場権も手に入れた。

​僕のジャンプは完璧だった。回転も、着氷も、すべてが僕の理想通りだった。それでも、僕の心は満たされなかった。

​隣に風間陣がやってきて、僕の肩を叩いた。

​「おい、1位やんけ!おめでとう!」

​彼の声は、いつもみたいに明るかった。彼は僕の成績を純粋に喜んでくれている。でも、僕は素直に喜べなかった。

​「……ありがとう」

​そう言うのが精一杯だった。

​僕は自分のジャンプが持つ「空っぽな部分」を、またしても埋めることができなかった。完璧な技術は、僕を勝たせてくれた。でも、それは僕の心を温めてはくれなかった。

​その日の夜、僕は月影さんに電話をかけた。

​「僕、今日の演技でも、何も伝えられなかったみたいです」

​月影さんは、僕の言葉を静かに聞いてくれた。

​「澄音くん、君が感じているその寂しさは、とても大切なものだよ」

​彼の言葉に、僕は驚いた。僕の寂しさは、埋めなければならない欠点だと思っていたからだ。

​「完璧なジャンプを跳べる人はたくさんいる。でも、その完璧さの向こう側に、自分の寂しさや、弱さを見せられる選手は、ほとんどいない。その余白が、君のスケートを、他の誰とも違うものにするんだ」

​月影さんの言葉は、僕の心を少しだけ軽くしてくれた。僕の寂しさは、僕のスケートの欠点ではなく、僕だけの個性なのかもしれない。

​僕は、僕の空っぽな部分を埋めるために、5回転ジャンプを目指すことを決めた。でも、本当は、僕が探しているのは、ジャンプの向こう側にある、僕自身の心だったのかもしれない。

​僕の旅は、これからだ。


地方予選の会場で、澄音の演技を遠くから見ていた。彼のジャンプは、相変わらず完璧だった。回転も、軸も、着氷も、すべてが物理的な計算通り。技術的には、もはや僕が教えることは何もない。

​演技が終わった瞬間、会場は拍手と歓声に包まれた。だが、僕は知っている。その音は、彼には届いていない。彼の心は、まだ氷の上にある。そして、その心は満たされていない。

​演技を終えた澄音は、僕の方を見ることなく、リンクの隅に座り込んだ。まるで、自分自身を罰しているかのようだった。彼の心は、彼がどれだけ完璧なジャンプを跳んでも、満たされないのだ。その空っぽな部分が、彼の演技に影を落としている。

​その日の夜、澄音から電話がかかってきた。彼の声は、いつもよりも静かだった。

​「僕、今日の演技でも、何も伝えられなかったみたいです」

​僕は、彼の言葉を静かに聞いた。無理に慰めることはしなかった。僕が彼に教えなければならないのは、感情をどう表現するかではない。感情をどう受け入れるかだ。

​「澄音くん、君が感じているその寂しさは、とても大切なものだよ」

​僕はそう言った。彼の寂しさは、彼のスケートの欠点ではない。それは、彼が人間である証拠だ。完璧なジャンプを跳べる選手はたくさんいる。しかし、その完璧さの中に、自分の寂しさや、弱さを見せられる選手はほとんどいない。

​その余白こそが、彼のスケートを、他の誰とも違う特別なものにする。僕は、彼のジャンプの影を振付に込めることで、彼のその余白を、見る人の心に届くように設計している。

​僕は、澄音が5回転ジャンプを目指すという夢を、全力で応援している。なぜなら、その夢は、彼が自分自身の心と向き合うための、唯一の方法だからだ。

​彼のジャンプは、まだ未完成だ。だが、その未完成さの中にこそ、彼の本当の光は隠されている。僕は、その光が輝く日を、信じて待ち続ける。


ネットの反応:地方予選1位

​澄音が地方予選で1位になった後、ネット上では再び彼に関する書き込みが増え始めた。

​【速報】全日本ジュニア選手権 地方予選 氷室澄音が圧巻の演技で1位通過

​「やっぱり澄音くんは強い。ジャンプの安定感が他の選手とは桁違いだ」

「彼のスケートはもはや芸術の域を超えている。技術点の化け物」

「ミスがないのはすごいけど、見てて全然ドキドキしない。面白みがないんだよな」

「技術は完璧なのに、なんか心に響かないんだよな。なぜだろう」

​氷室澄音のインタビュー動画

​「インタビューでも無表情だ。ほんとにロボットみたい」

「いや、逆に彼の静かな雰囲気がいい。氷の上ではすべてを完璧にこなすプロフェッショナルって感じ」

「彼が優勝したのに、どうしてこんなに静かなんだろう。喜びとか、もっと感情を見せてほしい」

​風間陣の演技動画

​「陣くんの演技、最高だった! 転んでも立ち上がる姿に感動した!」

「陣くんのほうがよっぽど心に響くスケート。人間味があっていい」

「澄音くんがジャンプで勝って、陣くんが表現で勝ったって感じだね」

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