ファンタジー世界に生まれた底辺魔法使いの少女は、幽霊少年に出会う
那雲 零
序章
プロローグ
昔から不思議な体験をしてきた。
今すぐ使いたい! と思っていたものが何故か空中を舞って飛んできたり、読みたい本がどこにあるのか分からないなと思っていたら、本が勝手に光り始めたり、とよく分からない現象が起こっていた。
それを両親に話したところ、それは精霊の仕業だろうね、と返された。
それから、精霊に愛されているものは魔法の申し子と言われていることが多いんだよ、とも教えられてきた。
だから、私も立派な魔法使いになれることを夢に見ていた。
でも実際は違った。
無属性魔法とか言う、よく分からない属性の魔法は使えるらしいけれど、それでも魔法陣も知らなければ詠唱に必要な言葉も知らない。
魔法書だっていくら探してもなかった。
魔力量なら、誰にも負けないのに……。
それでも、魔法を使うことへの強いあこがれは消えなくて、人一倍頑張ってきた。
だけれど、時間ばかりが過ぎていくだけで、魔法を発動するという観点では何も得られなかった。
そしていつも思う。
無属性魔法じゃなかったら魔法が使えたのに。
魔法の申し子って言ってたのは誰だったっけ。
周りの子は、使えるのに何で私だけ……!
こうして、私は無属性魔法、そしてそんな無能な属性の魔法使いとして生まれてしまった自分に嫌気がさしていた。
それでも、魔法が使える人は、この世界では三分の一程度らしい。
だから、私が住んでいるアズゲイル王国では、王都にある
なんで、使えもしないのに入らないといけないんだろう? とも思ったことがあるけれど、もしかしたら、使える魔法があるかもしれないと思い、入ることに決めた。
その結果は、少し先の未来の話だから、今はまだ分からないけれど、もしかしたら魔法が使えるようになっているかもしれない。
というよりも、使えるようになっていると良いなって思う。
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