第5話 あと少しなんだ
関係者証言④ スタジオ・ヴェリテ社員・高橋さん(28歳)
「11月10日頃から、田中山さんの様子が明らかにおかしくなりました。電話で話していても『誰かに見られている』『窓の外に影が見える』と繰り返すんです。『早く帰ってきてください』と言っても、『もう少しで真相が掴める』と……」
※※※※※
撮影日:2024年11月12日 午前2時33分
場所:民宿「やまぼうし」
(赤外線映像。田中の顔がアップで映る。目の下にクマ、頬がやつれている)
田中山:(囁き声で)
「連中は俺を監視しています。昼間も、夜も。でも重要な発見をしました。あの廃屋で見つけた古い日記……見えますかね?」
(カメラが古いノートを映す)
田中山:
「昭和40年代の記録です。当時もやはり、同じような現象が起きていた。そして……」
(ページをめくる音)
田中山:
『彼らは見る者を選ぶ。一度選ばれた者は、永遠に見続けられる。そして最後は……』
(そこでページが破れている)
田中山:
「続きがありません。でも分かりました。俺は選ばれたんです。だから――」
(三度ほど窓を軽く叩く音)
田中山:(カメラを窓に向ける)
「また来ました。でも今夜は違います。今夜は俺の方から近づいてみます」
(立ち上がる音)
田中山:
「真実を知るために。」
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