警視庁公安部異種特化犯罪対策課(通称:異犯課)
半熟ゆで卵
第1話 説明しよう!
警視庁公安部異種特化犯罪対策課とは!
まずクソ長いから異犯課と略すところからだ、うん。
異犯課は通常業務というものが存在しない。
所属している中で現職の警察官は一人しかいない。
かく言う私とて普段はBARを一件経営しているだけのただの完璧なバーテンでしかないのだが。頼まれたことには断れない。それが完璧な私の役割だから。
ん、んんっ、まぁ今は置いておこうか。
さて、そんな異犯課だが、通常業務がないなら何をするのだと。
異種特化犯罪というものがある。
かなりざっくりとした分け方なのだが、通常の事件(一般的な傷害事件等)はある程度の特異性があっても現職の警察が動く。
しかしそこに常識外のものが入ると、そうもいかなくなる。
ま、私のような完璧な人間にかかればどんな事件だろうが野良犬一匹探すより容易い訳だが。
「自語りに浸ってないで仕事してくれない?」
「やぁ親愛なる同僚その一。仕事ならたった今してるが?」
「君あんまし表情変わらないからそれ言われても困るんだよね」
「ほら、私って、完璧な人間だろう? 今の表情こそが完全無欠の証。この表情一つで喜怒哀楽全てを表しているわけだそれだけこの私が魅力的であるという証左でありそれは親愛なる同僚諸君及び普段店に来てくれる常連の人達もわかっていることだろうがそれはそれとして鏡を持ってきてくれないか?」
「スマホ見れば?」
「ふむ、一考の余地はない」
カメラの画素数がどれだけ上がろうともこの私を再現しきるには足りないに決まっているだろう。
「あら、騒がしいと思ったらやっぱり根井か」
「やぁ親愛なる同僚その二」
「何その呼び方。私これでもちゃんと
「別に私が認識していれば問題無いだろう?」
「根井さぁ……そういうところじゃない? 客の癖が強いの」
馬鹿な。ウチの客は常に私の素晴らしさを理解している上客ばかりだと言うのに。
*
はいはい、根井に任せると話が進まない。ちょっとこちらにカメラ貰うよ?
さて、自己紹介だ。
僕は
本業は異犯課唯一の現職警官。
ね? もうまともでしょ?
できることは他のメンツに比べると地味なんだけどね。
さて、異犯課の説明だね。
常識外の事件。言ってしまえば超常現象が絡むような事件になると動くのが僕ら。たまに現職なのに解決できる人がいたりするんだけど……弱冠二十二歳で異犯課が絡むべき事件を単独解決して警視に上がるような子とか、ね。
ま、あの子もそろそろ動きそうな『ネームレス』関連で手柄が上がればこっちに招待されるだろうし、結局は異犯課がメインになるって話。
ちょっと逸れたね。
さて、そんな超常現象に対処する人員が、真人間なのかと言うと、そんな訳ない。
『覚醒用錠剤B-J666β』、通称『バジリスクの延髄』。
異犯課にいる人間はほとんどがこの錠剤を服用している。もちろんよく聞く覚せい剤の類ではない。中毒性は全くないし、ね。
これを飲むと、まぁ、うん。死ぬほうがマシなくらいの頭痛と、それを無理やり消すかのような多幸感が襲ってくる。脳に過負荷がかかる状態を外的要因で作り出すわけだ。そうするとあら不思議、脳の回路が少しイカれる。……この言い方良くないな。
人間がセーブしている領域の一部が解放される。うん、この言い方で行こう。
そう、こういう作用がおこるわけだ。するとどうなるか。
超能力、『異能』ってやつが使えるようになるんだよね。
んで、これを作った人が最近動いていて、ってこれまた話が飛ぶなぁ。
えっと、どこまで話したんだっけ?
「根井、僕どこまで説明した?」
「ニコニコ能面ポーカーフェイスに言われても知らないが? 私くらいひとつの表情に思考を込める練習をするといい。私以外無理だろうがね」
……どっちが能面だよ。
ああ、そうそう、だからね
異犯課ってみんな『異能』が使えるんだよね。
その中でも僕はとーっても地味でね。
『還らぬ
とまぁ、こんな具合に変わった部署な訳で。さらに言うと、
こんな場所にいる人員がまともな訳がなくて。
さっきの真人間どうこうとは別の話。
人としてまともな人がほんっとうに少ない!
僕の胃が復活しないんだ! どうしてくれる!
「はい胃薬」
「あ、ありがとう。ついでに水もくれるとうれ「水とかなくても飲めるでしょう?」……恒見に聞いた僕が悪かった。自分で取ってくるよ」
……ね、こんな感じ。
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