◇――scene3

 自分からやってみないことには何も始まらない。だから私は彼に電話をかけてみることにした。


プルルルルルルルル……


 無情なまでの発信音が部屋の中に寂しく響く。しばらくのコールの後、プツッと音を立てて電話は切れた。……『応答なし』。

 ねぇ……なんでよ? 私、なにやったの?

 とっくに振られてた。そんなことわかってるよ。それなのに、本当に、ダメなんだね。終わりだったんだ。


 知りたい。会いたい。どうしようもないの、この想い。

 たまらなく好き。好き好き好き、大好き……でも、君はもう、私のことなんて嫌いなんだ。そうだよね?


 じゃなきゃこんなことにならない。こんな、ならないよ、ね?


 そんなときだった。


プルルルルルルルル……


 ばっとスマホを掴む。

 もしかしたら、用事があっただけで彼がかけ直してくれたのかもしれない。そうだよね?ね?

 ……でも、そこに表示されてたのは彼の名前じゃなかった。


『もしもし、どうしたの?』

『あんたなんでそんなにのんびりしてるの!? もしかして知らない!?』

『え……なにが?』

『あんた、○○と付き合ってるんでしょ?』

『いや正確には別れてるけど……』

『あ~ならよかったよ』


 一呼吸置いて彼女が口にしたのはとんでもない事実だった。


『○○、捕まったって』

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