白銀鬼
春霞紗耶
初幕 踊る姉妹
時は───遥か昔よりある
戦乱の世に東雲家は戦国武将として人間側に手を貸した鬼の一族だった。東雲家の始祖は平安時代の鬼狩りの魂を依り代とし、強力な力を得た一族だった。だが、運命とは恐ろしいものだった。東雲家の分家である
彼は
それもとある目的のためだった。八咫烏の面と水鏡の剣は東雲家が代々所有していたとされる。
そして宝物を巡り、戦いの火蓋は切られたのだった。
庵月は八咫烏の面と水鏡の剣を欲しがった。だが、八咫烏の面と水鏡の剣を東雲家の当主に隠される。
幾度も見つかりそうになり、やがては花宮の
久遠家の百世不磨の青年が宝物を隠した。そして庵月は不老不死の力を失い、やがて姿を消した。
そして再びその宝物は東雲家へと隠される事になる。
そこで、話は転じてある悲しき姉妹の話になる。物語はここからはじまる。
『
『
二人は遊んでいた。どうやらあっちに植物園があるらしい
それを見遣る夫婦がいた。
妻の容姿は長く真っすぐな濡羽色の髪。見目麗しい妻だった。
『
『左様でございます、
『
『そうか、美弥子』
『美弥子、私たちはあの娘たちのためにも元気で長生きしないとな』
『左様でございます、私は結核をどうにかしないと』
美弥子は咳き込んだ。心配そうに直太朗は美弥子の手を握る。
どうやら話は静の母であり、妾である流歌は病に臥す、病身の上である。
『申し訳ございません』
『いいんだ、美弥子。無理はするなよ、流歌も身体が弱いおまえをとても心配していたからな』
『華お姉ちゃん〜! すごくきれいだわ!』
『そうね、すごくきれいな花ね……!』
次は植物園に行った。二人は顔を合わせる。花蜜の薫りと美しさに心を躍らせる。植物園は深紅に染まる薔薇の花を見遣った。
『なんでも日神市の有名な伝説で青い薔薇の薬草を摘めば、どんな大病も治ってしまうとか言いますわ!』
『まあ!』
貴婦人たちの噂話を小耳に挟んだ。
『薔薇はすごくきれいね』
『私、お姉ちゃんが窮地のときに助けるわ』
『なら静、私も貴女が大変なときには手を差し伸べるわ!』
『これも約束よ』
二人は指切りげんまんをした。
植物園の帰り、病に臥す流歌の訃報を聞いたのは数時間後のことであった。
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