『yukioの声劇用台本置き場』(仮称)

yukio

『氷が解けるまで』

(BAR。氷の音。少し間を置いて、低く)

……まさか、ここで会うとはな。

20年振りくらいか?


(相手が驚いたように笑う)

ああ、そんなになるか。俺らも大概だな。


(少し笑って)

こうやってお前と話してて、思い出すのは、夜中のオフィスでプリンター止まったやつ。

俺ら、直せなくて、結局コピー機に「がんばれ」って貼り紙して放置したんだよな。

……で、翌朝、部長が真顔でその紙読んでたの。あれは死ぬほど笑った。


(相手が懐かしそうに相槌を打つ)

だろ? あの顔、今でも鮮明に出てくるわ。


(氷を転がして)

あと……ボーリングだな。

お前、あの妙なフォームで投げて――ガニ股で、手首ひねって、最後に小ジャンプ。

で、なぜかストライク。

店中がざわついてんのに、お前だけドヤ顔。

……あの時一緒にいたやつら、全員で笑い転げて腹ちぎれるかと思った。


(相手が「そんなことあった?」と首をかしげる)

忘れたのかよ。俺なんか笑いすぎて次の一投ガターだぞ。


(グラスを揺らして、少し間)

……面白いな。

こうして向かい合うと、言葉より先に思い出が勝手に喋りだす。

(間)

……いや、余計なことは言わんでおこう。

お互い、覚えてりゃそれでいい。


(相手が軽く微笑む)

……そういう顔だよ。

……

お前、変わったな。

昔よりずっと綺麗になった。

……って安っぽい言葉は似合わないか。

むしろ……黙ってても、こっちを試してくる。

そういう目になったな。


(グラスを置く音、相手が少し視線を逸らす)

俺? 

……変わったのかな?

そうかもしれないな。

いい方にか、悪い方にかは分からんけど。


(相手が「何それ」と笑う)

でも――

こうして隣にお前がいると、まだ終わってない気がするんだ。


(相手が一瞬黙る)

……お前のせいだな、それ。


(氷を転がして、少し間を置く)

ま、今日は解散でもいいけど――

氷が解けきるまでは、もう少し話そう。


(グラスが空になり、バーテンダーが新しい酒を置く音)

……ありがとう。

二杯目か。20年ぶりにしては、いいペースだな。


(相手が「昔もよく飲んでた」と笑う)

ああ、でもあの頃の飲み方はもう無理だな。

缶ビール一ダース開けて、最後はコンビニ前で寝てた。

……あれ、よく生き延びたよな。俺ら。


(軽く笑って)

ただ不思議だよな。

仕事はきっちりやってるのに、プライベートはわりと滅茶苦茶だった。

……いや、滅茶苦茶だから仕事が回ってたのか。

どっちが本業だったんだか。


こないだも徹夜で展示会を撤収して、朝イチからプレゼンやら企画会議やらでその日も夜中まで帰れず……

……なのに帰ったら冷蔵庫は氷とウイスキーだけ。洗濯物は山積み。

結局ソファで仮眠だ。


(相手が「相変わらずだね」と呆れ気味に笑う)

相変わらずか……そうかもな。

でもさ、考えてみると、俺の人生で一番危なかった瞬間って――

お前と飲んでた夜かもしれん。


(少し間を置いて)

だってそうだろ?

酒も雰囲気も全部揃ってて、あと一歩で踏み込む寸前。

……でも踏み込まなかった。

やっちまえば消化できるのに、やらなかった記憶はいつまでも残る。

それが未遂ってやつの怖さだ。

首筋に手をかけたまま、ずっと絞めないみたいにな。


(氷を回し、少し笑って)

お前とこうして向かい合うのは、首を絞められる快楽に近いな。

安心しろ、今夜は窒息するつもりはない。

……ただ、少し息苦しいくらいが、ちょうどいいだろ?


─────


※※※相手へのセリフではなく描写説明※※※


(ホテルのドアが閉まる音。沈黙)

……鍵の音がやけに大きい。


(間。次の瞬間、足音が近づく)

振り返った瞬間、もう理性なんて残っていなかった。


気づけばお前を強く抱き寄せていた。

お前も同じ力で俺にしがみつく。

20年分の未遂が、一気に爆発したみたいに。


言葉なんていらない。

唇が触れた瞬間、互いの吐息が混じって、もう止まれなくなる。


※※※描写説明ここまで※※※


(熱を帯びた囁き)

……ほらな。

こうなるのは、最初から決まってたんだ。


─────


(熱い口づけを交わしながら、低く囁く)

……わかるか。

唇を重ねただけで、お前の身体がもう俺を欲しがってる。

ずっと抑えてきたんだろう。

今夜はもう、解放していい。


(女が息を乱しながら身を委ねる)

……そうだ。

もっと強く抱きつけ。

お前が俺に縋るほど、俺は深く沈めてやれる。


(耳元に熱い吐息を落とす)

……声を殺すな。

お前のその甘い声、

今夜は全部、俺にくれ。

お前の奥の奥まで、俺の痕を刻んでやる。


(間を置き、囁きを甘く落とす)

……とろけた顔も、乱れた声も、全部美しい。

隠すな。

もっと見せろ。

俺にしか見せられない姿を。


(熱を帯びて、低く重ねる)

酒のせいでも、俺のせいでも、

どう言い訳しても構わない。

でも忘れるな。

お前をこんなにしてるのは、俺だ。


(女が脚を絡めてきて、さらに近づく)

……そうか。

欲しいんだな。

なら遠慮はいらない。

お前が求める分だけ、俺は深く、激しくしてやる。


(女が声を上げ、強くしがみつく)

……ああ、そうだ。

もっと乱れろ。


……さぁ、“未遂の続き”を始めよう。

朝になるまで、お前を離さない。



◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎


🎙️本台本は“持ち帰り自由”です。

ただしご使用後は「使用報告」というお土産をください。


・該当台本の感想欄に「どこで演じたか」一言

・またはXで(@yukio243371035)宛にメンション


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※XのDMは施錠中。ピンポンしても出ません(フォローしてくれたら出ます)


◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎

こちらの台本は、おと恋(@otoren30) さんの企画への参加台本です。


声劇、朗読して頂ける方詳しくは↓↓↓


https://x.com/otoren30/status/1958501282769146304?s=46&t=R6a71WHy0XpZICJNCU_Y7Q

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