6章

26話

 コンビニから2人の女子高生が出てくる。一方はコンビニの鶏肉を両手に1つずつ、合計2つ持っている。


「もう本当ありがとう!結菜ゆうなのおかげだよ!」

「いーの、いーの。てか奢ってもらっちゃって悪いねえ。確かに約束はしたんだけどさ、2個も頼んじゃった。アドバイスはしたけど、彼と付き合えたのはXXちゃんがもともと可愛いからで、わたしの力なんて全然だよ」

「そんなやめてよ!とにかくありがと!」

「へいへい。これからその彼氏さんと?」

「うん、そうなの!じゃあ結菜、また明日!」

「お幸せにー」


 青春真っ盛りな友人を見送り、一方の食べ盛りな女子高生は帰路に着きながら右手の鶏肉を口へ運ぶ。


「あーやっぱ、いつ食べても女性向けを謳って作られた高タンパク、低脂質のフ〇ミチキは最高だね。喉もつるっつるになるし、演奏の調子もよくなる」


 半分ほど食べてから、左手の鶏肉に目を移す。


「はい、こっちが君の分ね」


 左手の鶏肉は、獣に食い破られるように瞬く間に小さくなり、消えてなくなる。


「君もフェ〇チキ気に入った?え、あの子のこと?いいんだよ、わたしが頼まれたのは付き合うまでのアドバイスや手助けであって、彼女になった後のことまでは言われてないよ。そうでなくともアフターフォローしてやる義理はないよ。まあちょっとは?かわいそうかも?」


 女子高生はくすくすと自分の左手に何かいるかのように笑いかける。


「こっちも欲しいの?だめだよこっちはわたしの…ああ!」


 右手に半分ほど残っていた鶏肉も、一瞬にして無の中へと吸い込まれていった。


「信じらんない!あ、待て!食べた分何か耳寄りな情報でも教えてくれるよね!?」


 女子高生はおもむろにリュックからフルートを出すと、自身の楽器と問答を始める。


「コックリさんを終わらせようとしている人がいる?それって、君もどっかへ帰っちゃうってこと?そんなの困る!断固拒否!見つかったとしても、知らんぷりよ知らんぷり!君だってフ〇ミチキもっと食べたいでしょ?」

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