第8話 パートナー
「リンク」それは昔、魔女である母がケガレと戦う上で戦闘中にパワーアップするための方法でありリンクするには魔女とそのパートナーが魂を重ね合わせて繋がると魔女の力をさらに引き出す事が出来ると言うものだと教えられていた。
「落ちるスピードが遅くなってる…?」
「これがリンクしたって事なんだ…」
私は岩下さんの片手を離すと離した手に箒を呼び出して素早く跨ると岩下さんの手を引いて箒へと誘導した。
「乗って!!」
「えぇっ!?私、箒なんて乗った事ないよ!!」
「大丈夫…岩下さんならすぐに慣れるから!!」
「わかった…」
岩下さんは私の後ろで箒に跨ると私のお腹に手を回した。
「しっかり捕まってて!!」
私は岩下さんを乗せて箒で高く舞い上がり、鳥のケガレが暴れてる頂上まで再び加速した。
「いたっ!!」
頂上へ加速すると鳥のケガレが私達を落とそうと竜巻を起こして竜巻が私達に迫るが私は杖を取り出して構えた。
私の初級魔法が放たれるが私の炎は威力が大幅に上昇しているようで巨大な火炎の渦が放たれて炎が竜巻を飲み込んで炎を纏った竜巻が完成して私はそのまま杖を振ると炎を纏った竜巻が鳥のケガレに命中して鳥のケガレの体は炎に包まれ始めた。
「私のさっきの初級魔法じゃ弾かれたのに…」
「凄い凄い!!炎が効いてるよ!!」
鳥のケガレは炎に弱いらしく私はリンクを維持したまま上空から再び杖を構えて魔法を発動させた。
私の杖から風の渦が放たれたかと思うと風の渦はさらに大きくなり辺りに大きな嵐が発生し大雨が降り始めて鳥のケガレは雨に当たりだんだんと勢いが弱まっていった。
「今のは初級魔法の風魔法じゃない…今のは上級魔法…?」
リンクしたことで初級魔法が上級魔法へと引き上げられたようで私は杖を取り出してじっと見つめた。
(杖を使った上でリンクした状態なら私も上級魔法を発動出来るんだ…)
私は風の勢いが無くなった鳥のケガレに歩み寄ると杖を再び構えた。
「待って!!」
「岩下さん?」
岩下さんが鳥のケガレに駆け寄ると今にも消えてしまいそうなケガレの体に触れた。
「待って!!直接ケガレの体に触れたら!!」
「大丈夫だよユッキー…」
ケガレは人間の負の感情から生まれた存在なので直接触れれば何が起こるかわからないために私は慌てて岩下さんを止めようと呼びかけるが岩下さんは私の方に笑顔を向けた。
「もう苦しまなくていいんだよ。きっと自分の事を誰かに止めて欲しかったんだよね?」
「えっ…」
「この子、自ら望んで生まれたかった訳でもないし本当は街を壊したくてこんな姿になりたかったわけじゃないんだよ。だからこそこの街を壊したくなくて誰かに自分を止めて欲しかったみたい」
まるで岩下さんの言葉に頷くように鳥のケガレは手のひらサイズの姿になり岩下さんは小さい鳥のケガレを手のひらに包んで持ち上げた。
「だから…今はゆっくりとおやすみ…」
岩下さんは鳥のケガレにそう語りかけると鳥のケガレは姿が霧のように消えてしまった。
「岩下さん…その…私…」
私は岩下さんの方へとゆっくりと歩み寄ると岩下さんは私の手をがっしりと両手で掴んでぐいと顔を寄せた。
「ユッキーは本当に魔女なんだねびっくりしたよ!!」
「う、うん…」
「もしかしてどの部活にも入ろうとしなかった理由ってもしかして…」
「うん…夜に発生するケガレを倒さないといけないの…負の感情から生まれるケガレからこの街を守る。それが魔女である私の使命なの…」
「そうだったんだ…ごめんね?無理に誘ったりして…」
「ううん私の方こそ突き放す言い方をしてごめん…」
それから私達は夜も遅い事もあり岩下さんを箒で家まで送り届けようと箒に乗せて飛び立った。
「ねぇ!!少し寄り道したいんだけどいい?」
「うん。どこへ行きたいの?」
「えーとね…あっ…あそこ!!あそこの山の上の展望台!!」
岩下さんがら指で示す方向は先ほどの山よりさらに高く赤い電波塔が立っている大きな展望台であった。
(あれ…あの赤い電波塔がある展望台ってもしかして)
以前通りすがりのおじいちゃんから教えてもらった電波塔の隣の眺めの良い展望台の話を思い出していた。
「あそこってもしかして…」
「長崎の夜景を一望出来る稲佐山展望台だよ!!」
私達は展望台へと降り立つと猛烈な風が襲い私は再び鳥のケガレが風を起こしたかと思い警戒したが岩下さんが私の肩を軽く叩いて笑みを浮かべた。
「この展望台はねいつも凄い風が吹いているんだ〜」
「そうなんだ…」
猛烈な風により岩下さんの制服のスカートがバサバサと音を立てて激しくはためき岩下さんは裾を抑えながら展望台の端まで歩いていった。
「ユッキーのその帽子強風でも飛ばされないんだ?」
「一応帽子が風で飛ばされないように魔法を掛けてるからね…」
「へぇ…便利!!」
岩下さんは自身の指に嵌っている指輪を私に掲げて見せた。
「ねぇ…ケガレを倒す使命はこれからも続けるの?」
「この街を守るためです…この綺麗な夜景を守るためにも!!」
私は展望台から夜の夜景を眺めながらそう呟いた。展望台からは夜の長崎市内が一望出来て夜遅い時間なのにとても明るく煌々と輝いていた。
「私もユッキーの使命を手伝いたい!!貴方の隣でパートナーとして!!」
「パートナー…」
私は最初無関係の岩下さんを巻き込みたくない気持ちが強かったがさっきのリンクと上級魔法が発動した事を考えるとどうするべきか迷ってしまった。
「貴方を巻き込みたくなかったんですが…」
「それならもう十分に巻き込まれてるから平気!!」
「それに普通の高校生活を楽しんで貰いたいし…」
「それならユッキーだって同じじゃん!!JKと使命の両立なんてかっこいいじゃん!!」
私は岩下さんの言葉に深く悩まされるが私自身高校生生活を楽しみたい気持ちもあったため岩下さんに恐る恐る問いかけた。
「本当に私のパートナーになってくれるんですか?」
「もちろんこれから頑張ろうねユッキー!!」
「ありがとう。これからよろしくね…舞…」
その日私達は共にケガレを倒すためについにコンビを結成した。
翌日、学校に登校した私の元に舞が駆け寄って来て私に部活申請の紙を見せて来た。
「ねぇ…ユッキー私、やっぱり部活は入るべきだと思うんだ?」
「…でも私達には使命が…」
「既存の部活に入るんじゃなくて私達が新しい部活を作ればいいんだよ!!」
「なるほど…それでなんの部を作ってどんな活動をしたいんですか?」
舞は私に違う紙を取り出して見せて私はその紙をじっと見つめた。
「長崎のボランティア活動(仮)?」
「ボランティア活動って街のために清掃とか様々な事をするって事ですか?」
「そうそう!!清掃したり街のみんなのいろんな依頼を受けたり、イベント活動をしたり長崎をよりよくするために何が出来るか考えて実践するための部活だよ!!」
「な、なるほど…?」
「私達が頑張る事で長崎もより良くなると思うんだ!!それは街を守るケガレ討伐と同じ事だと思うんだ!!」
「なるほどです…つまりボランティア部って事で申請を出すんですね?」
「あ、部活名も考えてるんだ!!」
舞は私に申請書にでかでかと書いた部活名を見て私は衝撃の名前でとても驚き口を開いた口が塞がらなかった。
「如月女子学院 魔女会!!」
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