第7話
新しい仕事はテレアポや飛び込み営業もあり
覚える言葉がたくさんあった。
遅く帰ってきてはボイスレコーダーに練習した言葉を録音しながら間違えを確認したり、
商品の内容を暗記したり毎日頑張っている姿を私は見ていた。
家族の為だった。
彼にとって家族は仕事をする励みだった。
そのころ私も二人目を出産し子育てや育児、仕事復帰準備でバタバタしていた。
でも家族の時間は大切にしていた。
新しい会社で毎日朝早くから遅くまで働いて、仕事後に研修といわれロープレが始まる。
初めは楽しそうにしていたことも成績が悪ければ会社に責められ苦しそうなこともあった。
でも半年が過ぎたころから少しずつ仕事も覚えて表情が落ち着いてきたように思えた。
ただ気になるのは月に1、2回の飲み会だ。
いつも朝8時ごろに帰ってきた。
ひどい時には次の日の夕方だった。
「飲めない!って病気で飲めないって伝えた!?」
「伝えたよ」
「でも飲んでるじゃん!!言ってないでしょ?」
「しかたないじゃん。乾杯くらいは。」
「せっかくの休み悠乃だってみんなで出かけたいのにパパしんどいしんどいだね。って話して終わるんだよ!」
「俺はなにもしてないの!?」
このころから話しも通じなくなっていった。
二人目の笑菜が産まれてほとんどパパのいない家族の時間が続いた。
休んだら怒られる。
その一心で仕事に行っていたけれど…ついに壊れた。
「急で申し訳ないのですが有休いただいてもいいでしょうか?」
「理由は?」
「病院です」
「領収書みせてね」
そんな会話したという言葉に私はイラっとした!
「なんで!?」
「有休の理由いらないし、領収書見せる理由ないし!」
なんなの!?
以前から不審に思っていた会社だった。給料が2回に分けての振り込みだったり。残業代全く出なかったり、朝まで呑まされたり。
潤が自分の仕事に口出されたくないからあまりなにも言わなかった。
そんなことが続き、ついに決定的なことがあった。
それは義父が遊びにくるから取った有休後のことだった。
急だったことは申し訳なくそのことに怒られるこたは仕方ないと思った。
しかし2日間ネチネチと怒り最後は
「これで売り上げ落ちたら誰もお前のことなんて助けてやらなくなるんだからな!」
「売り上げあげろよ!!」
売り上げ上げてもある程度の金額までいかないと歩合もでない、残業代もつけさせてもらえていない。
ついに、潤は壊れてしまった…。
昼間に家に帰ってきて
「もう仕事行きたくない」
倒れ込んで初めていった言葉だった。
「辞めていいよ」
私もそれだけ伝えた。
夫婦喧嘩ばかりだった、子供との時間もなかった。家庭の中が変わっていっている中でその仕事を続けるメリットがなかった。
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