第九章 語りの連鎖、灯りの広がり。


 タグには、ユイの声が残っていた。


 レンの声も、重なっていた。


 それらは、ただの音やなかった。語りの断片。疼きの記録。変身の証。


 ユイは、タグを手渡した。次の語り手に……


 レンは、語りを受け止めた。次の疼きに……


 語りは、連鎖する。灯りは、広がる。春は、何度でも始まる。


 誰かの声が、誰かの疼きを揺らす。


 誰かの語りが、誰かの変身を導く。


 それが、語りの魔法やない力。


 でも、ウチらには、それがいちばんの魔法や。



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