第三章 声の春、二人の再生。


 タグの光が、二人の間に広がった。


 それは、魔法の光やなかった。


 ミズキちゃんの瞳に、春の光が戻ってきた。


 涙が、頬を伝って落ちた。


 君は、千春ちはるくん。わたしの……マジカルエンジェルの相棒。


 ウチの春は、ミズキちゃんの声で始まった。


 今、ウチの声で、ミズキちゃんの春を呼び戻せた。


 その手の温度が、春の風よりも温かかった。


 光はない。魔法もない。


 でも、ウチらは変身した。


 声が、二人を繋ぎ直した。


 春の風が、二人の間を通り抜けた。


 ウチらは、並んで歩いた。もう、ボッチじゃない。


 春は、もう一度始まったのだ。


 誰かの耳に届くかもしれへん。


 誰かの疼きを、揺らすかもしれへん。


 ウチらの春は、声で始まった。そして、声で繋がった。



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