第12話 新しい部下
ゴールデンウィークの旅行で、俺はすっかり気落ちしていた。旅行がメインなんだから、レス解消できなかっただけ、子どもたちが楽しんでくれかたらよかった、と気を取り直した。
「部長、今度の異動で新しい人間が来ます。」
課長から報告を受けた。
「ああ、内示で確認してるけれど、広報から女性ってどういうことかな。」
「それなんですが、どうも本人の希望のようなんですよね。すごいリケジョとかでしょうかね。」
営業希望の女性社員か、どんな人間だろう。
「広報課からまいりました。
感じのいい、かわいらしい女性だった。
翌日から、矢倉が営業部に新鮮な空気を運んできた。男ばかりの営業部に活気が出た感じだ。
「ねえ。矢倉さん、ちょっといい?」
「は~い。今行きま~す。」
華やかな雰囲気だ。ただ、仕事はさすがに、不慣れで、
「ほら、ここの数字直しておいて。」
「あ、スイマセン。すぐ直します。」
と修行中だ。そんなある日のことだった。課長が声をかけてきた。
「成田部長、ちょっとご報告と指示をお願いしたいんですが。」
「昭和小学校の新校舎の建設がありまして、事業規模も小さいので矢倉を担当にして、加藤係長をサポートにつけていたんですけど、先方に出した見積書が間違っておりまして。」
隣で鈴木係長が恐縮して説明した。
「具体的には、積算額だけを見積書に書いて、先方に提出してしまいました。」
「諸経費や当社の利益を含まない額を提示したということか。」
「それで、見積書の再提出を先方にお願いさせていただくかどうかをご判断いただきたくお願いします。」
「分かった。仕事を請け負う以上利益を出させてもらうの当然だが、相手に応じてもらうには誠意が必要だ。謝罪には俺も行こう。鈴木係長と矢倉と行ってくる。」
直ちに3人で昭和学園の理事長を訪ねた。
「理事長、大変、申し訳ございません。諸経費等々を見積書に反映しておりませんでした。当社の全くのミスではありますが、見積書の再提出をおねがいできないでしょうか。」
「当然、価格は上がるんですよね。」
「はい。申し訳ございません。よい校舎をつくらせていただきますので・・。」
「分かりました。では、工期や意匠など、当校の希望も最大限よろしくお願いしますね。成田部長。」
「はい!それはもう全力でやらせていただきます。ありがとうございます。」
3人は、感謝を込めて頭を下げた。
「部長、ありがとうございました。私。ご迷惑をかけて・・。」
半泣きの矢倉。
「大事な新人営業部員の初仕事。ぜひ成功させないとな。」
「そうですね。」
と言葉を重ねた鈴木係長、矢倉と3人でグータッチした。
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