面接

リウノコ

第1話

 私は、自分の仕事に誇りを持っている。


 当時、採用が決まって仕事内容をあらためて知らされたときには、心が躍ったと同時に、責任というタスキがかけられるのを強く感じたものだ。


 しかしながら、今回の業務には納得がいかない。


 会社にたてつく気はないし、命じられたからには最後までやるつもりではある。


 が、一言言わせてもらいたい。


 今まで現場の最前線で活躍してきた私が、なぜ面接官などやらなければならないのか。

 事務的なやりとりなんて、できるわけないじゃないか。


 女だからと甘く見られて、適当な雑用業務を押し付けられた、ということなら、許されないことだが、そんなやつはぶん殴ってやりたいが、まあなくもないのかな、と思う。

 しかし、面接官はどう考えても雑用ではない。


 私は、会社の思惑を量りかねていた。


 考えに考えた結果、面接方法は会社のほうで決まっていて、それに従って進めていくだけ、というのならまだありそうだ、と思った。


 私が任されたのはバイトの面接だ。ただ単に人手が足りなくて、現場が駆り出されただけだと思ったのだ。


 それがなんだ、『選出方法は一任します』って。


 ――確信した。


 会社は私に人を見る目があると思ってるらしい。


 しかし残念、それは大きな間違いだ。


 現場でも、個人としての能力は評価されている(と思う)のだが、部下に対する指示や統率など、私は気にしたことすらない。


 圧倒的個人主義、それが私の性質である。

 ちなみに、初志貫徹が座右の銘だ。誰に何と言われようとも、それを曲げる気はない。


 だから面接方法も、私が勝手に、やりたいように決めた。

 会社も任せると言ったのだから、文句はないはずだった。

 それに、やってもらう仕事は一筋縄ではいかないものなのだ。

 なら、それに見合うような面接をするべきだ。


 ――その結果、募集を始めて1年が経過しても、いまだに採用者は現れていない。


 さすがに人事部も考え直して、現場に戻してくれるんじゃないかと期待したが、予想に反して、誰も何も言わなかった。


 半年過ぎた頃には、私も少し動揺したが、1年もするといい加減イライラしてきた。

 もしかして、人事部は私のことを忘れてるんじゃないか? 


 ――早く現場に戻りたい。こんなことなら、もっと条件を緩くするんだった。


 座右の銘の変更を視野に入れかけた時、彼がやってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る