私、飼い猫のムーンと申しますが、転生したら野良の魔じん族になりました。
むーん
第1話ムーン落下する
私の名前はムーン。
約十年間、人間のママに飼われてきた上品な猫だ。
生後六ヶ月くらいのちっちゃい猫と二、三歳くらいの黄色寄りの茶色のビビりな猫の二匹、私の年下の猫がいる。
ママは私の性格をよく分かっていて、家で飼うのを許されてる猫はメスに限られている。
私はママのそばで年下の猫たちを見下しながら幸せに暮らしていた。
だが私は忘れていた。
自分が十歳で少し老いて来ていた猫だということを。
そして、最近ちょっと。誓ってちょっとだけお腹周りが重いということを。
ある日、私は年下の猫たちを追い回そうと企んでいた。
キャットタワーのてっぺんで、真下を歩く猫たちを狙っていた。
――今だ!
狙いが定まり、キャットタワーのてっぺんから飛び降りた。
――と思った時だった。
「にゃに!?」
空中でバランスを崩し、体が逆さまにひっくり返り始めた。
次の瞬間。
ドタン、と頭から落ちた。
「…………」
視界が真っ暗になった。
ママの顔を最後に見たかった。
――私は死んだ。
――風の音が聞こえる。
草の匂いも感じる。
私は今、どうなってるの?
小一時間くらい経った頃、身体が慣れてきて目も開いてきた。
青空に大森林。遠くには大きな山がある。
――ここは
「どこニャー!!」
(とりあえず、毛繕いでもして落ち着くニャ)
――な、なに!?
「手が人間ー!?」
あれ?
「喋り方も人間に近づいてる!?」
色々と変だけどとりあえず、歩かなきゃ意味が無い。
「よし!森の中を探索しよう。」
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その頃、王都アージナルでは――
「皆の者、急な呼び掛けすまない。」
「いえ。しかし、まずい事になりましたな。アージナル王よ。」
「ああ。少なくとも天災級だろうな。」
3カ国の王と各国の第1王子たちが出席する大きな会議が開かれていた。
「してアージナル王よ。討伐は視野に入れているのだろうか。」
「ああ。我が国の兵を動かそうと考えている。そこで、だが――」
「なんでしょう。」
「アジナ国のSランク程度の魔術使いを派遣してもらいたいと考えている。」
アージナル王がアジナ国の第1王子に提案した。
「なるほど。承知しました。父上…いえ、国王に伝えておきましょう。」
「頼んだぞ。」
「ええ。許可が降り次第手紙を送り、明日の正午までに貴国へ魔術使いを派遣しましょう。」
「ああ。待っているぞ。」
会議に出席している王たちは、冷や汗を流しながら話をしていた。
「では、解散とする。」
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ムーンは少しずつ、人型の身体に慣れていっていた。
「案外、二足歩行って便利だったんだねー。」
「けど、他の生き物と全然出くわさないなー。そろそろ、お腹が空いてきたのに。」
森で拾ったラズベリーのような物を食べながら、他の生き物を探していた。
「あ!ウサギさんいた!」
――今だ!ダッシュー!
サッサッサッ
パタっ
「え!?いきなり気絶しちゃった。ウサギさんどうしちゃったんだろう。」
それから、気絶したウサギさんを生で食べていた。
「うーん。あまり美味しくないなー。キャットフードのカリカリが食べたいよー。」
ふぅ…っと食べ終わると、眠気が襲ってきたので寝る事にした――。
ドサッドサッ
――ん?何か音が…
目が覚めると鉄の鎧を着た人達が、ムーンの周りを囲っていた。
「我々はアージナル国の討伐部隊だ。」
(と、討伐部隊?)
「その膨大な魔力、ただものではあるまいな。」
「え、わわわ、私の事…ですか?」
「国の方針に従い、貴様を討伐する。」
――え…!?
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